人は思わぬ逆境に遭遇したり、何かに悩み苦しみ抜いている時、自らの心の置き所として、「原点回帰」という手法を持っています。
もう一度、逆境や悩み・苦しみの始まる以前に戻ること。つまり、「振出しに戻る」ということができるのです。
ただし、そのような心境になるためには、多少時間がかかるかもしれません。そこに至るまでに心が折れてしまうかもしれません。でも、一度でも「振出しに戻る」ことを経験した者であれば、多少時間がかかろうと必ずその時が来ることを信じることができます。
まさに「朝の来ない夜はない」のです。
そして、実はその「振出し」は、決して以前とは同じではないことに気づくことになります。年月を経た分だけ、絶対に成長した「振出し」なのです。つまり、一次元上の「原点」という表現が適切かもしれません。らせん階段を横から見るようなもので、振出しの位置は、以前よりも上にあるのです。
このことがすなわち今そこになる逆境から、悩みから、苦しみから、抜け出すための大きなエネルギー源となるのです。
私もこのブログを始めた時、2007年のゴールデンウィークは、そんな原点に戻った時でした。その時は、「藁をもすがる思い」の原点回帰でしたが、今から冷静に見ると、やはり一段高い原点であったようです。
昨今の世界の経済・社会情勢もまったく同じ心境で捉えることができるのではないでしょうか。100年に一度の危機と言われますが、例えば1929年の大恐慌の時に戻ったとしても、その時よりも社会全体は一段も二段も成長していることを誰しも認めることではないでしょうか。
振出しに戻ることは、決して退化ではありません。むしろ、成長過程の大切な通過点なのでしょう。
否、むしろ能動的に成長の通過点にするという「人間の強い意志」こそが、今問われているのだと思います。
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