しかし何と言っても、佐々木優美の知名度と、その新しいファッション性が、人気の支えだった。
立ち上げたブランド名「優」も好評だった。
社長を始め皆が改めて、その力を感じていた。
優美は弾けるばかりの能力を発揮して、次々と新作を出していた。彼女は近頃では店に出ること
よりも、7階に籠ることが多くなった。
アシスタントも付き、ミシンは休むことがなくなった。そうしている間にも母校の講師の仕事、
服地の市場調査と商品の仕入れなど仕事は多岐に亘り、休む間もなかった。
勢い店はあやが中心で仕切ることになったが、そのあやも店のミシンを踏み、7階に上がること
が頻繁だ。
「まるで人気タレントだわ、これで本当に儲かるのかしら」
あやはさすがに溜まった疲労で、溜息まじりに志乃に言った。
「本当ですね。誰も帳簿のことなんか気にしていないみたいですものね。始まったばかりなのに、
なんだか止まらなくなった電車に乗っているみたい」
「その点は社長がしつかり抑えていると思うけれど、あまり勢いがつき過ぎると、ちょっと怖く
なるわね」
「優美さんはその辺りは、全然気にしていないみたいですね。それに社長って優美さんに輪をか
けたようなところがあると思うの」
「あらどうして」
あやは意外といった顔で志乃を見た。
「凝り性のところがあるし、それに気分屋だし」
志乃はここで急に悪戯っぽく、声を落としてあやを見た。
立ち上げたブランド名「優」も好評だった。
社長を始め皆が改めて、その力を感じていた。
優美は弾けるばかりの能力を発揮して、次々と新作を出していた。彼女は近頃では店に出ること
よりも、7階に籠ることが多くなった。
アシスタントも付き、ミシンは休むことがなくなった。そうしている間にも母校の講師の仕事、
服地の市場調査と商品の仕入れなど仕事は多岐に亘り、休む間もなかった。
勢い店はあやが中心で仕切ることになったが、そのあやも店のミシンを踏み、7階に上がること
が頻繁だ。
「まるで人気タレントだわ、これで本当に儲かるのかしら」
あやはさすがに溜まった疲労で、溜息まじりに志乃に言った。
「本当ですね。誰も帳簿のことなんか気にしていないみたいですものね。始まったばかりなのに、
なんだか止まらなくなった電車に乗っているみたい」
「その点は社長がしつかり抑えていると思うけれど、あまり勢いがつき過ぎると、ちょっと怖く
なるわね」
「優美さんはその辺りは、全然気にしていないみたいですね。それに社長って優美さんに輪をか
けたようなところがあると思うの」
「あらどうして」
あやは意外といった顔で志乃を見た。
「凝り性のところがあるし、それに気分屋だし」
志乃はここで急に悪戯っぽく、声を落としてあやを見た。