再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

日本のエネルギー政策を考える(1):はじめに

2011-04-03 08:54:44 | 日本のエネルギー政策を考える!

エネルギー関連の仕事を始めて、20年近くが経ったが、今ほどそれまでの常識と根底が大きく揺らいでいる時はない。

言うまでもなく、今回の大震災による福島第一原子力発電所の事故は、日本のみならず全世界のエネルギー政策に大きな影響を与えざるを得ないだろう。

まだ現時点では、事故現場での収拾はついておらず、まずはできるだけ早急に安全が確保されることを祈るばかりであるが、なるべく早い時期に今回の事故の本当の原因究明は徹底的に行ってもらい、その全貌を国民に開示して欲しい。

少なくとも国と東京電力には、その責任がある。

原子力は確かにおそろしい。今起こっていることがコントロールできないことが最も怖いことだ。今回の事故では、未だ原子力技術を人間の力では制御できていなことが明白となり、だから原発はもう駄目だ、危険だ、廃止だという社会的な風潮は、これからますます加速されるだろう。

ただ多少なりともエネルギー業界と関わりつつ、エネルギーベンチャー企業を立上げ、運営してきた創業経営者の端くれとしては、そうした風潮には決して巻き込まれたくない。ここはもっと冷静な立場と経験で、これからの日本のエネルギー政策のあり方を考える時であり、この機会に率先垂範してみたい。

原発をやめて、太陽光や風力などの新エネへ政策を傾斜させる。

こんな単純な図式だけでは、少なくともエネルギー政策として語るべきではないというのが、そもそもの私のスタンスだ。

エネルギー政策は、極めて複合的かつ重層的な問題であり、その立案には、それらの一つ一つの問題に対して深い洞察と戦略的思考が不可欠となる。そもそもエネルギー政策とは、そうした重層化された政策のパッケージなのだ。

そして、そのパッケージを可能な限り最適化することが求められる。つまり、ベストミックスなのだが、そのミックス解として一つにまとめることが、さまざまな利害関係の調整を要しなかなか難しい。また時間軸によっても、そのベストミックスとしての解が変わる。グローバル化の波が押し寄せる最近は、特にこの変化のスピードが増している。

では、ベストミックスされたエネルギー政策をいかに導き出すか?その場合に考える手順は、供給サイドと需要サイドの両面におけるそれぞれの個別問題から入るのが分かりやすい。例えば、原発の問題は、大きなテーマではあるが、一方で供給サイドの一テーマにすぎない。

そこで私自身としても、日本のエネルギー政策を考えるスタートとして、供給側と需要側の一つ一つの問題について、私見をまとめることから始めてみたい。

そうした中から、日本が今後取るべきベストミックスされたエネルギー政策の全体構想・ビジョンが見えてくるかもしれないと期待して。