退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 9

2015-10-01 06:21:41 | 韓で遊ぶ


美しい木
失敗した事業家が、友達と草木の生い茂った山に登りながら深いため息をつきました。
「ふぅー、、、」
事業家は友の前で虚しいことばかり話しました。
「失敗の人生だ、、、、もう希望もない、、、」
世界的な企業を作るという野望を抱いて、ひたすら前ばかり見て走ってきた人生。ですが、簡単に崩れてしまった砂の城のような夢、、、。事業家に残ったものは一生かけて返さなければならない借金と、どんなに努力しても逆立ちしても役に立たない挫折だけでした。
「こんなにたくさんの借金をどうやって返せば、、、。私はもう死んだも同然だ。むしろこのまま、さっと、、、。」
事業家の愚痴を何も言わないで聞いていた友達が、柏の木の前で立ち止まりました。
「この木をちょっと見てみろ。この木が、なぜこんなに立派に育ったと思う。ちょっと考えてみろよ。」
事業家が、むすっとした表情で木を見ながら答えました。
「この木は明らかに種から育ったものだ。だが、こんなに大きくなった。私とは生まからして完全に違う木だ。」
事業家の言葉に、友達が首を横に振りました。
「そうじゃない。」
「じゃあ、なんだ。」
友達は、柏の木を撫でながらきちんきちんと力をこめて話しました。
「それはだな。この木は、他の木よりも足りないところがたくさんあるからだ。」
事業家は不思議そうな表情で聞きました。
「足りないだって。何が足りないというのだ。」
友達はにっこりと笑って話を始めました。
「私の話をちょっと聞いてみるかい。もし、この木が他の木よりも丈夫だったとしたら、人にとっくに切られているよ。いい木を放って置くはずがないから。この木は、他の木よりも落ちたのだろう、、、。だから切られないで残ったのさ。そのおかげでこんなに大きく美しい木になることができたのさ。」
「あ、人々にこんなに気持ちのいい日陰までくれてだ、、、、。」
「だから、落胆するなよ。希望をなくさなければ、君もこの柏の木のように、いつかすばらしい事業家になることができるから。」
世の中のすべての生命が大切で価値があるのだ。たとえ、始まりはみすぼらしくても、鋼鉄のような意志と、花火のような情熱だけあれば、足りないところはいつでも埋めることができ、望むものが何であれ、手にすることができるという友達の忠告、、、。
柏の木の枝の間から差し込むまぶしい日差しが、事業家の顔に降りそそいでいました。
コメント
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