今回から数回にわたり、化石燃料に関するエネルギー政策のあり方、今後どうなるか等について考える。
化石燃料は、主に石炭、石油、天然ガスの3つである。最近では、メタンハイドレートやシェールガスなど、新しい種類の化石燃料の利用も検討が始まっている。
いずれにせよ、化石燃料を燃やすと二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)等、地球温暖化や大気汚染による酸性雨などの環境問題を引き起こす要因となっている。しかしながら、産業革命後に石炭から利用が始まり、19世紀後半からは石油が台頭し、その後、20世紀半ばになり天然ガスも使われるようになってきたが、現在の人類全体の社会経済全体を大きく支えていることも事実であるので、そうやすやすとは化石燃料を使わないという判断もできない。
まずは石炭の現状はどうか。私も古くは中学高校生時代に、SL(蒸気機関車)の熱烈なファンであったが、石炭と言うともう時代遅れの燃料というイメージがある。かつ、あまりクリーンなイメージもなく、むしろ黒煙モクモクというような汚いイメージが一般的かもしれない。
確かに運輸部門や一般家庭での燃料としての石炭の役割はとうに終えているが、産業部門、特に発電においては、まだまだ大きな役割を担っている。
石炭火力発電は世界全体でみると大きな比重があり、すべての電源構成の約40%程度となっている。特に、中国などは石炭換算によって、国の総エネルギー使用量を表示しているぐらい、その大半を石炭火力で賄っている(日本は石油換算)。
日本においては、1975年度には石炭火力は全発電量の4%程度であったものが、2005年には約3,600万kW(自家発電を除く)と全発電量の約21%となった。つまり、わが国においては20世紀後半から石炭火力は急速に増加している。
では、石炭火力の最大の問題は何かと言うと、CO2の排出係数が他の化石燃料(976g/kWh)と比較して、最も高いこと。天然ガス火力(519g/kWh)の2倍近い。
だからと言って石炭は悪者かというと、必ずしもそう単純ではなく、経済面や供給安定性を考えると日本のエネルギー政策上も重要視すべきである。
最新の石炭火力では、SOx、NOxはしっかりと処理されており、ほとんど煙もでない。また、発電効率も40%以上と高い。
さらに高効率化するために、石炭をガス化して発電するという石炭ガス化複合発電(IGCC)の開発も進んでいる。これだと発電効率を50%近くにできる。
問題はCO2であるが、これもCCS(Carbon Capture & Storage)などCO2分離回収・貯留技術が開発されつつある。
CCS技術は、徐々に世界各地に広がっており、北米や欧州、北アフリカで5つの大規模なプロジェクトが進んでいるが、まだ技術的に未成熟な部分もあり、その確実性が議論を呼んではいる。
いずれにしても、今後20年30年程度のスパンで見たとき、石炭を地球環境に配慮しつつうまく活用していくことが必要であり、特に、資源のないわが国のエネルギー政策上は、絶対に欠かせない視点である。
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