再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

日本のエネルギー政策を考える(14):どうする再生可能エネルギー#5・政策論3

2011-07-02 11:24:02 | 日本のエネルギー政策を考える!

再生可能エネルギーの中で主流となるのは、やはり太陽光と風力であろう。どちらも、元をたどれば、あの太陽のエネルギーである。

エネルギー量だけで見れば、太陽エネルギーというのは、実に膨大である。

人類が地上でエネルギー源として実際に利用可能な量は、世界全体の一次エネルギー供給量の約6070倍程度あると言われている。例えば、ゴビ砂漠の半分に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られるそうである。

そのような膨大なエネルギー量にも関わらず、太陽エネルギーの最大の欠点は、その「気まぐれ」さにある。つまり、天気任せ、風任せということ。今後は、この太陽エネルギーの気まぐれさを人類の技術力で、いかに克服し、有効に活用していくかがポイントである。

この長期的に見た場合の技術開発の方向性は、再生可能エネルギーを普及促進させる上で、極めて重要なものである。

例えば、電気として貯めることが、効率的にかつ経済的に可能となれば、世界のエネルギー政策は一変する。つまり、蓄電池の効率・性能アップと、その制御技術の進化である。

無駄なく貯めて、必要な時にうまく使うことさえできれば、太陽のもたらすエネルギーだけで、われわれ人類は十分に豊かに快適に過ごせるのである。

ただ、その道のりは、それほど容易でもなく、とても長いものとなる。しかし、どこかの誰かが、この方向性を追求し実績を出していかない限り、長期的に見た人類の明るい未来は見えてこない。

そこで資源の乏しい日本こそが、そうした研究開発において世界の先頭に立つべきではないか。ただし、現状では残念ながら、そのような気概も覚悟も、そして実力もないかもしれない。

数年前より、再生可能エネルギーの有効活用を促すインフラとして、スマートグリッドの実証研究が世界各国で進められている。こうした新しいテーマについての日本の姿勢は、どうであるか。残念ながら、いつもながら欧米など先進国への追従の域を出ていない。

なぜそうなのか?スマートグリッドの問題は、原発事故前までは、電力会社の影響力が最も大きく及ぶテーマでもあることから、電力会社の意向や動きを慮ることが当たり前であった。そうした極めて日本的な事情が、新しい世界への扉を閉ざしている大きな障害となっていた。そして、その事実を感じつつも、誰も気づいていないふりをしていた。

今回の原発事故によって、この日本的パラダイムは一転せざるをえなくなった。今回の大不幸が、唯一われわれ日本人にもたらした希望の光かもしれない。いや生き残った者の責務として、希望の光としなくてはならない。

今の日本は財政的な余裕がないことにも起因しているであろうが、今の日本人は、人類の将来を背負うような大きなビジョンに基づいた新しいエネルギー政策を掲げることに消極的すぎるのではないか。もっと大胆にふるまってもよいのではないか。少なくとも、もう電力会社を気にすることは必要なくなった。

再生可能エネルギーに係るエネルギー政策は、そのようなより大きな土俵でじっくり腰を据えて取り組んでいくべきものである。