●日本語の「狼狽」と韓国語の‘낭패‘は意味が違う
日本語の「狼狽する」は「うろたえ騒ぐ」ことだが,韓国語の낭패하다は「事が計画や期待通りにならず,困った状況に陥ること」という意味がある。
若者ことばで‘대략 낭패다’というのがある。「がっかりした!」と言うニュアンスだ。合コンの席で,あの人だけは避けられたらなあと思っていたところ,くじに外れてその女性とカップルになってしまったとしよう。そんなときに使う言葉だ。
この「狼」と「狽」は,中国の伝説上の動物です。「狼」と「狽」は,一緒に行動すると,とても敏捷に行動することができると言われているが,片方が転ぶと,もう片方も転んでしまうという弱点がある。
「狼」は,後ろ足がないか,あってもとても短く,「狽」は,前足がないか,あってもとても短い。そのため,「狼」と「狽」が歩くときは,「狽」が常に「狼」の背中に前足を乗せて歩かなければならない。
このことから,「狼狽」という言葉は,2匹の動物が一緒に歩く姿を連想して生まれた言葉と考えられている。二人三脚(이인삼각)のようなものだ。
「狼」と「狽」は,お互いに助け合って共生しているが,意志が合わないとひどく仲違いすることもある。そうなると「狼」と「狽」はどちらも歩くことができなくなる。このように,後ろ足のない「狼」と前足のない「狽」が仲違いして,どちらも困難な状況に陥っている状態が「狼狽」なのだ。
낭패は日常会話では,よく보다,당하다と一緒に使われる。
・발표에서 실패하여 낭패를 보았다.
(プレゼンで失敗してあわててしまった)
・시험에 불합격해서 낭패를 당했다
(試験に不合格になって困った)
・새 제품 출시를 예정했었지만, 조달 문제로 낭패를 보았다.
(新製品の発売を予定していたが,仕入れトラブルであわててしまった)
・여행 계획을 세웠지만, 태풍의 접근으로 낭패를 당했다.
(旅行の計画を立てていたが,台風の接近でおおあわてだった)
・인터넷 쇼핑몰에서 옷을 샀다가 완전 낭패를 봤지 뭐예요.
〔ネットで服を買ったんですが,完全に失敗しました〕
*上のいくつかの例のように낭패를 보다, 낭패를 당하다は,何かをしようとして(油断したために)失敗したり,不注意でマイナスのことが生じたりして,困ったことになること。
・벌써 막차가 떠났다니, 이것 참 낭패로군.
〔もう終電が出てしまったとは,困ったなあ〕
*酒を飲み過ぎて終電に間に合わなかったときの独り言。“참 낭패로군.”は「困ったなあ」という意味。
・핸드폰을 집에 두고 나왔으니, 이것 참 낭패로군.
〔ケイタイを家に忘れて出てきて,困ったなあ〕
・일을 그런 식으로 하면 낭패 보기 십상인데⋯⋯.
〔そんなことしていたら失敗するぞ〕
*~기 십상이다は,「~しがちだ」「~しやすい」「きっとそのようなことになる」と言う意味。
日本語に訳すときに「狼狽してしまった」と誤訳しないように気をつけること。
・신혼여행 당일에 비행기가 결항되어 낭패했다.
〔新婚旅行の当日に,飛行機が欠航して困った〕
・야구 경기에서 패한 선수들은 낭패한 표정을 지었다.
〔野球の試合に負けた選手たちは,残念な表情を浮かべた〕
・민수는 선생님의 갑작스러운 질문에 낭패한 얼굴을 지었다.
〔ミンスは先生の突然の質問に,困った顔をした〕
・축구 경기에서 승리할 것이라고 생각했는데, 지고 말아 낭패스러웠다.
(サッカーの試合で勝つと思っていたのに,負けてがっかりした)
・기껏 준비한 선물이 친구 마음에 들지 않아서 낭패스러웠다.
(せっかく用意したプレゼントが友達に気に入ってもらえず,がっかりした)
・낭패감에 빠져서 한동안 아무것도 할 수 없었다.
(失望感に打ちひしがれて,しばらく何もすることができなかった)
・낭패감에 휩싸여서 주위도 생각하지 않고 소리를 질렀다.
(失望感に打ちのめされて,辺り構わず大声で叫んでしまった)
MEMO
낭패하다:〔動〕困る,困惑する
낭패감:〔名〕計画したことが失敗するか,もしくは期待外れである感じ
낭패스럽다:〔形〕困惑する,計画通りにならなかったり,期待外れで困る