人間の本性と本当の人間力は、危機的状況に遭遇した時に現れる。
この言葉に異論を挟む人は少ないであろうが、実際にこの状況の当事者になる人も、平和なこの国ではあまりいないのではないか。
ただしビジネスの場においては、こうした本性や人間力のあるなしを問われるような場面に遭遇するのは、何かしらのリーダーの立場にある人だけの特権でもある。
その立場が高く責任が重ければ重いほど、危機時の振る舞いの違いが如実に現れる。
傍観者的な立場で見ると、他人の狼狽ぶりは良く分かるものであるが、いざ自分自身がその場に立つと、なかなか冷静さが保てないものである。
そういう時にこそ、どっしりと構えていられる人こそが、「器が大きい」人と言える。
では、どうしたらこの器を大きくすることができるのであろうか。そもそも先天的なものなのか。あるいは、努力してなんとかなるものなのか。
そのはっきりした答えは自分には今のところないが、感覚的には、深刻な危機である修羅場をどれほど通り抜けたことがあるか、その経験の多さとその人の器は比例するのではないかと思っている。
また、危機というのは、もしも何も挑戦しなければ、あまり遭遇することもない。高い目標を掲げて、意欲的に挑戦するからこそ、時として自分の思うようにいかず、決定的な危機にも遭遇することになる。大きな挫折も味わうことになる。
人間の器を大きくするためには、先天的な天才を除いて、凡人にとっては、常により高みに向かって挫折することを恐れず死ぬまで挑戦し続けること、その愚直な歩みでしかないのではないだろうか。
なにかに挑戦し続けている人にエールを送りたい。そして、自分自身もそうあり続けたいと思う。