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2024年(R6年)二級建築士試験問題解説・知っ得講座 ⑨「高さ規制・防火地域規制」

2024-09-25 08:24:39 | ビジネス・教育学習

◇本年度(2024年)の二級建築士試験の問題文と正答表が公表されています。
◇公表された試験問題を参照しながら、本解説を進めていきます。
◇問題文と正答表は、「財団法人建築技術教育普及センター」のホームページをご参照ください。

◇「No.17、No.18、No.19、No.20」の問題のキーワードは「各政令に注目!」・・・はて?
◇斜線制限は、道路斜線(法56条1項一号)と北側斜線(同三号)の計算ができれば、ほとんど問題ない!
◇その時に注意するのは、政令に定める緩和措置に関する規定です!
◇道路斜線制限の計算(法56条1項一号)における政令の緩和条項
 ・2以上の前面道路に接する場合で、次の条件に適合する場合は広い道路幅員で算定する:令132条1項
   ⇒幅員の広い道路境界線からその幅員の2倍以内で、かつ35m以内の場合
   ⇒上記の条件を超えた部分でも、狭い道路中心線から10mを超える部分にある場合
 ・前面道路反対側に公園、広場、水面等がある場合、その部分も道路幅員に加えて算定:令134条1項
 ・前面道路と高低差がある場合、1mを減じたものの1/2を算定の高さから緩和:令135条の2
◇ちなみに、建物後退緩和適用の小規模建築物規定(令130条の12)には注意です!
   ⇒H17、H16と図形問題での出題、R5、R4では、文章問題での出題!
◇北側斜線制限の計算(法56条1項三号) における政令の緩和条項
 ・広場、水面等に接する場合には、その1/2を緩和:令135条の4第1項一号
   ⇒この場合の最重要事項は、北側斜線制限の算定の場合、「公園」が緩和要件に無い事!
 ・北側隣地と高低差がある場合、1mを減じたものの1/2を緩和:令135条の4第1項二号
◇隣地斜線制限の計算(法56条1項二号)は、考え方はほぼ同様で二級の場合正答計算に絡んだ事はない!
 ・公園、広場、水面等の接する場合には、1/2を緩和:令135条の3第1項一号
 ・隣地と高低差がある場合、1mを減じたものの1/2を緩和:令135条の3第1項二号

◇防火地域、準防火地域内における、建築制限の規定:法61条
 ・耐火建築物(同・延焼防止建築物を含む)が要求される建築物の技術的基準:令136条の2第一号
 ・準耐火建築物(同・延焼防止建築物を含む)が要求される建築物の技術的基準:令136条の2第二号
 ・耐火建築物、準耐火建築物を要求しない建築物の技術的基準:令136条の2第三号、第四号
 ・延焼防止上支障のない構造が要求される門・塀の技術的基準:令136条の2第五号
◇ちなみに、準防火地域内の令136条の2の技術的基準を、国交省の資料を基に再構成したものを添付!

◇余計な話、今年の一級建築士試験の斜線制限は、北側斜線に注意でしたねっ!
◇防火地域規定は図形問題で、令136条の2をしっかり把握した上での条文参照でしたねっ!
◇という事で、今年の二級建築士試験「No.17、No.18、No.19、No.20」の問題について解説を記述します。

「No.17」正答3
法56条6項、令132条1項:建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
A点は、広い前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内かつ35m以内にある。
①道路斜線制限:法56条1項一号、法別表第3、法56条2項(建物後退による緩和)
 ・(に)欄より、第一種中高層住居専用地域の斜線勾配:1.25
 ・(道路容積率)7×4/10=28/10=20/10(都市計画容積率)⇒都市計画容積率を採用
 ・(は)欄より、第二種住居地域(容積率20/10以下)の適用距離:20m
 ・建物後退による緩和:南側2m、西側1m
 ・2面道路の計算用道路幅を広い幅(7m)とする緩和規定(法56条6項、令132条1項)
  ⇒A点は範囲内なので、広い幅員(7m)で算定する。
 ・南道路斜線:(2+7+2+1+2)×1.25=17.5m
 ・西側道路斜線:(1+7+1+2+2)×1.25=16.25m
②隣地斜線制限:法56条1項二号⇒20mを超えてからの斜線なので、検討の必要なし。
③北側斜線制限:法56条1項三号
 (1+1+3)×1.25+10=18.75m
∴西側道路斜線が一番厳しく、16.25m・・「3」

「No.18」正答2
1.正しい。法別表第4(3)項(ろ)欄:制限を受ける建築物の欄「(ろ)欄」参照。2.
2.誤り。法55条、法56条7項:天空率による制限の緩和は、法56条の高さ制限に関する条項への適用はあるが、法55条の絶対高さ制限への天空率による緩和適用は無い。
3.正しい。法56条6項、令135条の2第1項:条文参照。
4.正しい。法56条6項、令135条の4第1項一号:条文参照。
5.正しい。法56条1項二号ニ:用途地域の指定のない建築物への隣地斜線制限の適用はある。

「No.19」正答4
1.正しい。法61条ただし書き、令136条の2第五号:防火地域内にある建築物に付属する高さ2mを超える門又は塀、準防火地域内にある木造建築物に付属する高さ2mを超える
 門又は塀には、延焼防止上支障のない構造が要求されている。
2.正しい。法62条、令136条の2の2第一号、同二号:条文参照。
3.正しい。法65条2項:条文参照。
4.誤り。法61条、令136条の2第三号イ、令108条:階数が2以下、延べ面積が500㎡以下のものは、準耐火建築物、又は準延焼防止建築物まで要求されていないので、2階建
 て、160㎡の木造建築物は、防火構造(外壁、軒裏で延焼の恐れのある部分に防火性能を要求)でよい。
5.正しい。法63条:防火地域、準防火地域内で、外壁が耐火構造のものは、隣地境界線に接して設けることができる。

「No.20」正答4
1.正しい。法85条2項:適用しない規定の中に法6条があり、確認済証の交付を求めていない。
2.正しい。法85条1項、同ただし書き二号:条文参照。
3.正しい。法88条、令138条1項五号:2mを超える擁壁は、準用する規定の中に、法6条の規定(確認申請)、及び法8条(維持保全)の規定を含んでいる。
4.誤り。法85条の2:制限を緩和する規定の中に、法20条は含まれていないので、適用を除外することはできない。
5.正しい。法85条の3:条文参照。

2024年9月25日 by SHRS(シュルズ)建築基準適合判定資格者、一級建築士

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