退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

泣かないで、花を見なさい

2014-10-23 02:20:07 | 韓で遊ぶ

宝探し
ある田舎の小学校の裏山で宝探し大会が開かれた。小学校を卒業してから30年ぶりに母校に来た卒業生たちが、在学当時の恩師を招いて遠足に行ったのだ。
「さ、同窓生の皆さん、今日の最後のプログラム、宝探しを行います。今日のこの宝探しはとても異色なもので、私たちの永遠の師匠であるキムパニョン先生が提案されたものです。先生は皆さんが学校を卒業して故郷を離れた後、今まで決して失くしてしまってはいけない大事な宝をたくさん失くしてしまったと言って、今それをもう一度見つける時が来たとおっしゃっておられます。だから、私たちはこの間に失くしてしまったその大切なものを、もう一度探そうと思います。さあ、皆さん宝を探しに出発してください。今、午後3時ですから、4時までの1時間の時間をさし上げます。以前、私たちが遠足に行ったあの頂上まで岩の隙間や木の枝などを捜してみてください。そこに宝を示す紙が隠してあります。最も大切なものを見つけてきた方に最も大きな賞をさし上げます。」
司会者の言葉が終わると20余名の卒業生たちが、5月の新緑の中にばらばらと散らばった。額にしわが深く刻まれたキムパニョン先生は、宝を探しに行った弟子たちを見守りながら静かに微笑んだ。
1時間はすぐに過ぎた。卒業生たちは大部分が紙切れを1枚ずつ持って司会者の前に集まってきた。司会者の前には美しく包装されたたくさんの賞品が積まれていた。人々は自分が一番大きな賞をとることを望んだ。
「さあ、皆さん、今から皆さんが探してきた宝に対して賞をさし上げます。一番大切なものを探してきた方に、キム先生から直接賞をさし上げます。一人ずつ順番に紙を出してください。」
司会者が話を終えると、妊産婦のように腹が出た卒業生がまず紙を差し出した。そこには「友情」と言う言葉が書かれていた。
「はい、そうですね。この間、私たちは本当に大切な友情を失くしてしまっていました。」
司会者がその男に小さな卓上時計をひとつ賞品として与えた。
次は頭の剥げた男が紙を差し出した。そこには「忍耐」と言う文字が書かれていた。
「はい、本当にそうです。私たちは幼い時、食べさせる草をとって培った、貧しさを我慢して耐える、その心を失ってしまいました。」
その次にはジーパンに半袖の開襟シャツを着た男が、またその次には十字架のネックレスをしたおばさんが「希望」とか「時間」という紙を差し出した。その度、小さな賞品が与えられた。
人々は皆「愛」と書かれた紙を見つけた人が、一番大きな賞品をもらうものと思っていた。しかし、ハート型の大きなイヤリングをしたおばさんが「愛」と言う文字が書かれた紙を差し出したが、そのおばさんに行った賞品はただの圧力釜だった。
すると人々は気になった。誰が一等になるのか、誰が一番大きな賞品を受けるのかと台の上に置かれている一番大きな賞品を見つめた。しかし、最後の授賞式が終わる時までその賞品を持っていく人はいなかった。ただ、宝探しを提案したキムパニョン先生が弟子たちの前で一言話をしただけだった。
「私は今日皆さんに会ってうれしくもありましたが、遺憾にも思いました。それは皆さんが一番大切な宝物を見つけることができなかったからです。今、私たちが失くしてしまっているものの中で一番大きなものは、明らかに愛です。失くしてしまった愛は必ず見つけなければなりません。ですが、皆さん、犠牲のない愛はありません。愛のためには自分を捨てることを知らなければなりません。皆さんのお母さんの犠牲を一度考えてみてください。お母さんの愛、それはまさに犠牲です。私は今日皆さんが「犠牲」と言う宝を見つけてくれることを期待しました。」

コメント
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