久しぶりに出席した市民アカデミーは16年度後期に入った。先週に初回があったが、法事のために出席できなかった。定員が30名の比較的規模が小さいコースである。ウエンズデイサイエンスというコース名で、身近に起こる科学現象を解説してくれるものである。3回続ける講義の講師は元気象庁の職員であった方で、気象に関する専門家である。
気象庁は国土交通省に所属している機関で、古くは文部省、農林省等に所属していて、時代の変遷に重点項目が変化し、その影響が強くあったようである。戦時中は通信技術を駆使した情報のやり取りが影響されたようで、陸、海、空と一緒となり、その守備範囲は今も変わっていない。
最近感じることであるが、短期的な予報の的中率は確かに上がっているようで、観測地点の広がりや、ターゲットを絞った天気予報は満足しているが、長期予報となるとどうも精度が悪く、外れる率も高いようである。その原因は、データーの分析を統計手法で行っていて、多くの因子がかかわっているため、結果として正確さがというより誤差がいまだに多く、予測が困難な状況が続いているそうである。その現象を講師はカオス的という言い方をしていた。
傾向としては、温暖化に向かっていて、その理由として、動植物の生育範囲が変わってきていて、寒冷地での作物例えば、米作のコシヒカリ等もさらに気温が低い北海道等へ移っているとのことであった。最近では関東では聞くことがなかったクマゼミが鳴いている。この他にも、サンマの不良や、海水の温度上昇による陸地の浸水も報告されていて、南極や、北極の氷が溶けだしているようである。
統計的手法であるローレンツモデルが示すように、初期値の示す波形は信頼できるのであるが、一定時間が経過すると波形が乱れ、予想とは全く異なる結果を生じるため、最近ではアンサンブル予測なる方式に変えたといっていた。このように、的確に長期予報を正確に導き出す手法についても、未だ試行錯誤が続いており、完成の域には達していないとのことであった。
そのようの状況を踏まえたうえで、長期予報に接する必要がある。自然現象がもたらす気象予報が、生産活動に密接なかかわり合いがあるが、より新しい情報にアクセスすることも大切である。