川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

川越芋太郎の世界へようこそ!
一言メッセージ・「美」の探訪ブログです。短編小説などもあります。

美の壷:帯

2009-06-29 22:12:00 | 美の番組紹介
「美の壺:帯」   NHK

今回の美の壷は、「帯」

帯びは美の魔法使い!

巾30cm、長さ4m20cmのキャンパス。着物を引き立たせると同時に、多様性から女性の人気を集めている。アンティーク帯はブームにさえなっている。

帯びの歴史から覗いてみよう。
紐から端を発している。
紐は当然着物の乱れを防止するところから来ている。
帯はその後、成長を遂げ、今では100種類以上の結び方がある。
番組では帯びの3つの壷を紹介しながら、その特徴を説明する。

美の壺1・・・「柄の力立体感にあり」

 織帯のふっくらとした質感は、縦糸と横糸の組み合わせから表現される。
 平面から立体への秘密は、横糸を操る技術にある。
 難しいアートを織りで表現した芸術性がそこにある。

美の壺2・・・「帯結びが表す女心」

 江戸時代に結び方が次々と生まれ、結ぶ気持ちや人柄を表すまでに昇華する。
 例 <お太鼓結び>
   一般的であるが、柳結びから進化したこの形は、やさしさや気品を
   表現する。
   <文庫結び>
   武家の結びとして、解けない、きっちりとした気持ちを表現する。
   <たて矢の家結び>
   若い女性や振袖に使用される。

 結び一つで、各種の気持ちを表現できるように工夫されている。
 ⇒ここから、「帯の乱れは心の乱れ」「帯びは魂」などの表現が生まれた
  と思われる。

美の壺3 帯締めは存在感ある名脇役
 帯びがずれないようにする、固定する道具として、刀の下げ緒から進化した
 帯締め。
 当初の役目からいまでは、「着付けの最終行為」として、着物をきること、
 きりりとなる心を表現するといわれる。

 とはいえ、そこは、現代感覚にて、着物・帯・帯締めの3つのトータル
 コーディネイトを楽しむことができる。


さて、今では、着物は贅沢品になりつつある。洋服と比較しての話であるが。
しかし、そこは日本人、着物を着ると何処となく、気持ちが変わる。
やはり、丹田に気を入れる帯のなせる技と考えるが。
皆さんはいかが思いますか。


さて、最後に、我が家の帯びを紹介します。
上記の写真です。
奥の従姉⇒奥の姉⇒そして奥。やがて、わが娘も締めるであろう。
この帯は昭和初期のものです。帯締めは奥が成人式に使用したものです。

こんな楽しみ方も、やはり帯のなせる最大の技かもしれない。

美の巨人たち 「ドミニク・アングル」

2009-06-28 09:56:32 | 美の番組紹介
美の巨人たち 「ドミニク・アングル」  テレビ東京


今回の美は、ドミニク・アングル!
ファフォスのビーナスがテーマでした。
アングルはデッサンの巨人です。


作家の代表作を収納するルーブルではなく、オルセー美術館に収納されており、
そこからが意外性に満ちています。

パフォスのビーナス!
あのビカソが気に入った画家自らだけの所蔵は何を意味したのか。

一見は花のつぼみ・輝く生気・筆跡を残すタッチ・上気したほほ・憂いを込めた瞳
これらは、神話にのっとった基本構図でありながら、何か見るものに違和感を与える。

本来はデッサンの名手として、女体の美しさを描いたものが多い。
作品は先進性があり、評価は二分される。
そんな画家が生涯自分の手元に置いていた作品である。
国立美術学校校長を勤めた画家の一枚の絵に込めたメッセージとは。

なぞの一枚
1、古代の体に当時の女性の顔をつけている
2、特定のモデルを想定される⇒バレイ夫人(貴婦人)
3、ポーズを書き換えている?
4、書き換えた跡を残すタッチ?

2つの方向からの画像を合わせた?
女性の美をあらわす背中からの姿と胸が見える方法の2つを。
画像の自由性を表現したかったと番組では解説する。

実はこの当時、画家達に大きな危機が訪れていた。
写真にできないことをしたかった。
「自由と可能性」を写真に対する絵画の優勢性として表現したかったのでは。

そして、それは、以降継続的に絶えず画家自身を刺激する作品として
手元におきたのではないか。
まるで、モナリザのように。

ピカソはこの絵からの刺激で一枚の絵を描いている。

確かに、この一枚にの絵画には、不自然さがある。
それでいて、ひきつける魅力を持つ。
写真とは違う、明らかな美がそこにあった。

「美の巨人たち」は芸術、とりわけ絵画や彫刻などを身近に感じさせてくれる
よい番組である。
美の壷と合わせて、今後も視聴して行くこととする。

参考資料(横浜美術館):http://www.france19.com/features/index02a.html
現物を見たいなら横浜美術館へ8月31日まで!
:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090614-00000001-hsk_yk-l14

美の壷  「椅子」

2009-06-27 13:18:23 | 美の番組紹介
美の壷からご紹介

今は、ナビゲーターが草刈 正雄さんです。
我が家の妻と娘が大のファンです。
家族3人で毎回視聴しております。
妻は同郷ということもあり、娘は娘で、「正雄ちゃん、などと叫んでいます。」
「正雄ちゃんが、お父さんならよかったのに。」だそうです。(笑)
脱線しましたが、では主題にまいります。


美の壷  「椅子」

「椅子」は日本人にはたかが椅子ですが、欧米では「されど椅子」
必需品である。

番組では、建築家が作る椅子をとおし、椅子のもつ不思議な力を紹介する。
マッキントッシュ・クライドロイドライト・ガウディーなどそうそうたるメンバーである。

なぜ、建築家が椅子を多く手がけるのか?
ある建築家の言葉を借りてそのあたりの事情を解く。

建築家は建物を作るときは自由ではない。
施主の意向・予算・工期・などいろいろな制約に縛られる。
自分の発想で自由に描ける作品としての「椅子」に魅力を感じる。
椅子は建築家にとり、建物の原点であると言える。


なるほど、これが美の壷第一か。
つぼ第一:「デザインに建築家のエッセンスを感じよ」

次に、白木でできた椅子が時間の経過とともに、キャラメル色になる。
利用者の表情を蓄積するとも言える。

二番目の美の壷:「時を経た木の味わいを堪能せよ」


利用方法がそのまま味わいとなる。
同時に、椅子は建築の人体としての構造物を如実に反映している。
特に、女体を感じさせるフォルムはステキな女性と同席するような感じを生む。

それらのことから自然と、椅子は人の気配を持つことになる。
人の身体を表現し、人を感じさせる。
まさい、そこに人がいないにもかかわらず、人がいるような錯覚を与える。

美の第三の壷:「たたずまいに人のぬくもりを感じる」

視聴後の感想であるが、「椅子」の持つ魅力を堪能できた。
1、優れた椅子は人を物理的安らぎ以外に精神的に人を包み込む。
2、「椅子」には、建築家の優れた発想が凝縮されている。
3、「椅子」は時に思い出さえも作る理由がわかる。

我が家にも「椅子」は多数ある。
初任給で購入した椅子! 
妻と購入した椅子!
リラックスする時の椅子!
など。

椅子に感謝!


追記:写真の我が家の「椅子」は妻作成の子供椅子です。

美の番組をご紹介

2009-06-27 09:04:23 | 美の番組紹介
美の番組をご紹介することにします。

美の壷 NHK教育番組 
美の巨人(たち) テレビ東京

まず、美の壷

谷啓さんがナビゲーターを務める美術番組です。テーマは「くらしの中の美」。
古伊万里や盆栽など、人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを取り上げ、
選び方・鑑賞法を、いくつかの「ツボ」に絞ってわかりやすく解説します。

今は二代目の草刈正雄さんがナビゲーターをされています。
毎回毎回、映像の美しさに加え、色々な観点からの紹介や私達が見過ごし
てきた美に焦点をあて、解説します。

私はこのNHKの「美の壷」とテレビ東京「美の巨人」を毎週拝聴しております。
ビデオにも収めております。(笑)
残念ながら、ビデオがハイビジョン対応ではないのですが。

と言うわけで、今後、このブログで両番組の内容紹介と私の感想を記載します。

美に興味のある素人の代表として語ります。お楽しみください。

番組紹介
美の壷:http://www.nhk.or.jp/tsubo/
     日経映像の紹介文
     テーマは「くらしの中の美」。
      人の暮らしを彩ってきた美のアイテムを取り上げていきます。
      番組ではそれぞれのアイテムの選び方・鑑賞法を、いくつかの
      「ツボ」に絞ってわかりやすく解説していきます。
      この番組で紹介したツボを覚えていただけば、ひとかどの「通」
      として振る舞うことができるかも・・・。
      ウィキペディア:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E3%81%AE%E5%A3%BA

美の巨人:http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/
     正式タイトルが『EPSON MUSEUM 美の巨人たち』(エプソン
     ミュージアム - )であった。
     現在の正式タイトルは『KIRIN ART GALLARY 美の巨人たち』
     (キリンアートギャラリー - )となっている。
     切り口が斬新で映像も美しく、紹介する作家も多様性にとみ
     楽しみな番組です。

キール&ロワイヤルキール(後編)

2009-06-06 08:42:54 | 短編集バー物語
キール&ロワイヤルキール(後編)


セント・ジョージ名物の生バンド演奏が始まった。
男も女も、音楽と会話を楽しみながら、二人の世界を満喫する。


ふと、見回すと、いつのまにか、店内は満席に近い状態であった。
唯一の例外は、カウントー席。
二人の横の席は、なぜか開いている。
おそらく、店側の配慮であろう。

突然、バンド演奏が「Happy Birthday Song」に替わった。
無論、ジャズ風にアレンジされた、懐かしくもあるリズム。
伝わる詩が男の名前を告げる。
そう、店全体がなんと、男の誕生日を祝う空間に変わった。

最後の[Happy Birthday too You]と聴き終えると、大きな拍手が沸き起こり、
バンドリーダーの視線がカウントターへ注がれる。
満足げに、男は、マティーニのグラスを心持目線上に上げ、
バー全体のお客様へ半回転し、着席した。

なんとも、居合わせた男女・日本人外国人を問わず、祝福の拍手と乾杯。

素敵な演出であった。


男は、女を引き寄せて、再度、目礼を店内にする。

バンドマスターが男の好きな「Moon River」を奏で始めた。


さすがですね。
席についた男は、女にささやく。
君は、「安らぎの演出家ですね。」
なぜか、忙しい時も仕事で疲れたときも、少々へこんだときも、
君といると「安らぎ」の時間となる。


金や名声やパワーでも恋でもない。
「安らぎ」
男がこの女に密かに魅かれる理由はここにある。
男には、安らぎがあるからこそ、未来にチャレンジできる。

美人との恋は、うきうきするが安らぎは稀である。
男にとり、勲章でもない、見栄でもない、欲望でもない、
安らぎの対象としての「何か」がここにあった。

女は男に尋ねる。「誕生日おめでとう。これからの目標は?」
男は、「東洋と西洋の融合で行きます。」

「?」

「環境に自分を適合させながら、それでいて、自分の核となる
未来像を目標に進みます。」

女「環境や事物に上手に適合するの東洋風ね。そして、かくあるべきとした
姿を描き、行動するのが西洋風ね。」
「もう、禅問答みたい。日本風かもしれないわね。」

「こうして逢えるのは、さてどちらでしょうか?」男と女は同時に同じ質問を
心の中で呟いた。

(後編完)

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本作品は、すべてフィクションです。登場人物及び店名・バーテンダー
についても同様です。
悪しからず、ご了解願います。

キール&ロワイヤルキール(前編)

2009-06-04 14:22:45 | 短編集バー物語
キール&ロワイヤルキール(前編)



そこは、とあるターミナル駅の超高層ビル群の中に、オアシスのようにしっとりとたたずむ。
「セント・ジョージバー」は、落ち着いたホテルの1階にある。

正面の入り口から入ると、大空間が面前に広がる。英国調の落ち着いた店内を左に
横切るともう一つの世界が現れる。
左手は、オーク調のカウンター席、奥手には、生バンドの楽器類が設えてある。
贅沢なぐらい、椅子の間隔が取られ、周囲への配慮が行き届いている。



雨の中、大きな傘がひとつ、ホテルのロビーに近づく。
男と女は、迷うことなく、1階バーへ吸い込まれてゆく。


名前を告げたのは女であった。
予約は女が入れたものである。
二人は、入り口で傘を預け、左へと薄暗い店内を歩む。

黒いタキシード姿の店員は、男に向かい、「バンド脇のお席」を用意して
おりますが、いかがいたしましょうか。」


男は、「申し訳ないが、カウンター席にしてください。」と迷うことなく選んだ。
そう、この男は、カウンター席に座る“いつもの人物”である。


女は席に着くと、「くすっと、かすかに笑った。」
ほとんど、笑みに近かった。


「やはり、カウンターね。」
「ジャズが好きで、生バンド演奏だから、あの豪華なハイバックの席かと
考えたわ。」

そう、生バンドの前には、赤やエンジの豪華なハイバックのシートが広い店内に
その存在感を主張していた。


映画に出るようなすばらしい椅子でしょ。

まさに、映画のワンショットにふさわしい豪華なつくりであり、ゆとりのある
空間である。


男は、笑うように、はにかみながら、「シガーが苦手でね。」


「いずれ混んでくれば、あの周辺は香ばしいシガーで満たされるからね。」
バーが好きなくせに、シガーが苦手とは・・・。

「それに、ここの方が、君との会話を楽しめる。」
「こんなにカウンタースツールの間隔が広いところはない。」
革張りの女のスツールをなでながら・・・・



男はマティーニを、女はキールを注文する。

「今日は、ここで音楽を堪能しましょう。多少の食事も邪道ですが、
頼みました。」

女は、「本日のホストよろしく、バーテンダーに合図をする。」



男は、「今日の君、珍しいね。」「首飾りをしている。」

女は、答えて曰く「今日は特別よ。あなたの誕生日ですからね。」
「そして、珍しくも、スカートでしょう。」


黒いドレッシーな装いである。同時に、首筋には豪華な黄金色の首飾り。」
何かを秘めた女性の見せる妖艶な美しさであった。
白いキールが服に対比してダイヤモンドのように美しく輝く。


女が飲むキールはワインベースのカクテルとして、人気を誇る。
フランスはブルゴーニュ地方特産の“アリゴテ”という辛口の白ワインと
クレームドカシスをミックスしたのが始まり。
キール氏は、確か、ディジョン市の当時の市長であった。


キールの白ワインを赤に変えれば、カーディナル。
食前酒(アペリティフ)として人気の高いカクテルである。


二人は、いつの間にか、大振りのグラスとフルート型のグラスを軽く
持ち上げる。


男は、女の目を見ながら、「今日のマティーニは格別だ。」
「ここの大振りのマティーニは濃厚でいて、気品すらある。」
「良いところを選びましたね。」


女は、「楽しかったわ。音楽と美味しいお酒と落ち着いた雰囲気が揃うお店」
どうやら、男のために、店を探したようだ・・・。

「それに、少しばかりの食事ができるところ」


男は、「ありがとう。」と素直に言葉と体で表現した。
                           (後編に続く)

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本作品は、すべてフィクションです。登場人物及び店名・バーテンダー
についても同様です。
悪しからず、ご了解願います。