ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

飛んでいきました!東京の初句会へ。

2020年01月13日 | 俳句

 夕べ9時過ぎに無事我が家へ戻りました。ああ、毎度のことながら疲れました~。これはもちろん歳のせいもあるのでしょうが、若い娘でも〝特別なことは何もせんのに、どうしてこんなに疲れるんかね〟と言いますので、一概に歳のせいばかりではなさそう。特に東京へ行くとそうなんですから、きっと都会の喧噪に揉まれ日頃使わない神経を目いっぱい使うからかも知れません。

 さて、11日に7時45分発の羽田行始発便で、〝馬醉木新年俳句大会〟出席のため友人と娘、3人で上京しました。いつも一緒の東京に詳しい友人が今回は行かないので、3人ともが戦々恐々です。ここは一番年長の私がしっかりしないと…と、かなり緊張していました。羽田9時15分着の予定が遅れて30分過ぎに到着…句会場のホテルグランドパレスがある九段下へ11時までには行かなくっちゃ!同人総会に間に合わなくなると、慌てましたが、何とか迷わずに行けて無事セーフ。

 午後から新年俳句大会と懇親会です。スムーズに句会が進行し、次に新同人の紹介や各賞の授賞式でした。授賞式が段々近づいてくるので……エエッ、私が受賞するんじゃないんですよ。それならどんなに嬉しいことか…そういう晴れがましいことには縁のないワタクシなんです。今回はあげる方なんですよ。馬醉木の若手を育てるコーナーに〝あしかび抄〟という投句欄があるのですが、私が担当して3年。その選者として初めての「蘆雁(ろがん)賞」を授与するのです。貰う側は何度も見ていますので大体分かりますが、授与とは…。おまけに急遽受賞者が来られなくなり、何か受賞者について喋って欲しいと頼まれ……弱りましたよ。でもそれも無事にクリアーして、懇親会へ。

 ところで、その新年句会で、面白い句がありました。主宰が投句者全員の1句を鑑賞されましたが、その時にも次の句は面白いと…。それは、〈我きつね妻はたぬきぞ晦日蕎麦〉(われきつねつまはたぬきぞみそかそば)という句…お互いに化かし合いをしているんですかね、きっと仲の良いご夫婦なんでしょうと、主宰。もう1句、〈数へ日や手抜き上手の夫を誉め〉(かぞえびやてぬきじょうずのつまをほめ)…季語が「数へ日」ですから、きっとお正月の準備などで手抜きが年々上手になってきたと誉めたんでしょうが、もしかしたら「夫」は「妻」のマチガイでは? と主宰。

 本当に面白いですよね。後句は耳で聞けばどちらも〝つま〟と読みますから。句を見ずに聞いた人はきっと〝妻〟と思うでしょう。

 では、ここで考えてみましょうか。この漢字を換えると、それだけで大違いなんですが、分かりますか? それは、〝夫〟と書いたときはこの句の作者は女性、即ち妻です。〝妻〟と書けば夫が詠んだことになるのです。この作者の他の句を見ると、間違いなく女性ですから、「夫を」誉めたんですね。この作者はきっと正直な人で、夫になったつもりで詠むのは気がとがめたのかも。また本当に夫を素直に誉めたのかも知れません。が、……

 これを〈数へ日や手抜き上手を夫の誉め〉と、助詞の「の」と「を」を入れ替えてみるとどうでしょう。そうしたとしても作者は妻で変わりませんよ。〝自分の手抜き上手を夫が誉めてくれた〟と。でもそこには、無条件で誉めたのではなくて、ちょっと揶揄する気持ちが入ります。〝おまえさんも昔に比べると随分手抜きが上手になったのう〟〝まあ、それいやみ?〟なんてやりとりしている年季の入ったご夫婦が見えてきませんか。そこがユーモアなんですが…

 前句の方も、〈我たぬき妻はきつねぞ晦日蕎麦〉と入れ替えてみて下さい。どうですか? こちらの方は私はイヤですけどね。この句は当然夫が詠んだ句ですから、原句の方には妻への愛情が感じられます。もし反対にするとまるで妻を憎々しく思っていて、一年の鬱憤晴らしを詠んでいるように感じますもの。どうですか? 女性としては〝きつね〟には見られたくないでしょう。こんなこと考えて、他人様の句で遊ばせていただきまして楽しい新年句会でした。メデタシ、メデタシ!

 懇親会が終わって夜の東京をブラブラと…それよりも無事終わったという安堵感で、ホテルに早く戻ってゆっくりしましようと、地下鉄へ。これがまた、〇〇線の乗り場はどこかしらと、迷い迷い…。ああ、あまりにも入り組んでいますので、単細胞の私には本当に疲れるばかり。おまけによく分かるはずの駅の人や地元の友人に教えて貰ったのがみんな違っていて、うろうろと…だから余計に疲れるんですね。そういうわけで夜空を眺める余裕もなく……でも、お月さま見えたのかしら? 

 ああ、そうです。前のブログで11日が満月と書きましたが、「俳句カレンダー」に書いてあったのをそのまま書いてしまいました。ゴメンナサイ!それは11日の夜ではなくて、明け方の4時すぎが正真正銘の満月でした。だから11日の夜は十六夜なんですね。でも、曇っていて見えなかったとか…。だから、私が撮った月が〝ウルフムーン〟(1月の満月をいう)の少し前だったんですね。確かに牙を剝いて月に吠える狼の声が聞えてきそうな夜でした。

 次の12日は、かの〝Nくん〟の案内で、横浜見物をしました。その話はまた明日にでも…お楽しみに。

 写真は、①新年俳句大会の会場、ホテルグランドパレス玄関の花 ②懇親会での主催挨拶 ③懇親会の様子 ④懇親会の余興(三種類のハーモニカを使い分けての見事な演奏でした) ⑤宿泊するホテルのそばにあった箭弓(やきゅう)稲荷神社の三枚。神社には、奉納句や桂文楽、古今亭今輔ら古い芸人の名前のある額が掲げられていました。

 

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