この一事があなた様にとって、身に覚えも根拠もないことでありましたならば、以下は読む必要
のない戯言になりますので、どうぞこの時点で近くの屑籠に棄てるか、あるいはストーブに投げ入
れて下さい。
世の中にはとんだ早とちりで周りの人の目を白黒させるお騒がせ人がいるものですが、多くの場
合そんな人間に悪意はございません。
私もそんな頓馬とお考え頂き、何卒失礼の段御容赦下さい。
一面識もない見ず知らずの方に「私の父では」と尋ねるには、それなりの理由と勇気が必要でご
ざいます。
この言葉がどんな問題を引き起こすのか、思いもかけぬ影響を投げかけるのか、実際には何も分
かりません。
それ故さんざん迷い躊躇しましたが、やはり書かずにはいられませんでした。
こうして書き始めてもなお、自分がただの頓馬であって欲しいと思っております。
しかし、一方では事実であればという願いも拭えません。
あなた様の名を知ったのは、昨年の春でございます。実は私の母が昔お付き合いを頂いておりま
した札幌のある友人と会う機会がございました。
その友人が姪御様のお話しをしました。
その方の名は影山あや様、確か今は26歳になられます。あや様はお話しを伺った時は東京の渋
谷の、ブテイック「フローラ」という所で働いているとのことでした。
東京のファッションや流行の話しが出た時にそんな話しをなされました。