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美の巨人たち:ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」

2011-09-13 21:59:58 | 美の番組紹介
ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を読む
クリエーター情報なし
河出書房新社


美の巨人たち:ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」


本日は、「快楽の園」です。
といっても、いかがわしい絵画ではありません。
れっきとしたプラド美術館の展示物です。
作者の名前は知らない人もおりましょうが、
絵画は結構書籍やなにやらで見たことがある
のではないでしょうか。


本日の一枚は、祭壇風の3枚の絵画でなりたち
ます。
左から、地上の楽園、中央が快楽の園、右が地獄。
では、現実はどこでしょうか。
皆様は、中央と勘違いするでしょうか、実は、
右側です。
地獄=現実を描く、哲学的絵画なのです。


ヒエロニムス・ボス。16世紀に活躍した謎の天才
画家。
なぜ、スペイン・プラド美術館の至宝と呼ばれ、
美術史上最大の謎と呼ばれる絵画なのでしょう
か。


3枚のパネルに分割された祭壇画風作品。
高さは2m20cm、横幅は4m余りで、それぞれ
『地上の楽園』、『快楽の園』、『地獄』ともに、
この世界の住人たちは一糸まとわぬ姿です。
なにより目を引くのは、人々が戯れている不思議
な生き物や植物たち。
巨大な果実、アザミらしき茎の先には半透明の
球体、植物とも怪物とも判別がつかない謎の塔
など。


豊かで平和な世界を現したと思われる地上の
楽園
人工的自然美と明るい色で統一された動植物と
人間が共存する世界を表現した快楽の園
そして地獄!


この絵画は、あのフェリペⅡ世が所有したもので
いわくありげな絵画ですね。


想像もしなかった摩訶不思議な世界が広がって
いる。
ボスは、1450年頃オランダ南部の街ス・ヘルトー
ヘンボスの画家一族の家に生まれ、25歳で画家
の組合に入り、街の名士の娘と結婚した。
しかし、生涯の殆どは謎に包まれたままです。


北方ルネサンスの画家たちは次々と宗教画の
傑作を生み出していました。
ボスもまた多くの宗教画を残しています。
けれども、ボスが描いたのは悪徳に身をやつす
人間の姿。
その醜さをこれでもか言う具合に作品の中で
暴いています。


『快楽の園』は、1500年頃から5年の歳月をかけ
制作されたものだそうです。
この作品で、快楽という罪を描いたのか?
それとも愛に満ちた人間の喜びを賛美している
のか?
アダムとイブが楽園を追放される以前の世界な
のか?
解釈は多種多様。


右側の『地獄』の部分に描かれた木の足と卵の
殻を胴体に持つ男、通称“ツリーマン”が握って
いると番組では指摘します。


宗教画といえば、7つの大罪
怠情、好色、虚栄、怒り、嫉妬、貪欲、大食
7つの悪徳に身を包む人間を描く


ボスは色々な物を結び付けて怪物を生み出し、
堕落の象徴としてツリーマンを配置した?
死の世界といいながら、人間の罪と苦しみを
描き出す。
賭博、盗人、戦争の世界
どうやら地獄とはこの今の現実をさすようでは
ないだろうか。


この快楽の園は、非常に宗教的であり、哲学的
である絵画であろうか。
まさに、人間とは何か。
人間の性とはなにか。
絵画を通して、彼は人間の本質に眼を向けた。


さ、あなたも、彼の一枚を眺めて、人間とは何か
考えてみませんか。


平成23年9月11日 川越芋太郎


Hieronymus Bosch
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