退屈しないように シニアの暮らし

ブログ巡り、パン作り、テニス、犬と遊ぶ、韓国、温泉、俳句、麻雀、木工、家庭菜園、散歩、卓球
さて何をしようか

泣かないで、花を見なさい

2014-10-12 05:27:26 | 韓で遊ぶ


切られたズボン
大分寒くなり始めた晩秋の夜、アパートの工事現場で仕事をするイさんは、その日の仕事を終えて、飯場に寄って夜遅くまでマッコリを飲んだ。そして家に帰る途中、露店でズボンを1枚買った。昼に現場でズボンが釘に引っかかってだめになるぐらい長く切れてしまったからだ。
「明日の仕事のことも考えないで、何でこんなに遅いの。」
門を開けてくれたイさんの妻が疲れて死にそうだという風に、手で口を塞ぎもしないであくびをした。朝早く起きてソウルへ派出婦の仕事をしに行く彼女は、夜10時になると襲ってくる睡魔に勝つことができなかった。
イさんは、その時まで寝床に入らないでテレビを見ていた年老いた母親に挨拶をして、すぐにズボンを妻に出した。
「今日、作業服のズボンが破れて新しいのをひとつ買ってきた。明日、着ていけるようにズボンのすそをあげてくれ。」
するとイさんの妻の声が大きくなった。
「そんなことがあるなら少し早めに帰ってくればいいものを。今、何時だと思っているの。まずは寝てちょうだい。本当にくたびれて死にそうなんだから。明日、他のをはいていけばいいじゃないの。」
「あ、それもそうだな。」
イさんは妻がひどく疲れているようだったので、それ以上何も言わなかった。そして彼も疲れに勝つことができず、手を洗ったのかどうかもわからないうちに、正体もなく眠り込んでしまった。
しかし、イさんの妻は眠らないで夫が買ってきたズボンを摘み上げた。綿に水が染みるように全身に眠気が湧いたが、明日夫が新しいズボンをはいて行くのがいいと思い、がんばってズボンのすそをあげた。
その後、夜中の1時頃だった。嫁に行っていないイさんの妹が、その時まで眠らないでいて、そっと居間に出てきて兄のズボンのすそを上げて、自分の部屋に戻った。そしてまた、明け方の5時、イさんの母親が起きてきて、そっと息子のズボンのすそを上げて山に薬水を取りに行った。
その日の朝、妻がイさんに作業服を出してやった。
「今日このズボンをはくんでしょ。昨日の夜あなたが眠り込んだ後、私がすそを上げて置いたわ。」
「お、やっぱりお前だ。」
イさんはお母さんに見られるかと、素早く妻の頬にキスをした。そしてすぐにズボンをはいてみた。
「あれ、これ、何でこんなに短いんだ。」
ズボンのすそはイさんの腿の骨のところまでひょろっと上がっていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泣かないで、花を見なさい

2014-10-12 05:27:26 | 韓で遊ぶ

山びこ
些細なことで兄弟げんかをした。それを見て母が兄を叱った。幼い弟をかわいがるどころか叩くとは、なぜ叩いたのかと叱った。
怒りを抑えられない兄が家の裏山に上って「俺はお前が嫌いだ。」と叫んだ。
前の山からも「俺はお前が嫌いだ。」と言う声が聞こえた。
子供は急いで家に帰って来て母に言った。
「母さん、山の向こうに誰か俺を嫌いだと叫ぶ子供がいる。」
母はその話を聞いて息子にこう言いました。
「ならば、もう一度山に行って今度は『俺はお前が好きだ』と一度叫んでみなさい。」
子供は母親の言うとおりにもう一度裏山に行って「俺はお前が好きだ」と叫んだ。すると前の山からも「俺はお前が好きだ」と言う声が聞こえてきた。
子供はうれしかった。日が沈んでいくのも忘れて何回も「俺はお前が好きだ」と叫んだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする