北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

札幌に住むおやじが北海道を中心に鉄道旅の話題や無線の話題も織り交ぜてぼやきます。アマチュア無線のコールサインJA8HBO

鉄道ジャーナル誌・北大院、吉見宏教授の「JR北海道の現状と矛盾」について

2015年05月15日 | JR北海道 JR北
鉄道ジャーナル6月号に、北大大学院の経済学研究科科長・吉見宏教授が「JR北海道の現状と矛盾」と題して寄稿している。
本を買ってから半月も経ってから気がついて(笑)興味深く読んだ。
285のことDMVのこと、廃線のこといろいろと触れている。何にもまして日本の交通行政の貧困さがよく分かるとともに、JR北海道の問題は日本の鉄道全体の問題でもあると感じた。
先日の東日本で相次いだ架線事故を思うと尚更である

小見出しごとに内容の概要を紹介する。

1.特急気動車高速化の断念を考える
日本で高速気動車の開発の芽は摘まれてしまった
2 北海道の幹線電化すべきか
日本の鉄道の高速化は電車によるのが規定路線のように なったが、そうであるなら分割民営化の時点で電化をするべきだった。現在の非電化路線を電化する力はJR北海道には無い。
3 海外メーカー参入の素地作り
日本以外、特にイギリスはディーゼルによる高速化を勧めていることも考えると、海外からの車両の導入も考えるべき。
3 DMVに注目した事業者は国内外に多い
国内外で期待の高かったDMVはほぼ完成の域に達していた。期待していた多くの需要家の落胆は大きいだろうJR北のモチベーションを上げる存在になりえたはず。
4 身軽なDMVなら踏み切りは交差点と考えても
首都圏の鉄道と地方ローカル線の安全基準が同じという必要はないのではないか。DMVは道路との交差部分で停って待つというのもありえる。
5 道路と鉄道を同時に考える発想を
国土交通省の相変わらずの縦割り行政の弊害は大きい。青函トンネルにカートレインがなぜできないのか
6 時代に対応しない30年前の制度
環境が大きく変化したのに、30年前の分割民営化のスキームを全く変えようとしないのはおかしい。経営安定基金の運用益で損失を埋めるのというのは、低金利の中で事実上失敗した。逆に低金利で資金を調達した上場3社は設備投資を進めた。
7 地域に根ざした鉄道の実の様子は
8 小分けされた会社は国際展開にも不利
殆ど交流が無いJR各社は、海外への技術展開も考えると国が持ち株会社となってまとめるべきであろう
9 貨物線を強化しなければならない現状
北海道の農産物を全国に輸送することで北海道ではJR貨物の役割が大きい。多いとはいえないJR貨物の線路使用料を前提にJR北海道は線路の保守も続けていかなければならない。道南いさりび鉄道も、自治体が多額の負担をしながら線路の保守しなければならないのだ。
10 国家の物流動脈を保守する現状とは
国家製プロジェクトで建設された青函トンネルの保守に要する多額の費用をJR北海道一社に負担させるべきなのであろうか。
11 「がんばれ」だけでは廃止がひろがる懸念
がんばって収益を上げるために、合理化を進めていけば、交通網の維持が必要な路線なのに、単に資金面からだけで廃線してしまうことも出てくるのではないか。

氏は最後におおむね、このように結んでいる・・・・
JR北海道の廃線が実際に進んでいけば、それを見ていたJR他社、特に利益が出ているはずの上場3社も株主利益重視の観点から、山間地などの廃線は当然と言ったような動きになっていくのではないか。国鉄分割民営化時点の路線は維持する約束だったはずだから、JRはもちろん国にも大きな責任がある。このままではJR北海道だけの問題ではなくなるのだ
「マスコミも国民もJR北海道を批判するだけでは何の解決にもならない」




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