サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

原田芳雄さんのお通夜&追悼文訂正

2011年07月22日 | 映画

昨晩、原田芳雄さんのお通夜に行って来た。
棺の上にはバーボン(IWハーパー)と脇差が置かれていた。ハーパーはもちろん芳雄さんが愛飲していた酒。脇差は何かの映画で使ったものなのだろうか?
脇にはギター、あじのある芳雄さんのブルースの歌声を思い出す。その脇には赤いタオル、「どついたるねん」関連?

その後、「鬼火」の望月監督と後輩の助監督と少々飲んだのだが、記憶違いがあり、追悼文に誤りがあることが判明した。言われて見て、はっきりと思い出しました。
いいかなとも思ったのですが、やっぱり訂正しておきます。

二人を殺すシーンと女子マラソンは別日でした。2度、間違うわけにはいかないので、映画のスケジュール表とアトランタ五輪の女子マラソンの実施日を確認しました。

二人を殺すシーンの撮影は、朝方までかかることが予想されていましたが、芳雄さんの「国広(芳雄さんが演じる役名)は、殺す時はすぐ殺すから。追っかけたりしないよ」との発言から、結果として大幅に撮影時間も短縮され、映像も引き締まったものになりました。
これは間違っていないのですが、マラソンとは関係のない話でした。
「芳雄さんが今日の撮影は早く終わる」と言ってますとセカンド助監督が言ってきて、あわてて飛んでいって~監督とプロデューサーも含めて相談といった流れは前述した通りです。


女子マラソンの日は、ナイトロケが予定されていました。登場人物は芳雄さんだけの歩きのシーン。高架下の雰囲気のある場所での撮影。ホームレスとして路上に座り込んでいるエキストラで俺も出演しています。
予定としては、マラソンの最後の方は見れるだろうけど、スタートから見るのは無理かなという予定でした。

芳雄さんに限らずスタッフも注目の女子マラソンは見たい。それで朝からスタッフが「今日、女子マラソン見れるかな?」「原田さんも見たいと言ってたよ」とチーフ助監督の俺にプレッシャーをかけてきます。
監督にも「原田さんがマラソン見たいと言ってるようです」というスタッフの言葉が耳に入り、監督・カメラマン・俺で相談して、明るいうちから撮影できるカットを選び撮影。
昼でもかなり暗い場所だったので可能でした。暗くなるのを待ってその他のカットを撮影。
ホテルに戻り、マラソンのスタートからTV観戦、有森裕子の銅メダルが見れて皆幸せになったというわけです。
正確に記憶していたなら、こちらのエピソードは書かなかったと思いますが、まあそれも成り行きで。

芳雄さんからは
「やればできるじゃないか」と、お褒めの言葉をいただきました。


合掌


追悼・原田芳雄さん

2011年07月19日 | 映画

原田芳雄さんが亡くなった。

昨日、その事実を知った時は、言葉を失ってしまった。

原田芳雄さんとは、助監督の時に3度ほど仕事したことがある。
ご自宅にも、作品の打ち合わせと、餅つき&大宴会にもお邪魔したことがある。

 仕事をしたなかで、印象に残っている作品は、「鬼火」(監督・望月六郎)。
芳雄さんは、出所したばかりのヒットマン国広の役(主役です)。全編大阪ロケの作品だった。
ちょうどアトランタオリンピック開催中だった。

俺はその時、チーフ助監督でスケジュールをたてていたのだが、夜明け前出発を繰り返す俺に、芳雄さんが「中村、俺はにわとりじゃないんだ」と言われたことをよく覚えている。
「映画はどう“遊ぶ”かだ」というふうなことを常々語っていた芳雄さんにとっては、撮影期間の短い現場は大変だったと思う。俺は「いや、まあ、へへ」と頭をかきながら情けない対応をしていたが、芳雄さんは、そうは言いながらも、きっちりとスケジュールに対応してくれた

撮影もなかばを過ぎた頃(たぶん)、その日は、国広(芳雄さん)が二人を殺すシーンの撮影予定。ナイトロケでかなり遅くまでの撮影になる予定だった。
朝の準備の時に、セカンド助監督があわてた様子で走ってきた。「原田さんが『今日の撮影は早く終わるから、ホテルに戻ってマラソン(五輪の)が見れる』と言ってるんですけど」。
「何を考えてるんだ!芳雄さん、今日マラソンなんか見れるわけないだろう」と思いながら、あわてて芳雄さんのところにすっ飛んでいった。
芳雄さんが言うには「国広(芳雄さんが演じる役名)は、殺す時はすぐ殺すから。追っかけたりしないよ」
なるほど、その通りだ。
脚本では、ビルの表で1人を殺した後、逃げるもう1人を追いかけ路地裏で殺すことになっていた。ロケハンした結果、料亭の表で1人を殺し、逃げるもう1人を追いかけ、すぐ近くの公園で殺すことになってた。
芳雄さんとしては、ヒットマンである国広は何のためらいもなく料亭の前で二人とも殺すよ、みすみすその場から逃がすようなことにはならないよ、ということだったわけだ。
「その通りだ!」と思い、監督・プロデューサーも呼んで話し合った結果、全員が納得し、芳雄さんが言った形になった。
撮影した映像は、明らかに予定していたより、いいシーンになった。
おかげで、スタッフもマラソンが見れたはずだ。

 亡くなった翌日に、殺す殺すと、物騒な文面になってしまったが、芳雄さんを語り、作品を語ることがせめてもの供養かと思い、書き記しました。

それにしても、芳雄さんは体がすごく柔軟だったのを思い出す。地方ロケのホテルやご自宅で飲んだりする時、ストレッチをしながら飲まれていたが、当時の俺なんかよりはるかに柔軟だった。そんな姿を見て「若いなあ、このオッサンは」と思ったものだ。

原田芳雄さんのご冥福をお祈りします。

 


サッカーのショートフィルム

2011年06月17日 | 映画

今日は、「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」の
フットボールプラグラムを観てきた。

世界のサッカーを題材としたショートフィルム7本が上映された。
とても面白い作品、もうちょっと何とかすれば良いのになあという作品、退屈だなという作品と
盛りだくさんだったが、全体的にみれば、見て損はないプログラムになっていた。
土曜深夜、日曜の昼間にも上映があるようですので、良かったら是非!

ショートフイルムの場合は、順番をどうするか、決めるのも大変だと思う。
印象が随分変わってしまうし。
よく考えられた順序だったと思うが、
5番目に上映された「ロナウド」という作品をトップに持っていく方法もあったかもしれない。

以下、簡単に寸評を。
ネタバレも少々あります。


 

1 恋の延長戦  イタリア
  もうちょっと、うまく撮れば、面白くなったのになあという作品。
  アイディアはいいのだが、目線や表情などのディティールが良くなくて…。
  とても残念な作品。

2 サッカーと友情  フランス
  サッカーをやる場所の取り合いをするフランス映画。
  気楽に観れば、楽しめます。

3 パンイーFC  タイ
  タイにある実在の水上集落のサッカーチームのお話。
  水上に浮かぶピッチを観るだけでも価値あり。

4 サッカーストーリー  ブラジル
  キングペレの子供の時の仲間達の話。
  うーん、もう少しうまい作り方があったのでは。

5 ロナウド スイス
  ブラジル映画の後に「ロナウド」というタイトルが出てきたので、
  ブラジルのロナウドを頭に思い浮かべたら、クリスチアーノ・ロナウドの方でした。
  サッカーファンなら楽しめます。

6 オフサイド アメリカ
  実際にあった有名なエピソード、戦場で敵味方がともにサッカーをやったという
  実話をもとにした映画だが、正直、作り手側のサッカー愛が感じられない。
  アメリカで作ると、こうなってしまうのか?

7 パパの思い出 イギリス
  文句なしに素晴らしいです。
  リバプールファンの少年の話。オーウェンや、ヒルズボロの悲劇もうまく絡ませていたし。
    You'll Never Walk Aloneが、心に染みます。
  邦題の「パパの思い出」は、何じゃらホイという感じもするが…。
  ちなみに、原題は、「Eight」
   

まあ、人が作った作品は、何とでも言えるし…。
俺もサッカーのショートフィルム、撮ってみたいな。

 


  

 

 

 

 


月あかりの下で

2011年05月06日 | 映画

メイシネマ祭、3日目も行ってきました。
と言っても、昼間用事があったので見たのは最後の1本「月あかりの下で」だけ。
いやあ、面白かったー。そういった言い方が適切かどうかわからんが。
今は統廃合してなくなってしまった浦和商業定時制高校の4年間の記録。
出てくる生徒達がいとおしくなってしまって。
ナレーションも、すっと耳に入ってきてよかったし。

映画祭終了後の打ち上げにも参加、貴重な交流と相成りました、


メイシネマ祭

2011年05月04日 | 映画

昨日メイシネマ祭に行って来ました。
手作り感覚の映画祭でいい雰囲気でした。

「アイ・コンタクト」前後の映画も鑑賞しましたが、
「ミツバチの音と地球の回転」は震災後の原発問題への関心が高まっている中、超満員。
自然エネルギーの宝庫である日本が、自然エネルギーを有効活用していないという事に驚いたスェーデン人の表情が印象的でした。

「アイ・コンタクト」の入りは、…まあ、そこそこ。
メイシネマ祭は明日までやっていますので、都合のつく方は是非足を運んでみてください。