のかなあー」と言ってあやを見た。
あやの眼は船着き場の鉄五郎に向けられている。
「何があったのかは分からない。特に気が付いたこともない。ただ、言う通り近頃の鉄さんは、
何か考えごとがあるような気がする。
あの畑に行った日から、ずっと心配ごとにでも囚われている気がする。
それと・・・気軽に尋ねるのを憚らせるものを感じる。で、ね、ただ様子を見ているだけなんだ」
「やっぱり、私も同じ」
「病気のこともあるから、それとなく注意はして見ているから、あやさんは余り心配しない方が
いいですよ。気付かれたら、かえって気を遣わせることになる」
「私そんな風に見えた」
「少こしね」
「駄目ね、私は直ぐ顔に出てしまうから。でも分かった注意するわ。それで相談なんだけれど港
への出荷は当分高志さん一人で行ってもらえないだろうか、それと、漁に出るのも三回に一回は私
と行ってもらえない。
ここ少こしの間だけでいいのよ。
何せ鉄さん頑固で薬飲まないし、定期の通院もすぐにパスしちゃうでしょう。
私いつまでもここにいる訳にはいかないから、今無理をされると心配なの」
「分かった。僕の方はかまわないけれど、でも、鉄さんがうんと言ってくれるかどうかが問題だ
なあ」
それは大丈夫、私強引だからそれに昔からあの人、私の言うことは割りにちゃんと聞いてくれる
から」