動詞と形容詞の正書法を間違える原因の1つが,基本形自体を間違えている場合です。
아내가 삐치다,아이가 삐치다と言うときの삐치다ですが,みんなが삐지다の方をよく遣うので,標準語ではなかった삐지다が,とうとう標準語と認定されました。「へそをまげる」「すねる」という意味ですね。
・아들은 디즈니랜드에 못 갔다고 삐져서 말도 안 하고 있다.
(息子はディズニーランドに行けなかったので,すねて話もしない)
・아내는 종종 별 것도 아닌 일에 삐져 있다.
(妻はよく,たいしたことでもないことでふてくされる)
この場合は삐지다が標準語と認定されたのでいいのですが,いまだによく間違えられるものの1つに삼가다があります。みなさんは지나친 음주는 삼가합시다(飲み過ぎに注意)という標語を見たことがありませんか。
さて、この標語のどこが間違っているかわかりますか。
삼가해を삼가に直さなければなりません。지나친 음주는 삼가주시기 바랍니다が正解です。気をつけてみてみると,街中には삼가하다が山ほどあふれています。
●まだある表記の間違い
「能力や水準が一定の基準に至らず,劣っている」という意味の뒤처지다もよく間違えます。
・걸음이 뒤처지다(歩みが遅れをとる)
・성적이 뒤처지다(成績が遅れをとる)
・변화에 뒤처지다(変化に付いていけない)
・유행에 뒤처지다(流行に遅れる)
・어머니는 발달이 늦은 막내 동생이 또래들보다 뒤처질까 봐 걱정하셨다.
(母は発達が遅れた末っ子が,同年代より遅れをとるのではないかと心配した)
この場合,뒤처지다を뒤쳐지다と書くのは間違いです。
뒤처지다の,語の成り立ちを見てみると理解できます。처지다の意味は「下に沈む」「下に下がる」「垂れ下がる」です。뒤+처지다で後ろに垂れ下がる,つまり「遅れをとる」「劣っている」と言う意味になるんです。
・뱃살이 처지다(腹の肉がたるむ)
・분위기가 처지다(雰囲気が沈む)
・귀가 처진 개(耳が垂れ下がった犬)
・꼬리가 축 처지다(しっぽがだらんと垂れ下がる)
では,뒤쳐지다の意味は何でしょうか?
뒤쳐지다はあまり使われませんが,카드가 뒤쳐지다,현수막이 바람에 뒤쳐지다のように「ひっくり返る」「裏返しになる」と言う意味の動詞です。でもふつうは뒤집히다というやさしい言葉を使います。
텐트가 뒤쳐지다というと,テントが「めくれ上がる」,텐트가 뒤처지다は,テントが「垂れ下がる」になるんですね。
棒が1つ少ないと下に垂れ下がる」と覚えておけばいいでしょう。
さてこの機会に처と쳐がこんがらかる,ほかのケースも一緒に勉強しましょう。よく出される例が처먹다と쳐먹다です。
처먹다はあまりいい意味の動詞ではありません。
「ガツガツと食べる」と言う意味です。
・밥을 급하게 처먹다(飯を急いで掻き込む)
・음식을 정신없이 처먹다(食べ物をあわてて食らう)
そこで,「醤油をつけて食べる」を간장을 처먹다,「塩をかけて食べる」を소금을 처먹다と言うと誤解を受けるので,간장을 쳐서 먹다,소금을 쳐서 먹다と言い方を変えた方がいいでしょう。쳐 먹다というのは치어(쳐)서 먹다が元の形で,調味料をかけて食べるという意味です。
発音からでは처と쳐の違いはわかりませんけど,書く時には注意しないといけません。
ていねいに言うときには“간장을 쳐서 드세요.”と言えば間違いないですね。
ちょっと付け加えますと,接頭辞の‘처―’には「やたらと・むやみに・ひどく」などの意味があります。たとえば처박다は「むやみに押し込む」,처넣다は「(物などを)詰め込む・ぶち込む・ほうり込む」と言った具合です。
・옷을 트렁크에 처넣다(服をトランクに詰め込む)
・옷장 속에 장난감을 처박다(だんすの中におもちゃをほうり込む)
また俗に「耳が聞こえなくなる」ことを귀를 처먹다といいます。
・야, 너는 귓구멍을 처먹었냐? 내가 세 번이나 불렀잖아.
(おい,聞こえないのか? 3回も呼んだのに)
●안절부절하と안절부절못하다
안절부절못하다も,よく間違えて使われる語の横綱格です。
안절부절못하다には「いらいらする」「そわそわする」「落ち着かない」「気が気じゃない」「居ても立ってもいられない」「どうしていいかわからない」……などのいろいろな意味があります。
合格発表を今か今かと落ち着かない様子で待つときや,子どもの出産を目の前にして時計を見ながらそわそわするときなどのぴったりの言葉ですね。
・합격자 발표를 기다리며 안절부절못했다.
(合格発表を今か今かと待った)
・비행기 출발 시간에 늦을까 봐 안절부절못했다.
(飛行機の出発時間に遅れるのではと気が気ではなかった)
・아버지의 수술 결과가 걱정이 되어 안절부절못했다.
(父の手術の結果が気にかかって居ても立ってもいられなかった)
안절부절というのは「心がいらだっていて不安でどうすることもできないようす」を指す言葉です。ですから,本来ならば안절부절하다と言わなければならないのに,なぜ안절부절못하다と‘못’が間に入るのかは謎です。
理屈抜きに“왜 그렇게 안절부절못해?”(なぜそんなに落ち着きがないの)と聞きましょう。
●궂다とその派生語
궂다という形容詞があります。날씨가 궂다(天気が悪い),기분이 궂다(気分が憂鬱だ)という時に使われます。
・궂은 날씨에는 나가기가 싫다.(うっとうしい天気では出かける気になれない)
・태풍이 와서 궂은 날이 계속되었다.(台風がきて良くない日が続いた)
궂다には,また「きつい」「悪い」という意味もあります。
・궂은 일만 도맡아 하다(きつい仕事を引き受けてする)
・좋으니 궂으니 해도 가족이 제일인 것 같다.(よくも悪くも家族が一番だ)
궂다の派生語で짓궂다「意地悪だ」「性悪だ」という形容詞があります。
・짓궂게 굴다(意地悪をする)
・짓궂은 사람(意地の悪い人)
・짓궂은 질문를 하다(意地の悪い質問をする)
・짓궂은 날씨(ぐずついた天気)
짓궂다のスペルを間違える人が多いですが짓궂다の짓は나쁜 짓,미운 짓というときの짓です。また짓궂다の궂다は,날씨가 궂다(天気が良くない),기분이 궂다(気持ちがすっきりしない)というときの궂다です。
こうやって単語を分解していくとスペルと間違えません。궂다の派生語には,さらに구질구질하다という形容詞があります。「乱雑で不潔だ」「きちんとしていない」「だらしない」「天気がうっとうしい」「じめじめしている」と言うような意味があります。
・여자관계가 구질구질한 남자(女性関係にだらしがない男性)
・구질구질하게 비가 오다(じとじとと雨が降る)
・구질구질한 성격(はっきりとしない性格)
・눈이 녹아 구질구질해진 진흙탕 길을 터벅터벅 걸어가다
(雪が溶けてじめじめしたぬかるみをとぼとぼ歩いていく)
・구질구질하게 변명하지 말고 바른대로 말해.
(ぐちぐちと言い訳しないではっきりと言いなさい)
궂다,짓궂다の궂のように,ㅜの下にㅈ받침の付いた単語はほかにいくつかありますが,ㅜの下にㅊ받침のいた単語はほとんどありません(숯:炭)。そのことを覚えておけば間違えてと書くことはないでしょう
なお,ㅊ받침のいた単語は知多のようにいくつかあります。
꽃:花
낯:顔
낯가림:人見知り
낯설다:知らない
낯익다:顔見知りだ
내좇다:追い出す,追い払う
닻:錨(いかり)
덫:罠(わな),落とし穴,トリック
몇:いくつの,いくらの,
빛:光
빛나다:輝く
좇다:ついて行く