2月20日の北海道新聞に興味深いコラムが掲載された。
「<舞台裏を読む>国、道平行線 JR8線区存廃危機」と言うもので、任期末期の高橋知事の指導力の欠如と北海道選出自民党議員の無力さである。
このままでは表題のとおり、8区間は廃止への路をたどるしかないのであろうか。北海道の次年度予算にJR支援の計上が見送られたが、それは各市町村が負担に応じなかったからだと報じられていた。
しかし、このコラムによると、「道幹部」の抵抗によるものだったという事になる。それが誰なのかはともかくとしても、知事の責任は重いし、4月の知事選挙に出馬表明している自民党系の鈴木夕張市長はJR問題を争点から外し、高規格道路の整備などという、ばらまき政策をぶち上げている。
一方で石川元衆議院議員は明確にJRの路線存続と上下分離の検討を打ち出している。ここへきてまでも、本当に自民党は、道民の眼をJR問題からそして、鉄路の廃線を容認するような動きをしているのか、今後見守っていきたい。
<舞台裏を読む>国、道平行線 JR8線区存廃危機 要旨
「このままでは8線区すべてが廃線になりかねない」(道内選出議員)
JR北海道が宗谷線など、8線区を本当に残せるのか、雲行きが怪しくなってきた。国土交通省や道は、8線区を存続させるため、新たな共同支援策を模索したが、19、20年度の支援額はJRが当初見込んだ10分の1程度の数億円に縮小される見込み。
支援額が大幅に絞られるまでに何があったのか。
JR関係者が「希望が見えた瞬間だった」と振り返る場面がある。17年暮れ、道内17団体のトップが国交相を訪ね、援要請を求めた時だ。要請書には「道と市町村が一体となって可能な限りの支援・協力を行う」と明記。道幹部は同省鉄道局幹部に「道が主体となりJRに30億~40億円を支援する」との意向を伝えた。
支援に向けた協議は一気に加速。18年7月、JR北海道に対し、線路補修や青函トンネルの維持管理などに19、20年度の2か年で400億円台の支援を行うと発表した。赤字8線区の支援について地方交付税で穴埋めする新たな手法を模索し始めた。
だが、ここで潮目が変わる。400億円台の支援計画がまとまったころから道幹部が「やはり難しい」と30億~40億円の拠出に難色を示す。国と道の言い分は平行線をたどり、折り合うことはなかった。
永田町で政治の力が発揮される場面もなかった。自民党のJR北海道対策PTは、吉川衆院議員が農水相に就任して座長を退いたにもかかわらず、道内とは縁遠い比例四国ブロックの選出議員が後任に就いたのは昨年12月。PTは昨年7月以降、7カ月間も開かれなかった。その間に国交省と道の支援策づくりは破綻に近づいていた。
昨年暮れ、国交省鉄道局や道の幹部、国会議員ら数人が集まった。道幹部は、負担の重さや、議会で承認を得る難しさを説明。数日後、高橋知事は19、20年度に限り、道と沿線市町村だけで8線区のために緊急支援を行うと表明した。
国のJR支援の根拠となる法律は20年度末に期限を迎える。21年度以降もJRを支援するためには、今秋にも改正法案の準備に着手する必要がある。どこが主体的に、JR北海道の赤字路線問題と真正面から向き合うのか。