再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

日本のエネルギー政策を考える(8):どうする化石燃料#3・天然ガス

2011-05-21 12:09:34 | 日本のエネルギー政策を考える!

想定外というか、図らずもというか、今後のわが国のエネルギー政策上、原子力発電の役割の低下を避けることはできないであろう。

そうなると、その低下分をいかに補填していくか。それが当面のエネルギー政策上、大変大きな課題となる。

もちろん、大幅な省エネや節電は強化していくものの、供給側での解決策として最も確実かつ早期に実現性が高いものは、天然ガスの利用拡大である。おそらくその考え方に大きく異論を唱える者はいないのではないか。

何よりも天然ガスは、温室効果ガスの排出量という視点から言っても、化石燃料中、最も優等生だからである。石炭などに比べると、約4割も排出量が少ない。

ただし、天然ガスも化石燃料である以上は、その埋蔵量に限界があり、価格の変動もさまざまな国際情勢に左右され、その意味で石炭や石油と同じではある。

ただ最近、エネルギー業界関係者の間で急速に注目度が高まっているのが、新しい天然ガスである。「シェールガス」や「炭層ガス」と呼ばれる新型、非在来型の天然ガスは、硬い岩盤層や石炭層に閉じ込められたもので、原油価格の高騰や世界的なエネルギー需要増に対応するために、それらの開発が加速され始めている。

この新型ガスの採れるガス田開発は、米国に端を発し、その後、中国、欧州、インドネシア、オーストラリア、インドなどで、世界各地で急速に進められている。

この新型ガスの総埋蔵量はまだ正確には分かっていないが、従来型ガス以上に膨大な量がありそうだとの大きな期待が高まっている。また、このガスの利点は、その埋蔵地域が、中東などに偏在することなく、あまねく世界にありそうだということ。これはエネルギー安全保障上、極めて重要である。

わが国としても、こうした世界市場でのガス田の開発競争に乗り遅れることなく、自国のエネルギー安定供給のために、新型ガス田の上流権益の確保や輸入源の分散化など、戦略的かつ迅速な意思決定とアクションが求められている。

図らずも起こった原発の不幸を乗り越える意味でも、早期のエネルギー政策の転換とその政策に基づいた具体的な行動計画と予算措置が必要である。

いずれにしても、21世紀の半ば頃までは、天然ガスの上手な確保と利活用によって、低炭素化を維持しつつ、供給サイドの安定化を図っていくことになるであろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿