再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

連載企画:FESCO十年の歩みを振返って(5)

2007-06-24 05:25:28 | 連載・FESCO十年

ファイナンスサービスは普及したか?

ここでESCO事業者の最大の特徴でもある「ファイナンスサービス」について言及したい。これは、FESCOの第一事業基本戦略「トータルサービス」の一環でもあり、FESCOサービスメニューの一つでもある。

「初期投資がゼロで省エネが実現できますよ!」

これがESCO事業者の営業の常套句である。この契約スキームを「シェアード・セイビングス方式」と呼ぶ。

適切に導入される省エネは、必ず電気代の削減などコストダウンと一体のものである。つまり、省エネによって得られたコストダウン分をその省エネを実現するために必要な初期投資額の負担に充てる。

そのためには、省エネ初期投資をESCO事業者側が立替負担し(ESCO事業者側で資金調達をすること)、顧客との複数年の契約によって、少しずつ投資を回収することが必要になる。顧客には初期投資負担がなく、したがって、「初期投資ゼロで・・・」となる。

まさに省エネによって生まれた削減効果(セイビング)を顧客とESCO事業者で分け合う(シェアする)ことになる。これが「シェアード・セイビングス」の名称由来でもある。

Photo FESCO立上げ前の1990年代後半では、この考え方を顧客に説明すると、「おもしろいけど、実施するとなると社内説明が難しそうだね」としり込みされた。

それが2000年初頭の日本経済が低迷期に入ると、「初期投資負担ゼロ」という文句が顧客の琴線に触れ始めた。

「省エネは進めなければならないが、限られた予算は、なかなか省エネに廻ってこない」

こんな現場の嘆き声が聞こえていた時期でもある。まさに、「シェアード・セイビングス」がこの顧客にニーズにヒットし始めたのである。

今では、「ESCO方式で提案してよ」と顧客が言う場合、ファイナンス提案と抱き合わせの「シェアード方式」を希望していることと同義語となった。10年の歳月を経て、「シェアード・スキーム」が市民権を得たと言える。

一方、2000年代後半に入り、やっと日本経済も立ち直り始め、企業の資金繰りに余裕が出始めた。

Photo_1それでも顧客はシェアード方式を望むか?

これからの数年が、シェアード方式がわが国に本格的に定着するかどうかの正念場かもしれない。

私は多様化する顧客ニーズに応えるために、より洗練されたシェアード・スキームが求められていくのではないかと感じている。