
弁当に愛いっぱい
夫が世界で一番好きな弁当は、妻が作った弁当です。
「俺は、お前が包んでくれた弁当が一番おいしいよ。心がこもっているからかな。」
平凡な料理も、おいしく食べてくれる誠意がありがたく、私は少し面倒だけれども、弁当を作ることに真心を傾けます。ところが少し前からは弁当をもう一つ作らなければならなくなりました。
「太ったかな、、、しょっちゅうおなかが空くよ。俺、明日から弁当2つ持っていたらだめかな。」
「いいわよ、簡単なことよ。あなたがそうしたいなら、2つでなく10個でも作ってあげるわよ。」
夫は、食い意地が張っている訳でもなく、食も細く典型的な痩せ型の体質でした。体に肉が付かず気の毒な程です。ですが、そんな夫が食欲が出たというので、うれしい話でした。私は毎日弁当を2つ作ろうと忙しくなりましたが、気持ちは満足しました。
そうやって半月が過ぎたある日、名前も知らないおばあさんから電話がかかってきました。
「ご主人が電話をするなといったのですが、、、あまりにもありがたくて、、、」
自分を同じ町内に住む隣人だと言ったおばあさんは、半月前から、夫が弁当を持ってきてくれると言いました。
「子供たちに捨てられて、心が深く傷ついたのですが、ご主人が子供以上に私を面倒見てくれて、大きな力になりました。本当にありがとうございます、、、、。いい人と結婚したのですから、幸せに暮らしてくださいね。」
おばあさんとの電話が終わって、私はしばらくの間、ボーとした状態で立っていました。夫のためのもう一つの弁当、、、、。それはおばあさんの体と心を豊かにした希望の食事だったのでした。
その夜、私は立派な夕食を準備して夫を迎えました。いい事を一緒にしようと言う奉仕の意味で明かしました。
「私あなたに感動したことがあるの、、、。その見えない善行、私も一緒にしたいからこれからは私達一緒にやりましょう、ね。ほほほ、、、。」
「えっ、うん、、、ハハハ、ありがとう、、、。」
夫が歩く道、妻として納得して一緒に歩かなければならないでしょ。週末の午後、夫と私は手をとっておばあさんの家を訪問しました。ひっそりと老後を送っているおばあさんの話し相手になってやり、時には一緒に外食もしながら子供のようにお世話をしています。
焚き火のようにゆっくりと燃える暖かい愛で、おばあさんの凍りついた心を融かす暖かい男、、、。そんな夫と共に味わう充たされた幸福と喜びが、私の霊魂を豊かにしています。