完璧ならば崩れる
チェジュ島に人々が住み始め畑作をした時だった。畑作をするためにはまず荒廃した平原を畑にすることが急務だった。平原はすべてでこぼこした火山石にまみれていた。農業をするのにいいと思うところも少し掘ると石にまみれていた。
人々は自然にその石で畑の周りに土手を積み始めた。土手に石をのせて積み上げて畑と畑の間の境界にした。
いつもとても丁寧に仕事をするとうわさのあるキンさんも、畑から出てきた石で塀を積んだ。完璧な性格そなままに、風の入りこむ隙間の無いように堅固に塀を積んだ。
「このぐらいならおそらく倒れないで100年は持つだろう。」
キンさんはしっかりと上手く積みあがった塀をトントンと叩きながらとても満足な笑みを浮かべた。しかし、石の塀は100年どころかただの1日も持たないで倒れてしまった。それ程ひどくもなかった昨日の風にそのまま倒れてしまったのだ。
キンさんは低めに塀をもう一度積んだ。だけど、塀は倒れた。
キンさんは少しも失望せず、タバコを何本か吸いながら心に余裕を持ってまた塀を積んだ。今度は石を一定に整えないであるがままに穴があくように作って積み上げた。
すると、風が穴を抜けて塀は倒れなかった。塀は外から見ると、誰かがくしゃみでもすると倒れるようだが、どんなに強い風が吹いても倒れなかった。遠い海から吹いてくる風が穴を自由に通り抜けるだけだった。
「あまりにも完璧ならば倒れるものだ。少し粗末なところがあってこそいい。」
キンさんは畑の畔に座ってタバコに火をつけながらつぶやいた。
菜の花がその言葉を聞いて風に揺れた。菜の花は風に全身を任せてこそ折れないことをすでによく知っていた。