川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

川越芋太郎の世界へようこそ!
一言メッセージ・「美」の探訪ブログです。短編小説などもあります。

美の巨人たち:北大路魯山人

2009-12-28 21:23:08 | 美の番組紹介

知られざる魯山人
山田 和
文藝春秋

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「美の巨人たち:北大路魯山人」

今日の作品は、北大路魯山人作『銀彩緑釉文輪花鉢』。
参考:
魯山人といえば、書に始まり、篆刻(てんこく)、陶芸、絵画、そして料理に至るまで、
自分の世界を貫いた芸術家。
本日の作品は、その芸術家の晩年の作品です。

織部焼きに独自の特徴を織り交ぜた。
使われて価値を増す器。
すすきと秋の虫を描く事で、秋の空気を醸し出しながら、真中に描かれた書。
ゆがみも、銀の色合いも全てが味わいを醸し出す。
魯山人は織部焼で人間国宝の打診を受けるも断っている。
織部に拘ることなく、飽くなき「美」の探求を継続する意思の現れであろうか。


番組では、簡単に魯山人の出生を紹介する。
京都上賀茂神社近隣の貧しい家に生まれる。
父が自殺、母は出奔という境遇の中で、家族の愛を知らず成長した。
辛い日々の中で、一筋の光を見出した。
それが、「美」であった。
「美しいものをこの世に捜す為に生を受けた。」と思い、実践した。


丁稚奉公の合間に、看板から書を模倣し、釜戸の灰で練習をした。
古典に学び、師を持たず。
生活を高める為に、名前を次々に変え、スケールを大きくした。
海砂・・・大観・・・魯山人へ。

35歳で魯山人の称号に変更。
美術骨董屋を開設するも、不景気の煽りを受け、売れない日々。
打開策の一つが、うまい料理を盛って出す。
料理と器のコラボです。
彼の貧しい生活での不撓不屈の精神が役立ったのでしょうか。

42歳で会員制の美食倶楽部『星岡茶寮』を今の赤坂に開店。
料理の世界に新たな境地を見いだします。

43歳の時、北鎌倉に窯を開く。
多くの職人を雇い、備前、九谷など、様々な種類の陶器を作成。
本日の作品「銀彩緑釉文輪花鉢」もここで生まれた。

魯山人は、多くの職人に土捏ねや形を任せ、最後に自分で手を入れた。
魯山人の本領は、絵付けと色。
緑釉は、濃淡の味わいを出すのが困難ですが、彼は絶妙な濃淡を
生み出す天才でした。


魯山人はケチ?
失敗作ともいえる平坦な器を全部棄てないで取っておく。
銀とあわせる事で、銀とかれの緑が味わいのある風情をかもし
器が蘇る。
これを当意即妙というのであろうか。
光と色のリズムを心の赴くままに、場に応じて変化し、
他のものに仕上げる。

あらゆる美を知って本当の美が分かるとする魯山人らしい
いい感じのエピソードです。

まるで本当の美とは、生きていること。
飾りではなく、使うほどにますます美しく、味わいある美と
変化させることなのかもしれない。


魯山人の器 (NHK美の壺)

日本放送出版協会

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アトピーの女王

2009-12-26 20:48:05 | 知恵庫先生の講座
「アトピーの女王」  著者:雨宮処凛  出版社:光文社知恵の森文庫


芋太郎にしては珍しい内容の文庫を読みました。
多少時間を経過した文書で、2002年の作品です。
とはいえ、内容は充分に今を語ります。


著者、自称の「呪われた一家」に生まれたアトピー少女が女王になるまでの
苦悩と笑い(著者の語りかけの面白さからつい)の人生禄です。
女王という意味合いも読んでいるうちに分かります。
アトピーとの壮絶な闘争記録であり、社会論でもあります。


アトピーというふざけたネーミング(著者の言を借りる)から患者以外の誰もが
真剣に考えていない。
「死に至る病でない」ことから、同情も心配も関心さえも軽い。

それどころか、患者数の多さや死に至らない安心感からか、ビジネス化した
金儲け的な側面を合わせ持つ。
ステロイド対応一つをとっても、統一見解もなく、金儲けの道具と化している。
そんな社会現象が透けて見える書籍です。


実は、芋太郎が注目したのは、健常人が持つある種の残酷性です。

著者が冗談半分で語る「程度の重い患者を笑い、自分を慰める。」心情やら、
「自らの罪悪性を恨み自分を否定する行為」がどれだけ辛い事か。
本書はあまりにも明るく、さっと書かれている為に、その重さを
感じられない読者も多いかもも知れない。


我々の心に内在するある種の「差別性」「残虐性」を垣間見る。
見ることにより、自らの「差別性」「残虐性」の存在に気が付き、
恐れ・制御する理性が生まれるのではないだろうか。
本書は是非、成長期・思春期の少年少女に読んで欲しい。


同時に、社会論として、痛烈な批判を内在する。
1分診療の皮膚科医から便乗商法の金儲け商人達が徘徊する。
弱い者・悩める者から全てを奪い去る手口。
それを規制もできない政治や社会の大人たちのルール社会。
これでもかと言うほどに、現在の社会の悩める姿を見ることができる。
さすが、雨宮処凛!


結局は、我々一人一人が動かなければ、何も変わらない。

患者から周囲の人間も含め、全ての人間が、人間の尊厳について考える
必要がある。
重たい言葉よりも、簡潔に言えば、「汝の隣人を愛せ」であろう。
これが、「全て」である。

宗教的な世界観で締めくくるが、「人は自分の心の奥を見つめるとき、
初めて他人に優しくなれる。」と私は考えている。
それは同情ではありません。
弱者保護でもありません。
人として当たり前の・・・です。

あなたなら、どう考えますか。


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ETV特集番組 戦争とラジオを見て

2009-12-22 22:55:59 | 知恵庫先生の講座
「ETV特集番組 戦争とラジオを見て」


NHK教育テレビの特集番組で面白い企画があり、鑑賞させていただいた。
いつもの芋太郎流の政治意見ではなく、多少違う側面も交えて、感想を
記してみたい。


東京ローズに代表される戦時宣伝番組は多少耳にはしていたが、番組での
取材活動を含めて、良き勉強となりました。
ありがとう、番組制作の皆さん。


さて、短波ラジオを通しての諜報活動の一環としての活動を
視聴者の皆様も身近に感じたのではないだろうか。
近時の北朝鮮を見る思いがします。


番組内での当時の情報局文書に記載された文書が記憶に残る。
「相手の心を狙う銃弾である。」
「情報という銃弾は遠距離や見得ないの相手を打つ事ができる。」
このような内容の表現がありました。


情報の錯綜を狙うというようりも、さらに進んで、厭世気分を盛り上げる
ラジオ放送による情報活動は敵国であった米国が一番認めたことであろう。
それは、VOA発足から終戦後の占領体制、その後の米国世界戦略の
中で重要な施策となった。


実は、政治軍事の話を本日はするよりも、違うことに言及したい。


最近読んだ本で感銘を受けた「フランケンシュタイン・コンプレックス」
(副題:人間はいつ怪物になるのか 小野俊太郎著者)に関わる話である。
(芋太郎ブログ参照してください。)


この中で、プロメテウスの火、第二火が原爆(原子力)、第三の火が
コンピュータやネットワークに代表される情報革命と言われる。


ふと、この「プロメテウスの火」が、上記番組を見ている時に、
頭を過ぎる。
第二の火が原爆(原子量)ではなく、実は言語(言葉と文字)ではないか。
そう思えたのです。


言語と文字は「火」と動揺に人間生活に不可欠のものです。
同時に動物と人間を区分する最大の道具です。

原爆などは、単なる火の大きなもの(大規模ですが)といえる。
芋太郎は、第二の火は言語と文字であろうと考える。


それは、「心を打つ銃弾になる」。の一言から湧き上がる。

人は、どんな時に怪物になるのか。
そう、まさに、言葉と文字を利用した怪物が現存するのです。
我々の中にも社会の中にも。


話を転じれば、最近の「いじめ」もある意味で、人間本来の中に
宿る怪物性の発露のような気がします。

悪口を言う。人を貶す。暴言を吐く。言葉巧みに騙す。
人を辱める言葉を吐く。
自己弁護や自分を大きく見せる。
自分を守る為に他人を貶める。
枚挙に暇がありません。


私たちは、諜報や防諜というと別世界と考えますが、
実は私自信の生活空間で行われ、私達自信が大なり小なり相手に
対して行っている。
この事実を忘れてはならない。
相手を貶め、自分の利益を守るために。
言葉も文字も、なくてはならない人間としての道具です。
だからこそ、「人間の尊厳を確保する方法性」に利用することを
常に心がける必要がありそうです。


この作業を怠ると、いつか身を焦がすことにもなりかねません。
プロメテウスの第二の火は、「言葉と文字」である。
そう確信する。


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NHKスペシャル:チャイナパワーを見て考えた事

2009-12-20 16:37:46 | 知恵庫先生の講座
「NHKスペシャル:チャイナパワーを見て考えた事」


建国60周年を迎えた中国では、新たな動きが加速されているようだ。
世界の工場となり、安価な大量生産品が農作物とならんで、世界市場を
席巻している。

いまや中国の外貨準備高は日本を抜いて世界一となっている。
この番組では、この外貨準備高を最大限に利用した政策が今、
政府の旗振りの元に、進行している。

金融危機以降、動きは加速され、金を必要とする欧米や世界を相手に、
資金提供国として壮大な計画が動いている。
その計画とは、共産党中央政府が音頭をとり、帰国組みの華僑を中心とした
集団による金融ビジネスへの転進である。

中国が狙うのは、産業のレベルアップと資源の確保。
産業のレベルアップとは、技術力に劣る中国起業が今後世界企業として
成長するために必要な技術力を輸血という方法で確保し様としている。
そう、M&Aである。
金に任せて、世界中の企業から技術と特許を狙い打ちにしている。

中国が今後も高い成長をするには、世界に打って出る。
それは、付加価値の高い商品提供に他ならない。
付加価値とは、3つの鍵を指す。
技術・特許・ブランド
である。
番組では、中国企業による米国ナスダック市場への上場を狙う裏上場を
紹介していた。
別段裏といっても違法行為ではない。
ある意味でブランド価値の小が大を飲み込むM&Aである。

さらに、漢能投資集団を通して、世界の資源を求める投資とM&Aの
取材を紹介していた。
まさに、中国及中国人が自信を持ち世界中に羽ばたく劇場を見ている
ようであった。

では、バラ色の将来だけがまっているのだろうか。
番組の中である中国人が言及していたが、
「中国は金がある。買うかどうかは我々が決める。」
「自信のあるところに金は集まる」
「大きい国には大きい性格がある。小さいことには拘らない。」
まさに、名言であろう。
華僑の本音を垣間見た感じがする。

ここに中国の自信が表現されている。
しかし、裏を返せば、危険性も表現されている。
現実は、世界150カ国に進出し、世界中で摩擦を呼び起こしている。
オーストラリアのリオテント問題もその一つである。
どうやら、世界中の民族主義を目覚めさせる起爆剤となる可能性がある。
冷戦後、世界は国際化やグローバルゼーションという美名の下、
あたかも一つであるような動きが相次いでいる。

しかし、現実の方向性は複雑系の様相を呈している。
民族主義の高揚やブロック化の危険性も有り得る状態である。
これを招くきっかけになるのが中国ではないかと私は危惧している。
万一、危惧が現実となれば一番の被害を受けるのが、
中国を含めたアジアであると思われる。

自信と傲慢の違いを常に肝に銘じた行動が今後は世界をリードする
諸国には、必要不可欠である。
世界は自国のみでは存続できない時代になっていることを理解したい。


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美の壺:クリスマスツリー

2009-12-19 18:16:31 | 美の番組紹介
「美の壺:クリスマスツリー」 NHK


本日の美の壺はクリスマスツリーがテーマです。
知っていましたか?家庭でクリスマスを祝う事を提唱したんが
あのルターだと?
本来教会で祝うクリスマスを家庭に持ち込んだわけですね。
神の恵みを祝う祭りです。

では、見てまいりましょう。


<美の壺1:オーナメントに込められた歴史を読む>

クリスマスのオーナメントといえば、場所に応じた個性的な
ものが多くあります。
フィンランドでは大地と森林、土地の信仰とキリスト教が混ざり合う
トントというこの土地ならではのオーナメントがあります。
穀物の雪魂を象徴したオーナメントも独自のものです。

オーナメント以外では、ケーキなども土地柄が反映されます。
昔恵み薄い青年がプレゼントに蒔きを送った故事から生まれた
ブッシュドノイルというケーキが有名です。
蒔きの形をしたケーキを見かけますね。
私達昭和世代のケーキは単なる丸いケーキでしたが。


<美の壺2:モミの木が形作る三角形を愛でよ>

モミの木の特徴は枝の形です。
先端が十字架のような形となり、教会の形として想定されました。
同時に、モミの木は理想の形でもありました。
円錐であり、三角形の外形を整えます。
三角とは、父と子と精霊を表現します。
キリスト以前からの信仰の対象として、生命のシンボルでもありました。


<美の壺3:ツリーの光は星のきらめき>

ツリーといえば、最近のイルミネーションは豪華になりました。
イルミネーションもこれまた、ルターのひらめきだそうです。
礼拝の帰路、満点の星空の光を神の導きとして表現する事を考え、
モミの木になんとローソクを飾ったそうです。
今思えば、火災の心配がある、危ない飾り付けですね。
ツリーの光は星のきらめきを意味します。

光はどうやら、星のきらめきが一番のようですね。
「ゆらぎ」と「色」がポイントです。

自然の光には「ゆらぎ」がある。
この不規則な「ゆらぎ」が人の心に安らぎをもたらす。
電飾でこのやすらぎを表現するには?
そう、呼吸のテンポで点滅すると良いそうです。

次に色合い
光には朝方の白い色。
日中の青い色。
夕方のオレンジ色があります。
人間が一番やすらぐのは、このオレンジ色だそうです。
目をつぶれば、暖炉の光や窓の暖かい光とくれば、オレンジですね。

最近では、都会的な色合いの青白い色も多いです。

どちらにしても、無数の光を部屋の中に飾ることで星空の
安らぎと神のめぐみを表現しているのでしょうか。


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美の巨人たち:クロード・モネ

2009-12-15 22:15:44 | 美の番組紹介
「美の巨人たち:クロード・モネ」


クロード・モネといえば、印象派の大家を連想しますが、本日のモネの
作品はちょっと変わった作品です。
我々が日頃から親しんでいる「モネ作品」から想像し難いようなモネ
晩年の作品を紹介しております。

モネはパリから約80km離れたシュベルニーという小さな村に彼の
理想郷を構築しました。
「余生を過ごすならこんな所」と言わんばかりの気の入れようです。
絵と庭づくりがモネの最大の楽しみであったようだ。
ここに、家族と異動し、色とりどりの花を植え、理想の庭園を造った。
モネ自身が、「花のおかげで画家になれた」とさえ言い切るぐらいの
花好きです。

我々日本人には、庭といってもその広大さを理解できないかもしれない。
何しろ2万平方キロメートルもある。
そして、日本庭園を模した橋までかけている。
モネは自他ともに認める大の日本ファンである。
それは、広重などの浮世絵を大量に保有するところからも解る。

この日本庭園の睡蓮池は、かの有名な「睡蓮の池」である。

かれは、若い頃は郊外へ出て創作活動に勤しんだが、ある時期からは
自信の庭での創作活動に注力するようになる。
モネ自信がこの庭を「私には最高の場所である。」と言っている。

印象派といえば、うつろう今を色彩で表現した観が強い。
モネといえば、光の画家であるとも言われた。

しかし、本日紹介されたモネは、私達の常識を覆す「日本の太鼓橋」
という絵画を何点も描いている。
従来の柔らかい、緑を主体とする睡蓮の池に掛かる橋ではない。

混沌とした色彩
塗り重ねた絵の具
抽象画と見間違うばかりの絵画
池の水面は燃えている
「狂気か破綻か・・・」と勘違いするような晩年の作風。

モネの晩年にいったい何が訪れたのであろうか。

モネは86才で永眠するまで、幸福と失望を味わったようだ。
家族の逝去・友人達の逝去と続き、晩年はこの大きな庭園に孤独の
身を寄せていた。
孤独の老人は、絵画の世界に精力的戦を挑んだ。

生まれたのが本日のモネらしからぬ「日本の太鼓橋」に代表される
晩年の作品である。
高齢のモネが最後の力を絞り、精力的に描き出した。
「何も見えなくなる前に全てを描き尽くしてしまいたい。」
という思いは、圧倒的な生命力を感じさせる。

来る抽象画へのプロローグとしての作品を残したといえる。
印象派最後の巨匠は、新たな作風に果敢にチャレンジした。
印象派を突き抜けるたった一人の挑戦を86歳に至るまで
続けたモネ。

新たなモネを見ることになった本日の番組でした。
“美の巨人”にふさわしい「モネ」!

じっくりと今度、モノの作品を味わって見たいものだ。



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美の壺:蕎麦猪口

2009-12-12 14:34:39 | 美の番組紹介
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「美の壺:蕎麦猪口」  NHK


本日の美の壺は、「蕎麦猪口」。
蕎麦猪口といえば、陶器ですが、ボーンチャイナでありながら、
非常に日本的な印象をもっているのは私だけでしょうか。
さて、番組では、3つのポイントを紹介しながら、
その蕎麦猪口の鑑賞ポイントを紹介しております。

季節柄、骨董市は全国津々浦々で開催されております。
是非、あなたも自分だけの蕎麦猪口を手にしてみませんか。


<美の壺1:使い勝手の生んだ器の型

元々は茶の湯などの会席膳として利用されておりました。
口が少し広いものが利用され、茶会のむこうつけとして活用
されたようです。
口径7cm程度で、高さが4~6cm程度。
最古の蕎麦猪口は1655年から同70年頃のものです。
18世紀になり、江戸時代後期、庶民の間に広まります。
蕎麦のブームとともに、全国的に広がります。
そのころ江戸では、4000件の蕎麦屋があったそうです。
いまの、ファーストフード店でしょうか。

蕎麦猪口の人気は、やはり、その「手に持ったときのしっくり感
でしょうか。」
単純な型でありながら、多くの蕎麦猪口が生まれました理由も、
威張らない身近に使えることのようです。
いわゆる雜器として。
何にでもマッチする、それでいて古伊万里から生まれた日本的な
美術価値も高いそんな蕎麦猪口にマニアが惚れています。


<美の壺2:蕎麦猪口は衣装持ち>

柳 宗悦 の「藍絵の猪口」で、こう記しています。
「いかに日本人が自然を友としたかが分かる」

動植物・天体・風景・幾何学模様とバラエティに富む。
絵柄は従来の手書きから江戸の大量生産に入りますと、型紙方式が
生まれます。和紙の型紙を利用しました。

また器の底に描かれた見込み文様も魅力あるものです。



<美の壺3:蕎麦猪口で時代を味わう>

「育てる」とう表現がありますが、「陶を育てる」とは、器を慈しむ
心の反映です。
それは、日常使用の食器の汚れや割れを慈しみます。
「金継ぎ」などの技法もその日本人ならではの心意気
ではないでしょうか。

「金継ぎ」とは、漆を接着剤として金粉で化粧させたものです。
割れた場所や修理の過程で非常に味わいが生まれたりします。
手をかけた味わい。

これは、茶人の古い時代を味わい・楽しむ喜びの心です。
同時に、年月の経過した食器などの歴史そのものを味わうことでも
あります。

古いものを上手に利用し、慈しむことこそ、エコですね。
日本人の心にはこんな粋な精神が宿っていたのです。(芋太郎)

さて、ここで、蕎麦猪口の見分け方を番組では簡単に紹介します。
ポイントは蕎麦書庫の「底」
江戸初期のものは、底がそりあがり上薬が全体に塗られています。
江戸後期のものは、内心(内側)に上薬が塗られています。
明治では、上薬がなくなります。
詳しく勉強したい方は「蕎麦猪口大事典」をご照覧あれ。

年代別 蕎麦猪口大事典

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ウィスキー談義7:環境とウィスキー

2009-12-09 22:34:48 | 短編集バー物語
「ウィスキー談義7:環境とウィスキー」

ウィスキーといえば水と空気と大地の恵み。
環境とのハーモニーで生まれるお酒です。

実は昨今の地球環境変化で、古くからの蒸留所に危機が迫って
おります。
あの、アイラモルトが危ないと言われております。
戦禍の次は自然が相手とは・・・。
営業妨害ではありません。(笑)

水飢饉がウィスキー製造に欠かせない「水」を確保できない状態が
発生しております。
年間の降雨量が2~3ミリの世界だそうです。

皆さんのウィスキーが危機です。
環境変化の影響がこんな身近な問題になっています。

特に、ウィスキーは長年の熟成期間が必要です。
タイムラグがあるわけです。
ここで「一儲け」などと考えおりませんか?(笑)

アイラ島の危機はいずれ、地球全体へ及ぶかもしれません。
そのときは、ウィスキーは高値の華となりましょうか。
われわれ庶民が飲めるのも、十数年かもしれませんね。

そんなことがないように、地球環境は私達一人一人の力で
改善の努力をして行きましょう。



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ウィスキー談義6:ウィスキーを食べる

2009-12-08 22:37:09 | 短編集バー物語
<ウィスキー談義6:ウィスキーを食べる>


「ウィスキーを食べる?」


「むしゃむしゃとは行きませんが、食べ物との組み合わせ
がいいのですよ。」

ワインとフランス料理、ワインとイタリア料理は定番になりました。
いま流行の言葉でいえば、「マリアージュ(結婚)」です。
実は、イギリスやスコットランドの場合は、ワインではなく、
ウィスキーとなります。

料理に利用します。
男の料理を得意とするかたは、チャレンジしてみてください。
食材はウィスキーを飲む時に合う食べ物なら可能です。


スコットランドの国民食「ハギス」(癖がありますが、モツ鍋を
食べる日本人なら問題なしです。)や「クラナカン」(デザート)
があります。

日本食にも、試してみてください。
個人的見解ですが、発酵したもの同士や蒸留所の近隣環境から
取れる物はいずれも合う可能性が高いです。(個人差はありますが。)

例えば、チーズ、牡蠣、海藻、茸

芋太郎は、一年中、バニラアイスや抹茶アイスと組み合わせます。
モルトのストレートには、チョコや和三盆もあいます。
私の好物は、ウィスキー入りのパウンドケーキです。


こうして見ると意外な食べ物とも合いますね。
ここはトライあるのみ。


話を変えますが、「マリアージュ」といえば、食べ物だけでなく、
水物との組み合わせもありですね。
それが証拠に、ウィスキーのリキュールものが増えています。
日本人の好きな水割りも見方を変えれば、この類でしょうか。

スコッチベースのリキュールといえば、「ドランブイ」です。
日本の酒屋やスーパーでも手に入れられます。
ドランブイで作るカクテル「ラスティネール」も味わえます。
詳細は、専門書に譲ります。
コーヒーに入れたら「アイリッシュコーヒー」。

ウィスキーは安価なものから高価なものまで色々あります。
ご自分の懐と好みで楽しみましょう。

少しばかりの楽しみで人生は充分に楽しめます。

では、今宵も「乾杯!」



ウイスキー銘酒事典
橋口 孝司
新星出版社

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美の壺:風呂

2009-12-07 21:52:01 | 美の番組紹介
「美の壺:風呂」


本日の美の壺は「風呂!」
いまなぜ、風呂なのか。
健康志向やストレスの多い現代社会に必要不可欠のリレクゼーション
だからかもしれない。

日本の風呂は、世界でも注目されているとか。
日本人は世界に冠たる風呂好き人種である。
肩まで入る日本の風呂は他国には珍しい形です。
恐らく、水の豊富な土地柄の恩恵でしょか。

内風呂の歴史は、意外と短い。
明治時代に裕福層を中心に広がりました。
もちろん、その昔から、温泉や旅館としての風呂はありましが。

<美の壺1:木の湯船は木目を愛でよ>

古くから温泉旅館などの風呂に利用された木造の風呂。
清潔感ある風呂として、木目の美しさや香りが特徴です。

この木目の美しさは、非常に貴重な木材を利用しているおかげです。
一本の木をドーナツ状に、樹脂・柾目・中心部と3つに分け
その柾目の部分を利用します。
年輪が狭く、詰まった部分のみ利用です。
贅沢な木材の利用方法でもあります。

その中でも、ヒノキやサワラ、高野槙が珍重されます。
高野槙は水に強く、舟の材料にも利用される打って付けの材料です。
しかも、水とあいまって、温もりや香りを生みだす優れものです。
冷めにくい実利とともに、日本人の安らぎ空間を作る最高の
材料です。


<美の壺2:濡れた天然石の色を味わう>

昔から温泉の原型として、天然の石や岩が利用されてきました。
その中でも御影石と伊豆石は珍重されてきました。
白黒の違いによる趣のある御影石。
薄い青をたたえる伊豆石。
(伊豆石は鎌倉時代の石として鎌倉石とともに、鎌倉の石文化を
構成する重要な石でしたね。)


伊豆石は、お湯と合わされると浅葱色(あさぎいろ)になります。
岩の中の溶岩と火山岩と海水のミネラルが生み出した天然の恵みです。
2000万年までの大陸プレート活動が生み出した伊豆の財産ですね。

ミネラルと浅葱色のリラクゼーション効果が心と体をリフレッシュ
します。


<美の壺3:癒しの空間を灯りと香りでつくる>

実は、今時の人々は明るい風呂しか経験がないかもしれませんが、
昔は、湯船は暗く、洗い場とは別の世界でした。
ほのぼのとした柔らかい光の中で、疲れを癒す風呂。
日本人は、自然の光を利用した最高の入浴方法を生み出しました。
月見風呂や雪見風呂です。

あ、日本人に生まれてよかったと思う瞬間ですね。

光の演出だけでなく、古来より数々の工夫がなされています。
菖蒲湯、柚子湯などの季節と植物が生み出す季節感を香りで味わう。
なんとも高尚な文化ではないでしょうか。(芋太郎)

さ、草刈さんに負けずに、私たちも内風呂で思う存分リラックス
しませんか。

参考:

芋太郎のおすすめ:
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ウィスキー談義4:命の水?

2009-12-06 10:43:58 | 短編集バー物語
<ウィスキー談義4>

ウィスキーの生まれは?

スコッチウィスキーの起源の記録が残っているそうです。
1494年、まだスコットランドでは紙がない頃ですね。

修道士ジョン・コーがアクアヴィテを造る。
アクアヴィテとは、「命の水」という意味ですね。

実は、「命の水」などと大層な名前をいただいたのは、
ウィスキーが造られた目的が、「不老不死の薬」だからです。

え、ホントかな?

日夜、錬金術師が「不老不死」を求めて、思考錯誤した結果
が、蒸留という方法で生み出された「命の水」ことウィスキーです。

残念ながら「不老不死の薬」では有りませんが、
我々に取りましては、ある意味、「不老不死」かも知れない。

なぜか?
だって、いいますでしょう。
一口、飲んで。
「ああ生き返った」と。

それに、現代科学といいますか、医学の成果で、
体にいいとも言われます。

1つは、赤ワインに含まれるポリフェノール!
実はウィスキーの含有量は赤ワイン以上です。

もう1ついは、中高年には気になるカロリーです。
同一のアルコール量で比較すると、ビールの7割で日本酒にも勝る。
糖分はワイン・日本酒・ビールの200から300分の一です。

最近では抗癌作用もあるとか耳にしました。

でも、体にいいからと言って、飲みすぎたら話は別です(笑)。
何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし。

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美の巨人たち:雪舟

2009-12-06 10:24:58 | 美の番組紹介
「美の巨人たち:雪舟」 国宝天橋立図


1501年頃、日本三景といわれる「天橋立」を描いた図。
墨で描く究極の図?
しかし何かが違う?
図の寺を中心に各々に名前が記載されている。
妙だ?
その目的はなにか?

番組では興味深く解説しておりました。

各部の絵を注意深く見てゆくと、貼り付けた各部の絵の大きさが全て
バラバラである。
結果として、絵の大きさがずれている。
寺や地名の記載といい、バラバラの大きさといい、これはデッサン
ではないかと想定されている。

さらに、普通の天橋立の景色と違う。
同じポイントで現在眺めてみても、見えない島が描かれている。
別方向からの風景が構図の下段に描かれている。
冠島と沓島。

番組では、

1、 これは、風景を俯瞰(ふかん)した図柄であるという。
2、 さらに、2つの景色を合成している。
     合成した2つの島こそ、実は「神」の島といわれる。
3、 陸側に描かれたのは仏閣、海側に描かれたのは神社。
 
雪舟が描き出したのは、
一人も人がいない世界です。
そこには、陸には深山・仏閣の世界がある。
天翔の世界との掛け橋としての天橋立
海には、神のシンボルとしての2つの島々
なぞ多き図柄は、天井から見た地上世界を彷彿する景色か?

いまだ謎多き雪舟の「天橋立図」であるが、
謎を謎として眺めながら絵画に触れるのもいい。
一度京都国立博物館に行く機会がありましたら、ご覧ください。

参考
美の巨人たち
京都国立博物館天橋立図
雪舟も学んだほんとうの水墨画を描こう
孫 信一
阿部出版

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ウィスキー談義3:電車中吊り広告を観て

2009-12-05 18:02:57 | 短編集バー物語
<ウィスキー談義3:電車中吊り広告を観て>


最近電車の中吊広告に「No music, No whisky」なる宣伝が
掲載されていました。
坂本さん初め有名音楽家が出ておりました。


ここで二言、ウィスキー談義をいたしましょう。


まず、「Whisky」 と「Whiskey」の違い。

「e」が入るかどうかですが、ここにもある物語があります。
スコッチの場合は、「e」なしのwhisky です。


ご承知の方が多いでしょうが、ウィスキーは「生命の水」と評され
ております。
ゲール語を語源にしております。
実は、Whisky は英語で、18世紀以降といわれ比較的新しいもの
です。


そこには、スコッチとアイリッシュとの覇権争いが反映しています。
「スコッチと一線を画するために、我々はWhiskeyという綴りを
用いる。」とアイリッシュ4大蒸留所の文章があります。
政治的な側面も多分にあったようです。



次に、話が飛びますが、音楽家たちのグラスの中身に注目。
オンザロックか、水割りと思われます。
水割りは日本風の飲み方です。(多分)

海外
でのウィスキーの飲み方は、多くがストレートです。
アルコールが強すぎる場合は、口の中で水と混ぜたりします。
実は、ウィスキーの芳醇な香りと味は、水割りにすると
かなり落ちてしまいます。


という訳で、芋太郎流としては、ストレートかオンザロック
をお勧めします。
ウィスキーを口に含み、世界旅行をする気持ちで、各蒸留所廻り
をしてみましょう。

こんな一夜の楽しみもステキではないでしょうか。
ウィスキーは英国流で試してみませんか。
ワイワイガヤガヤはビールでね。(芋太郎独断と偏見ですかね。)


ウイスキーはアイリッシュ―ケルトの名酒を訪ねて
武部 好伸
淡交社

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ウィスキー談義2:カナディアンウィスキー

2009-12-04 20:52:28 | 短編集バー物語
<ウィスキー談義2>


禁酒法とウィスキーのお話から・・・


禁酒法という法律が昔ありました。
そう、御承知の方も多いですが、あの米国での話です。
「アルカポネ」の時代ですね。
禁酒法は、「米国内での飲酒目的での酒の製造・販売・移動の禁止」
を謳う。


なぜ、禁酒にまでなったのか?
1、 ビール業界は第一次大戦の敵国であるドイツ人に牛耳られていた。
2、 戦時下での挙国一致のスローガンの元、嗜好品・贅沢品である酒に
      逆風が吹いた。


禁酒法は酒を飲むことを禁じたのか?

前述の通り、製造・販売・移動を禁じた。

しかも、時限立法であり1年の猶予期間までついた。(笑)
しかも、ウィスキーは精神性の病の特効薬とされたことから薬局で
購入できた。


当然の結果、隣国カナダからの密輸が大々的に行われた。
さらに、1年の間に大量の貯蔵した御仁も大勢いたわけです。


この時、密輸で大幅に利益をあげたのが、カナディアンウィスキー。
本家のスコッチ・アイリッシュは移動の禁止に引っかかった訳です。
舟で大西洋を大々的に密輸するのははばかられますからね。
(無論、密輸はありましたが、カナダにはかないません。)


カナダ政府公認の裏輸出ですね。
アルカポネが従来の丸型から角瓶にして、割れにくくしたことは
有名ですね

カナディアンウィスキー

ウィスキー嫌いの為のウィスキー談義

2009-12-03 22:19:34 | 短編集バー物語
「ウィスキー嫌いの為のウィスキー談義」


ウィスキーは飲まない。
あまり飲まない。
そんな御仁へのウィスキー四方山話集です。


通常、ウィスキーの話といえば、「通」に向けた話ですが、
芋太郎は「通」に話せるような特別な専門家でもありません。
しかし、周囲を見渡すと、意外とビール党や日本酒党(焼酎党)
がおりますが、ウィスキー党(水割り党を除く)は少数派です。
ワイン党というと女性が主流と勘違いされる今日ですが。


なぜ、今ウィスキーなのか?
追って説明します。
ついては、晩酌にそれぞれの趣味と値段にあわせたボトルを
ご用意いただき、ブログを読みながら、一日の疲れをお取り
ください。


<ウィスキー談義1>


ウィスキーはなぜ、煙くさいの。
あれがいい。
いやあれが嫌い。

ウィスキーはなぜ、海くさいの。
あの潮の香りがいい。
いや生臭そうでいやだ。

フルーティな香りがいいよ。
甘そうでいやだ。
などなど、好き嫌いが分かれる。


実は、これがウィスキーの特徴を表しています。


原因は、

1、産地によるもの。
  ウィスキー製造は自然の恵みが豊富。
  まず、水。
  各蒸留所では天然の水を利用します。水源の特徴がそのまま
  ウィスキーに反映されることが多いですね。
  仕込みの水や冷却に使用する水。
  所変われば「味」変わるの原因の一つでもあります。

2、樽が変われば「風味」も変わる。
スコッチを例に取りますが、熟成に利用する樽の過去に左右
されます。
バーボンを熟成した古樽(バーボンは新樽での熟成しか許されない)
は爽やかなバニラ味、シェリーを熟成した古樽は甘く濃厚な果実味。
  樽の特徴がそのまま味に特徴をつけました。

3、酵母の影響もありますが、これはまだの機会に。
                           (続く)

18-8ウイスキーボトル

厨房卸問屋 名調

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