冬の意味
肉をえぐるような冷たい冬の風が吹いてきた。幼い梅の木はあまりにも寒くて自分でも知らずに涙をスーと流した。涙は冬の風にすぐに凍ってしまった。
「お母さん、寒いよ。我慢できない。」
幼い梅の木は風に耐えることができず母の梅ノ木の懐に深く入り込んだ。
「そうだね。本当に寒いね。だけど、私たちはこの冬に誰よりも我慢して耐えることができなければならないのよ。」
母の梅の木は葉が落ちて枝ばかりになった体を曲げて幼い梅ノ木を抱く手により力を入れた。
「冬はなぜ私たちに毎年このようにつらく当たるのわからない。」
「それが冬の義務だからだ。冬は私たちに本当にありがたい存在だ。私たちは冬がなければ、もしかしたら存在価値を失ってしまうかもしれないわ。」
「ありがたいって、何がありがたいんだ。私たちをこんなに寒さで震わせるのに。」
「それが冬が私たちにしなければならないことだから。もうすぐ春が来るとお前も冬がどれだけありがたい存在かわかるようになるわ。」
母の懐に抱かれたせいか幼い梅の木は少し寒さが和らいだような気がした。
しかし冬の風は依然と恐ろしく吹いていた。母の懐に抱かれていても冬の風は避けることができなかった。母の言葉どおり幼い梅の木は冬を我慢して耐え抜かなければならなかった。
遠くの山の雪が融けた。肉をえぐった冷たい冬の風が程よく温かい風に変わった。とうとう春が来たのだ。
幼い梅の木は葉も出る前にまず桜色の花を咲かせた。世の中に生まれてはじめての咲いた花だった。
多くの人が幼い梅ノ木に集まった。
「わぁ、本当にいい香り。」
「世の中にこんなにいい香りはないわ。」
「私は梅の香りをかぐために春が来るのを待っているの。」
人々が幼い梅の木の花の香りを尽きることなくほめたたえた。
その日の夜、母の梅ノ木が幼い梅ノ木に言った。
「これでお前もわかったはずよ。私たちがなぜ冬の風を我慢して耐えなければならないのか。私たち梅の木は肉をえぐる冬の風に勝ってこそ香り高い花を咲かせることができるのよ。お前が万一冬に耐えられなければ、お前は香りのない花になってしまうのよ。花に香りがないことは、すなわち死んだことと同じなのよ。」
幼い梅の木はやっと冬の意味を少しわかることができたようだった。