川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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2月度推薦図書

2011-02-01 20:57:25 | 知恵庫先生の講座
2月度推薦図書


1、チボの狂宴 著者:マリオ・バルガス・リョサ
  出版社:作品社


  人はなぜに、夢を抱き、そして夢が悪夢になるの
  だろうか。
  1960年代のドミニカ共和国が舞台である。
  主人公は、国の独立を守り近代化したいという
  夢を持つ。
  その夢は、いつしか、正当な欲望を超える。

  独裁者と傍から揶揄され、自らも猜疑心や歪んだ
  愛情を抱え、牢獄と死の世界を作り出す。
  得体の知れない魔物をもつ、人間の性。
  
  ただ、国民の為を思い行動する男が正気なのか。
  正気を失っているのはどちらののか。
  
  彼を倒すことを決意する人々もまた、権力に塗れ
  次から次への舞台を変える。

  我々の中に眠る得体の知れない怪物。
  
  一人の異形の者を表現した作品ではない。
  私たちの心底にある何かに触れる作品である。

チボの狂宴
マリオ・バルガス=リョサ
作品社




2、地のはてから 著者:乃南アサ 出版社:講談社
  人が夢に生き、夢に飲まれる人生がある一方で
  懸命に生きることのみを追う人生がある。
  そこにも、人生の深淵さがある。

  「人はまず舞い降りた場所で、
   まるで違ってします。」
  
  舞い降りた場所の過酷さに、対して次の言葉が
  印象的だ。
  「自分の人生は荒波に晒され流氷に覆われる岩
   のようなものだ」
  「何が何でも生きのびなきゃいけない」

  さて、あなたはこの言葉をどう感じますか。

  他方、舞い降りた過酷な流れから飛び出そうと
  地面から足を離し、結局流れの淵に沈む男。
  これも、また人生。
 
  本書は人生を考えながら、国や文明まで考えさえ
  られる深い本である。
  上下巻であるが、読んでみていただきたい。


地のはてから(上) (100周年書き下ろし)
乃南 アサ
講談社


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