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美の壺:背広

2010-10-25 21:19:46 | 美の番組紹介
美の壺:背広



背広といえば、ビジネスマンの制服?
川越芋太郎も30年以上にわたり背広を着たことになる。
流行あり、値段の上下あり、数々の思い出と失敗があった。
駆け出しの頃、ボーナスを奮発して初めてオーダーした背広、
一夏の汗でスボンが痛んでしまった。
背広への知識不足であった。
エアコンのない営業車が原因であった。


さて、30年後、いま背広を脱ぐ日も近くなってきた。
感慨を込めて、美の壺「背広」を拝見したしだいです。



<美の壺1:ラペルは背広の顔>


背広のデザインでもっとも目立つのがVゾーンである。
そのゾーンを引き立てる襟の下方部分をラペルと呼ぶ。
形としては

①ノッチドラペル
 オーソドックスな形は、シャープな印象を与えてくれる。

②ピークドラペル
 ダブルスーツに見られる形で、華やかな印象がある。

供に背広の前の印象を際立たせる。


さて、背広は元々が竹の長いコートを改装することから
始まった。
当時の試飲階級の勃興と無縁ではない。
1930年代に今の形の原型となったといわれる。
1950年代にはアイビースタイルが生まれ、
1990年代にイタリアスタイルも誕生。
現在は、再びアイビースタイルが流行りだしている。


供に、ラペルが大きな特徴となっている。
そのラペルですが、ふんわりと立体的に仕立てるのが
良しとされる。

芯地と服地を縫い合わせる時、芯地にたわみを持たせる
ように針と糸を通す。
そう、「八刺し」とう技法である。
この技法で、ふんわりと浮きあがるラペルが生まれる。
立体観が生み出され高級感を生み出す。
なだらかなふくらみこそが美意識と技の見せ所。




<美の壺2:後姿にダンディズムあり>


立体の体を面の服地で覆う。
これは考えるよりも難しい。
いたるところに「シワ」がよる。
第二の皮膚と形容される男性の背広。
このシワとの戦いでもある。


身体に合わせる背広を見分けるポイントです。
良い背広はしわが少ない。
では、注目のポイント


① 背中のシワ(いかり型の体型に多く見られる)

体とスーツが合っていないときに現れるシワ
これが「醜いシワ」。
良い仕立てを求めてダンディたちが追求した技
隠れた努力がダンディズムを生み出す。
いかり型の体型やなで肩の体型の調整を型の縫い
合わせ行う。
肩甲骨の出っ張りは、アイロンの技で調整する。


② 脇のシワ(なで型の体型に多く見られる。)

ともに、仮縫いの折、調整する仕立て技の見せ所である。




<美の壺3:とこの織り成す生地の味わい>


ウィンテージ生地
最近の隠れた流行として、昔の低速織機が見せるゆったり感
が好まれれる。
現在の高速織機では、生み出せないしなやかさとゆったり感
それは、まるで空気を含んだようなゆとり感である。
低速織機は一日8mしか折れない。高速織機は200mであり、
この違いか味わいを生む。


時間をかけて折られた布地は、時間をかけてゆったり着る。
味わいのある背広の誕生である。


皆様も昔の背広を流行遅れなどと言わず、見直してみては
いかがですか。


ビジネスマンのスーツ(制服)とは一味違う背広を羽織る
日が来るその日まで。


福沢諭吉 背広のすすめ (文春新書)
出石 尚三
文藝春秋


定年後の居場所を創る―背広を脱いだ61人の実践ファイル
加藤 仁
中央公論新社


男の着こなし虎の巻―背広からTシャツまで着方がすべて分かる (MEN’S CLUB BOOKS No. 19)
クリエーター情報なし
アシェット婦人画報社




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