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ヤマメ(Oncorhynchus masou masou)
渓流釣りは、魚との駆け引きだ。
渓流魚は警戒心が高く、一度人影を見た魚は、その日はもう何も口にしないとまで言われるほどである。
そんな渓流魚を釣ろうとするならば、魚がその魚眼で水中から外界を見渡せる視野・角度を念頭に置いた上で、姿勢を低く保ち岩陰に身を潜めつつ息を殺して気配を消し、限られたポイントに仕掛けを投じなければならない。
ヤマビルの多い渓流を釣り上がること3時間。川全体を覆う木々の壁を掻き分けて突き抜けると、大きな滝に行き当たった。往々にして、こういった人のあまり立ち入れない場所に魚がたまっているものである。
私は獲物に忍び寄るカラカルのごとく身を屈め、滝壺にキャストすること3投。鋭いアタリがあった!
やがて心地よいファイトと共に水面にヌラリと姿を現したのは、ほのかな桜色に色づいた美しいヤマメであった。
私の体は滝からの冷霧で嫌というほどマイナスイオンを浴びて冷え切っていたが、清流の水で冷やした手でその引き締まった魚体に触れると、胸に熱い喜びが溢れてきた。
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日が陰り、黒色素胞内の色素顆粒が拡散して体色が濃くなってきた。
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川の流れの中で魚の全身を支えながら前後に優しく揺すり鰓に酸素を入れてやると、自らの力で元気に泳ぎ出し、深みへと姿を消した。
釣果のほどは、午前中でヤマメ大小4尾とカジカが1尾。カジカは同行した友人が胸鰭の鰭条数を数えたところ大卵型だった。
禁漁期間までもうすぐ。もう一度くらい釣りに行きたいところである。
【2010/10/08/神奈川 Kanagawa,Japan】