川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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美の巨人たち:平田郷陽<粧ひ>

2011-03-20 14:43:50 | 美の番組紹介
美の巨人たち:平田郷陽<粧ひ>



人形作家である平田郷陽の代表作
それが、本日の化粧をする女こと<粧ひ>
です。
今から80年前、昭和6年の作品です。


当時の芸術界では、「人形」の置かれた
位置づけは、伝統工芸であった。


ここに真っ向から挑戦したのが平田郷陽。
横浜の山下公園の側で、人形作家の家に
生まれた。
小学生から父に習い工房に出入り。
生きている人間
等身大の人形
写実主義を根底から教え込まれた。


その彼が、日本の芸術界に人形で挑んだ
のが彼の作品である。
25歳の彼が「青い目の人形」へ日本側
返礼として、第一等になる。
81㎝の「桜子」。


彼の作品はまさに人体を研究し尽くされ
ており、骨格から筋肉のつき方まで
体までも表現する彼の人形
(従来は体はハリボテである)

人間自体を表現する技術を平田は身に
つけていた。

彫刻でもなく、
絵画でもなく、
圧倒的表現力で人間の美を描く。
まるで、生きているように思える人形。


それは、外形だけではない。
心の中の女心さえも表現する。
迫真の姿
細部の凄み
手で植えられた髪
桜色のほほ
血が通う耳
切れ長の目は、鏡の中の自分を見、
唇からは吐息さえも
聞こえてきそうである。

生きているとしか思えない



人形作りは総合芸術であるという。
姿かたちは彫刻力
目口は画家の表現力
衣装はデザイン力
小道具は工芸家の力
全てを動員して、生まれた総合芸術
それが、人形であるという。


際立つ技術は、「命」を感じさせた。


百聞は一見にしかず。ぜひ、本物を見てみたい。


平成23年3月20日 川越芋太郎


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