再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

COP17の総括

2011-12-25 09:46:48 | コラム
COP17(気候変動枠組条約締約国会議)は、本年11月28日から12月11日にわたり、南アフリカ・ダーバンで開催された。

1995年にベルリンのCOP1から、スタートして今回のCOPが17回目である。実に、1997年の京都議定書が採択されたCOP3から14年が経過している。

この京都議定書の第一約束期間は、2008年から2012年の5年間。2013年以降のポスト京都の取り決めをどうするか。2009年のコペンハーゲンでのCOP15でまとまるはずが、昨年のメキシコのカンクン(COP16)でもまとまらず、今回のダーバン(COP17)に持ちこされていた。

COP17開催前の下馬評では、京都議定書は延長されず2012年で終わり、次の枠組みも決まらず気候変動対応の国際協調は崩れてしまう恐れも十分にあると言われていた。

そんな中で、今回のCOP17の結果は、以下の3点に集約されるだろう。

第一に、京都議定書は延長が決定したこと。第二に、ポスト京都の新枠組みの採択(2015年まで)と発効スケジュール(2020年まで)が合意されたこと。第三に、日本が京都議定書後の新枠組みが発効するまで、京都議定書の第二約束期間からは離脱すること。

第一と第二の点については、危ぶまれていた崩壊はなんとかぎりぎりで食い止められ、国際的な気候変動への対応に継続性を持たせることができた。この点は大いに評価できる成果であった。

問題は第三の日本の方針と離脱するという決定がどうであったか。この点については、国内外で賛否両論がある。

米国や中国などのCO2の排出大国が入っていない京都議定書は意味がなく、そのままの延長には反対を主張し続けた日本。かろうじてEUの妥協により、京都議定書の延長は決まったことによって、日本はかねてからの主張を通して2013年以降で新議定書が採択、発効するまでは、国際的な削減義務を受けないこととなった。

一方、日本政府の基本的な考え方は、京都議定書から離脱するからと言っても、将来の削減活動や国際貢献を放棄するのではなく、新しい枠組みづくりへの積極的な関与と同時に自国の温暖化対策は着実に実行していくこととしている。

ここは少し分かりにくいところではあるが、要は自国での削減努力は、今まで通り、あるいは今まで以上に継続しつつ、第一約束期間で行ったような国際的な義務を果たすために排出権を海外から調達するようなことは、第二約束期間ではしないということ。

ちなみに第一約束期間では、一兆円近い税金が排出権購入のために海外に流出している。このことが果たして国益に叶うことなのかどうか。

どうせ海外でお金を使うならば、日本経済全体を元気にするような戦略的な使い方をした方が良いという考え方もある。

私個人としては、今回の日本政府の離脱判断については、初志貫徹できたとして一定の評価を与えたいと思っている。中途半端に妥協するのだけは避けて欲しかったので、良かったと思う。

ただし、問題はこれからの国内における温暖化対策をゆるめることなく継続・強化していけるか、また海外においても、二国間クレジットのように戦略的な活動を進めていけるか。その方針と共に具体的な活動成果が必須となる。

今の民主党政府にそうした力強いリーダーシップが期待できるかというと、その点が最も心もとないところでもあるが。

ただもう政府のみに頼るのではなく、経済再生の中核を担うべき産業界こそがリーダーシップを取って進めていくべきである。