埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ
イチョウの下のよもやま話
チームワーク (その2)
よくご法事の後で お話させていただく事ですが。
有名な政治家、偉いお坊さんなどが
「人という字は 一本の棒と 一本の棒が
互いに支え合って できている字です。
だから 人は ひとりでは生きていけない。
周りの人を 大切にしましょう。」
と 教えてくれます。
でも、これは、本当は・・・・・・間違っています。
人という字は 人を横から見た姿、
二本の足で しっかりと 大地を歩いている姿なんです。
ついでにいえば、人を真正面から見た漢字は 「大」。
両手を思い切り広げ、
両足で 大地を しっかりと踏みしめている姿です。
伝教大師のお言葉に
「己を忘れて 他を利するは 慈悲の極みなり」
と あります。
ここで、
「ほかの人のために」と考えるのは
とても大切な事だと思うのですが、
その前に
「自分を捨てる」ということを 自分がすることは
やはり 非常に大切な事だと思います。
「己を忘れて」を忘れて
「他を利する」だけでは
単なるおせっかいになってしまうのではないでしょうか。
「和を以って 貴しと為す」 という 聖徳太子のお言葉も
「忤(さか)うること無きを 宗(むね)とせよ」 と続き、
人と人とは 仲良くすることが大切なことで、
お互いにケンカをしないように心掛けなさい、という事で、
決して チームワークを強制しているわけではなく、
むしろ 他人の個性や主張や立場を 認めてあげなさい
という事なのです。
あちらこちらのサークルや会合に、
顔を出し 口を出し 手を出すことで よいお付き合い
と考えるのは、
その各方面に一生懸命であればよいのですが、
それによって自分のなすべきことが おろそかになってしまっては、
ややもすると もっと大きな意味で、
大事な場面でチームワークを乱す事になりかねません。
チームワークは
ひとりひとりが
為すべきことを
きちんと行なったうえで成り立つ結果である
という事に
早く気づくことが大事だと思います。
大海の波浪は 是れ 常有に非ず
是れ 常無に非ざるが如し
(大海原の波浪は、その一つ一つが
恒常的に波という固定的形態をとっているのでもなければ、
それが全く無いということもない。 唐 一行)
皆様のご健寿と ご隆盛を 重ねて 心から 祈念申し上げます。
ああ、また出て来ましたね、「<人>という字」(苦笑)。
つまりは、
「たとえ チームワークに関してでさえ、
仏教では<個>人を重要視する」と言いたかったのですが、
伝わっていますでしょうか?(汗)
今日はここまで!