神名火だより

出雲地方・宍道湖周辺で撮影した四季折々の写真です。
時々、自作パソコンの話題もあります。

19年前のイタリア旅行記(4日目)

2011年11月12日 06時58分12秒 | 旅行
4日目(ベニス→フィレンツェ)



ベニスの夜明け
 5つ星のホテルでしたが、結局は寝るだけの場所でした。ガラス窓とブラインドを開けると外には夜明け前の運河と行き交う船・・・・。ではなく隣の建物のコンクリート外壁。遥か彼方の壁と壁の隙間に線状の空が見えます。

 隙間の空が少し明るくなりましたので1階のレストラン脇のテラスに出てみました。昨夜はここにテーブルが出ており、オープンカフェになっていた所です。アドリア海の向こうから運河越しに太陽が昇って来ました。絶景です。この風景が見られただけで5つ星確定。イタリアに来て初めての太陽です。ベランダで写真撮影に興じている間に、他のツアーメンバーも姿を見せ、そのまま朝食となりました。



トスカーナの秋
 朝食が終わるとモーターボートのタクシーでホテルを出発。ローマ広場でバスに乗り込み、次の目的地フィレンツェへと出発です。天気は快晴。トスカーナ地方の緩やかな山並みを縫う高速道路を南下、紅葉で色づいた車窓に秋を感じます。

 約3時間でフィレンツェに到着。まずは、ミケランジェロ広場へ。フィレンツェの街が一望できる展望台です。観光客は必ず訪れる記念写真ポイントで、フィレンツェを紹介する写真は必ずといっていいほどここから撮影されます。現地ガイドさん曰く、「今日は遠くの山まで見えて最高の天気です。1年に数日もないでしょう。あなた達はとってもラッキーです。でも、こんな天気の日の次の日は必ず雨が降ります」とのこと。記念写真タイムの後、バスでフィレンツェ市街中心部へ移動。



 フィレンツェは中世そのままの街並みが残されており道は狭いです。若者が乗る原付バイクがけたたましいエンジン音を町中に響かせ、青白い排ガスが鼻を衝きます。建物の外観、屋根の色は統一されています。見た目の落ち着きとは裏腹に世界各地からの観光客と地元住民の生活感が垣間見え活気のある街です。

 昼食はドゥオーモ近くのレストランでミラノ風カツレツ。そして、本日の宿は「ホテル・バリオーニ」。フィレンツェ駅前のクラシックタイプのホテルです。街の中心部では大型の観光バスでの移動は難しく、ホテルに荷物を預けて現地ガイドと合流、徒歩で観光に出発。

花の都フィレンツェ
 まずは、フィレンツェの象徴、ドォーモ、花の聖母マリア大聖堂を訪れます。ミラノとは異なりドーム状のクーポラがひときわ高く威容を誇ります。建物本体は様々な色の大理石で組み上げられており、華やかな印象です。その上に茶色の瓦が乗ったクーポラがあります。ドォーモの前には八角形のサン・ジョヴァンニ洗礼堂、隣に接するように立つジオットの鐘楼があります。ミラノのドォーモのように手前に広場が無く、狭いスペースに巨大な教会建築が建造されているので、下から見るとより一層威容を誇ります。首が痛くなりそう。この3点セットがフィレンツェ観光の最初の目玉。



 
 八角形のサン・ジョヴァンニ洗礼堂に入ります。内部は広い空間だった記憶ですが、天井の中心に明かり取りの窓があり、そこから落ちる雨水を洗礼に用いた、というガイドの説明がありました。洗礼堂の入り口にはブロンズ製の扉があり、中でも「天国の扉」が有名で、その前には人だかりができていました。修復には日本人の経済的支援があったとの解説でした。ドォーモ内部にも入りましたが、これもあまり記憶がないのですが、この建物は内部よりも外観の美しさが印象的だということでしょう。ガイドさんからドォーモの頂上に登れるので、その入口について案内がありました。明日午前中、自由行動の時間があるので上がってみましょう。



 次に、アルノ川方向に少し歩いて、次の観光ポイント、ウフィッツィ美術館を訪れます。美術館の手前にはヴェッキオ宮殿があります。ここは、現在でもフィレンツェ市の市庁舎で、内部も公開されていますが外観のみを見学。建物前はシニョリーア広場で、ネプチューンの噴水が目を引きます。ミケランジェロのダビデ像もここにありますが風雨に晒されて黒く変色して可哀想。でもこれはレプリカで、本物はアカデミア美術館で公開されています。ヴェッキオ宮殿は石積みの重厚な建物です。最上部がちょっと外に張り出していて、いかにも堅牢な感じです。その上には鐘楼があり、デザイン的に建物本体と同じく最上部が少し張り出しています。




芸術の都フィレンツェ
 ヴェッキオ宮殿の隣がウフィッツィ美術館。細長いコの字型の建物で、中庭部分の回廊の柱には歴史に残る偉人たちの姿が彫刻になっています。ダビンチとミケランジェロもいます。この二人、彫刻ではお互いにそっぽを向いています。ライバルだったのでしょうか。実は、この美術館、予習不足で中に入るまで超有名な作品が収蔵されている所だとは知りませんでした。美術館といえばパリのルーブルくらいの知識。

 ガイドさんと共に中に入りましょう。美術館内部は広い廊下と、それに隣接していくつのも展示室があります。廊下には彫刻が展示されています。展示室に入ると、ボッティチェリの「ビーナスの誕生」、「春」、レオナルド・ダ・ビンチの「受胎告知」など、いずれも美術の教科書で見たことある絵です。撮影禁止のはずですが、何くわぬ顔して、何枚かパチリ。ガイドさんがそれぞれ有名な絵の所で見所、歴史的背景を解説してくれますので聞き入ってしまいました。廊下からは先程のヴェッキオ宮殿の鐘楼が快晴の空に夕日に照らされて、そびえ立ちます。明日はローマへ、そして帰国。この風景を見ていると「帰りたくないよぉ」という気持ちと、何故だか一抹の寂しさも感じます。




ヴェッキオ橋は縁起が悪い?
 本日の集団行動はここで終了。自由解散です。ウフィッツィ美術館の窓から見えたヴェッキオ橋へ行ってみましょう。ウフィッツィ美術館はアルノ川のほとりに建っていますので、川沿いに歩けばすぐにヴェッキオ橋です。この橋はフィレンツェで最も古い橋で、その上には貴金属を扱う店が軒を並べています。橋上の建物は2階建てになっていて、2階部分はヴァザーリの回廊と呼ばれる通路です。ヴェッキオ宮殿からウフィッツィ美術館を経由してピッティ宮殿まで通じているとのこと。旅行当時は未公開の部分でしたが、現在では人数限定で公開されているとのことです。後にテレビで見ました。

 ヴェッキオ橋に通じている道を歩いていると、いつの間にか橋の上になります。地上のお店と橋上のお店がシームレスにつながっているので、どこから橋なのかよくわからないのです。橋の中心部では川が見えるようになっています。先ほど訪れたウフィッツィ美術館も見えます。記念写真。橋を渡り切り、少し坂を登るとピッティ宮殿です。内部の見学もできるようですが夕方が近くなりましたので、ぼちぼちホテル方向に帰りましょう。ところで、添乗員さんが、「ヴェッキオ橋は新婚さんは渡らないほうがいいですよ」と言っていました。なぜかといえば「別居橋」だそうです。嘘かホントか?。



バールのエスプレッソは美味しい
 途中、ヴェッキオ橋手前の「マドヴァ・グローブ」で革の手袋を購入。お店は小さいですがお客さんがいっぱい。フィレンツェは革製品が特産です。あの有名な靴屋さん、フェラガモもこちらが本店。特に多いのは日本人。若い女の子が「キャー、かわいい」と騒いでいます。同じ日本人として、「うるさいなー」。マドヴァ・グローブではカウンターに肘をついて手を差し出すと、店員さんがちょうどいいサイズの手袋を選んでくれます。指の股の部分を押さえて、フィットをチェックしてくれます。その手つきの鮮やかなこと。革の手袋を購入。日本へカタログを送ってくれるからと住所を顧客カードに記入しました。帰国後しばらくして、通信販売のカタログが送って来ました。

 ヴェッキオ橋を渡って、ヴェッキオ宮殿の前を通り、ドォーモの前まで戻るとツアーのメンバーに遭遇。ホテルはこっちだよねと確認して、ホテル方向に歩きます。夕闇迫って来ました。喉も乾いたしバールを見つけ入ってみました。人のよさそうなおじさんがお店の主人。エスプレッソコーヒーを注文。ぐい呑みほどの大きさの厚手のコーヒーカップに濃厚なコーヒーが泡立っています。素晴らしく良い香り。一口飲んでみると苦い!。砂糖をタップリ入れて飲み干しました。こんな美味いコーヒー、イタリアに来てなんで今まで飲まなかったのだろう。後悔しきりです。妻はジェラートを幾つか味見して注文。すこし舐めさせてもらったら、これもすごく美味しい。



今晩はキャンティ・クラシコ
 本日の夕食はホテルの最上階、フィレンツェ市内の夜景を眺めながらのディナーです。本日のワインはと言うと、トスカーナ地方はキャンティ・ワインの産地。特にキャンティ・クラシコはおいしいとのこと。早速ボトルで注文、皆で分けあいました。キャンティ・ワイン品質証明は瓶の首に巻いてあるピンクのラベルだそうです。これを確認して買えば間違い無いとのこと。ところで、フィレンツェの水道水は飲んではいけません。ミネラル分を大量に含む硬水であり、大量に飲むと下痢をすることがあるそうです。洗面台の蛇口には鍾乳石のようにミネラル分がこびり付いています。夕食のデザートで出された紅茶、ティーパックにお湯を注ぐと紅茶の色が黒っぽい茶色になります。味も少し変。

 ホテルの客室はクラッシクホテルらしく天井に木製の梁が見え、廊下と隔てるドアは木製で何故か2重ドアです。足音を遮るためでしょう。廊下は狭く、入り組んでおり、建物の古さを感じさせます。バスルームの浴槽は西洋映画に出てくる舟形の足のあるやつです。

 夕食時、添乗員さんの話によると、ここのホテルは出るそうです。夜中に。中世の甲冑を着た騎士が馬の乗って、壁の向こうから音も立てずに。そして、すーっと消えて行くそうです。日本のと違うのは足があること。脳天気な私はぐっすりと眠っており、何も見なかったですが、これも歴史のある街のクラシックホテルならではのお楽しみです。


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