
意味ある選択
今から7年前、ひたすら勉強ばかりしていた高3の頃のことです。その時の私達の目標は、ひたすら大学進学でした。ですが、一人だけ私達と違う友達がいました。その子は、そーっと出席だけして勉強は後回しでした。受験書や参考書の代わりに、漫画や小説を小脇に抱えて生きていた私と仲のよかった友達、、、。大事な時間をそうやって流してしまうのでも足りず、授業が終わるとすぐに家に帰り、全く勉強には関心がありませんでした。心を入れ替えることが出来ず、なじめずにいる友達を私は何とかしたいと思いました。
「ウンス、私と一緒に学校の図書館で勉強しよう。」
「私、勉強に興味がないわ。」
いつも私の誘いを断ることが少し薄情にも思え、私達の友情もこれぐらいかしらと言う思いまでしました。だんだん、疎遠になる関係を何とかするために、ある日、本屋に行こうと提案しました。久しぶりに友達と仲良く過ごす時間を持ちたいと思いました。
「「本屋、いいわよ、、、。本屋に行って小説でも買おうかしら。」
小説を買うといっていた友達でしたが、本屋に行くと心が変わったようでした。ある本を1冊選んだら、一時も目を離すことが出来ないでいる友達。横でつついてもわからないくらい真摯で厳粛な姿でした。
友達が選んだ本は、世界の貧しい村で暮らす人々の生活像を描き、そこで志願奉仕をしている人々の生々しい体験が書かれた手記でした。
書店から帰ったその次の日から、友達は変わりました。いつもなら音楽を聞いて漫画を読んでいた時間に、英語の単語を暗記し、毎日遅くまで図書館に残って勉強する模範生になりました。私は急激な変化の理由を聞きました。
「ウンス、あなたどうしたの。人が変わったみたい、、、。」
友達はその本一冊が、人生の転換点であり、新しい出発点になったと言いました。
「その本を通してわかったの。私が本当にしたいことが何か。それは困難にいる人々の力に成る志願奉仕だったの。でも誰かの力になろうと思ったら、勉強も一生懸命やらないと。」
奉仕の道を歩きたいという友の目の光に、私は強い意志を読み取りました。そう言ったとおり友達は社会福祉学科に進学しました。大学を卒業して世界福祉団に志願しました。
助けが必要な誰かに奉仕して献身しながら、人生の本当の意味を学んでいると言う友、、、。意味なく送っていた過ぎた時間を反省し、一日一日を充実して送っている私の友、、、。
今頃は、ミャンマーのどこかの荒涼とした地で、苦しい人々の霊魂を暖かい手でなだめているのでしょう。友達が送っている人生の本当の時間が永遠に続くことを願います。