サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

NHK「これでわかった!世界のいま」

2020年06月10日 | 日記

NHK「これでわかった!世界のいま」のアニメ動画に抗議が殺到。動画はTwitterからも削除、番組自体もNHK+から削除された。削除される前に番組全体を見たが唖然とした。

動画は白人警官による黒人殺害理由の一般論が述べられた後に流された。
「理由は諸説ありますが、その一つとして白人警官には黒人に対する漠然とした恐怖心があるからだと言われているんです。以前私がロサンゼルス市警のパトカーでのパトロールに同行したことがあるんですけど、黒人やヒスパニック系の人たちの、特に治安の悪い地区に入っていく時に警察官たちはかなりの緊張を強いられていたんです。やはりアメリカは銃があふれているからということもあります。ある警察官は『毎日生きて帰ってこられるかわからない。そういう思いでパトロールに出ています』と話していました」

番組では次にフリップを出して説明。なので理由の説明はこれで終わったのかと思った。

「アメリカでは年間1000人が警察によって射殺されている。確率でみてみますと黒人は白人の2.5倍にものぼっています」

その後にとってつけたように、
「白人警官の側にはわずかな油断が命取りになるという思いがあるのかもしれませんが、これは何もしていない黒人からすると差別でしかないという構図にもなっています」と続いた。
あまりにもとってつけたようであっさりしたものだったので、初見の時には聞き逃してしまった。念のため、この箇所を聞き返したら差別に言及していることがわかった。

そして経済格差の話題へと移り、アニメ動画が流された。
アニメは経済格差に怒った黒人が抗議、あるいは暴徒化するという流れ。

殺害理由への言及も、アニメも、番組全体も、黒人が怖いものというイメージで統一されていた。差別という言葉はほとんど使われず、暴徒化という言葉は何度も繰り返された。耳を疑うほどだった。

黒人の『暴動』は、トランプが大統領になって始まったものではなく、黒人のオバマ大統領の時からあったということにも言及。
黒人であるオバマ大統領も止められず、オバマの非力さが協調された。

また番組の公式Twitterに今でも残されているが、
「アメリカ社会は、考え方の違う両者が互いにののしり合って、どんどん分断が深まってしまったんだ」
罵り合うこともあったかもしれないが、「差別する」「差別をやめろと主張する」 それは罵り合うことではない。

こんな番組が‪日曜の夕方6時から‬、公共放送の地上波で、子供・家庭向けに流されていた。

黒人の怖さや分断ばかりを強調するのではなく、「やり方を変えよう。平和的にやっていこう」といった故人の弟の言葉や、ひざまずいてデモ隊に連帯を示した警官でも紹介したらどうなんだ。