組織論(1):社長はスーパーマンか?
今回から、ベンチャー企業が創業期から成長期に至る過程における組織の問題について、私見を述べていきたい。
まずほとんどの場合、創業社長は、特に創業期においては、会社運営に関するあらゆることをこなさなくてはならない。
営業とマーケティング、新しいビジネスや商品の開発、その商品の広報宣伝活動、技術開発の主導的役割などなど、会社の売上に直接貢献する活動はもちろんのこと、財務、経理、人事、総務、法務的などすべての管理部門についても、それなりの知見と知識が要求される。
立ち上げ期に数名で会社をスタートさせると、こうしたさまざまな業務のすべてについて、社長は目を配るのみならず、大抵の場合は自分自身が手を動かさざるを得ない。
その意味で創業社長は、ビジネスにおけるスーパーマンであることを余儀なくされる。また、そうでなければ、なかなか会社など立上げられるものではない。
特に、売上に貢献しない管理部門の人間は、創業期には収益上の大きな負担となる。したがって、社長は慣れないことでも、なんとか自分のプライベートな時間を削りながらも、やらざるをえない。
もちろん、創業社長を志すような人には、プライベートな時間は不要かもしれない。実際、社長は毎日毎日24時間、会社のことばかり考えているものであろう。そういう生活を楽しめる人だけが、創業社長という道を選ぶのかもしれない。
では、このような仕事一筋の社長に問題はあるのか?大きな落とし穴があるとすれば、それは社長自身が自分をスーパーマンだと過信しすぎることである。
俺は何でもやってきた。何でもできるぞ。という強烈な実体験に基づく話は、後から入ってくる人には、結構、窮屈であまり心地よくないのではないだろうか。
実際は、会社の規模が小さいからこそ、何でも自分一人でできたのであり、決してスーパーマンなどではないということを早々に悟るべきである。あるいは、否が応でも悟らざるを得ないことになる。
だからむしろ、最初から自らの至らざるところをしっかり認める度量があった方が、その後の会社の成長にはプラスになるのではないか。
なんでもかんでも、俺が俺がと、いつまでもやっていると、人も育たず、優秀な人も来てくれない。ひいては会社の成長を鈍化させるのみならず、立ちいかなくなってしまうのである。
(次回に続く)
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