2022年2月ロシアがウクライナに軍事侵攻を開始してからは、イギリスのウクライナ支援と言うより深い関与が非常に目立ちます。西側諸国では突出しています。開戦後、徹底抗戦を煽り立てた国を今考えてみると・・アメリカ、イギリス、ポーランド、バルト3国が中心だったと思います。これらの国々が、西側のウクライナ支援と武器供与を総意として取りまとめたように思います。
このうちポーランドとバルト3国(チェコも)は、アメリカの衛星国と言ってよい国です。
問題は、イギリスです。イギリスが、なぜ徹底して対ロシア戦争を強力に推進するのか❓
ずっと考えてきましたが、今も不明です。イギリス人で最も強硬な戦争遂行を支援するのは、元首相のボリス・ジョンソンです。これは、はっきりしています。なぜか、国内スキャンダルで失脚しました。しかし、イギリスの国としての政策は不変でその後の保守党首相、政権交代後の労働党政権にもこの政策は、引き継がれて今も変わりません。
イギリスが経済的に豊かで財政に余裕があれば、これも納得できます。しかし、イギリス財政は2022年から「火の車」状態で今もひっ迫したままです。戦争支援の負担をイギリス国民に押し付け、生活苦のイギリス国民を放置してきました。そこまでして、何故ウクライナ支援にのめりこむのか❓
分かる人が、いたら教えて欲しいと思います。
プロパガンダの部分は、簡単に分かります。
イギリスが、プロパガンダを作成してそれが西側の共通のプロパガンダです。
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Newsweek 2024年11月14日
『トランプがウクライナ支援を減らすならイギリスが軍隊を送る必要がある── ジョンソン英元首相』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/11/524360.php
以下、ボリス・ジョンソンの主張(GBニュースとのインタビュー)
「なぜ我が国がウクライナを支援しなければならないのか。(支援しなければ)ロシアが復活してヨーロッパのあらゆる地域に脅威がもたらされ、私たちの集団的安全保障が大きく損なわれることになるからだ」
「そのときこそイギリスは、多大な費用を負担してウクライナに軍隊を派遣し、防衛せざるを得なくなるだろう」
「(ウクライナが敗退すれば)われわれの国境、そしてロシアと接するヨーロッパ大陸のあらゆる民主主義国家の国境に、さらに大きな脅威がもたらされる」
<英自由民主党のエド・デイビー党首>
「トランプが権力を握ったからというだけの理由で、ウクライナをプーチンに任せて見捨てる訳にはいかない」
「ヨーロッパ諸国を団結させ、ロシアの凍結資産を財源としてウクライナへの支援をさらに増やしていくことができるはずだ」
「迅速な行動が必要だ」
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2022年から普遍のイギリスのロシア用のプロパガンダです。しかも、2024年になってもイギリス第3政党の自民党まで同じことを主張しています。(日本もほぼ同じです。これも不思議です。)
イギリスは、西側のプロパガンダの製造元であり、最大の拡散元です。
ロシア潰しは、イギリスの【国是】になっているようです。
だから、イギリス国民を放置してウクライナ支援を継続しなければ、ならない・と言うことのようです。
(1)イギリスは、(落ち目の)落日の元「七つの海を支配した大帝国」です。第2次世界大戦後までは、その力は残っていました。今や栄光の影すらないほど落ちぶれ果てました。
かつて世界の覇権を競い合った旧ロシア帝国の末裔のロシアを、叩き潰したいのか❓
(抱き合い心中❓)
ロシアを叩き潰して、何の利益があるのか❓
⇒ロシアの資源・エネルギーを西側が分割支配します。
★これは、英米の狙いの大きな理由でしょう。
何しろイギリス人の遺伝子には、「ロシア潰し」が刻み込まれているはずです。
ボリス・ジョンソンは、チャーチルに傾倒しています。
ロシアをナチスドイツに見立て、プーチンをヒトラーに見立てれば、「ドイツ第4帝国=ロシア」を叩き潰して、21世紀のチャーチルになる願望を秘めているのかもしれません。
「プーチン氏がヒトラーになりたがっている」と言う虚構を作り出して、実はボリスが「チャーチル」になりたがっているのかもしれません。
イギリスのウクライナへの・のめり込みの合理性のなさを考えると、このボリスの野望も否定できないところです。
(2)ドイツ(EU)叩き
イギリスは、強引にEUから離脱しました。ドイツともイギリスは「不倶戴天の敵」の関係にあります。
EUを離脱した以上、EU=ドイツが弱体化するのは、イギリスにとっては好ましいことです。
アメリカもウクライナ紛争を利用してドイツ叩きをやっているように見えます。
メルケル時代にドイツは、随分アメリカに逆らいました。メルケルは、トランプにも逆らいました。
だからアメリカに便乗してドイツ叩きを、やるのは一つの目的かもしれません。
(3)などなど考えても、どうも今一つピンときません。
そこでイギリスが世界の中心からユーラシアの西の果ての島国になるイギリスの恐怖について考えてみます。
大英帝国の栄光は、ヨーロッパが世界の中心でありヨーロッパの中でイギリスが覇権を確立したところにあります。
その時から今までの地図は大西洋が中心であり、大西洋を制した者が覇者であったと言えます。
だからイギリスにとっては、大西洋がヨーロッパが世界の中心である必要があります。
最近、トランプ氏はグリーンランド買収の話を持ち出して拘っています。
【バイデン後に動き出した次期トランプ政権、ロシアと北極海戦略<2025・01・13】
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/898f0dc9097cee35ed256081f5d35a5d
<北極圏を中心に置いた地図>
https://www.nipr.ac.jp/aerc/map/Arctic%20Region_2015oct_low.pdf
この地図を見るならイギリスの地政学的な重要性は劇的に低下します。
更にイギリスにとって許す事の出来ないことがあります。
【21世紀は太平洋の時代】
【21世紀はアジアの時代】
【2024年】世界の購買力平価(PPP)GDPランキング (IMF)
https://sekai-hub.com/statistics/imf-gdp-ppp-ranking-2024
イギリスは、現時点で10位まで後退しています。
『PwC、調査レポート「2050年の世界」を発表 先進国から新興国への経済力シフトは長期にわたり継続‐インド、インドネシア、ベトナムが著しく成長』
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/world-in-2050-170213.html
2050年のGDP予測では、主要先進国で上位に残っているのはアメリカだけです。
上位にいるのは、アジアの国々です。
「中国、インド、インドネシア、米国」これだけで世界のGDPの多くを占める予想です。
今から25年後、世界経済の中心が何処にあるかは、既に予想されています。
ランキング10位くらいにウロウロしているのが、イギリス・ドイツ・フランス、もっと下がってイタリア・スペイン。
2050年頃には、確実に太平洋の時代と東南アジアの時代がやってきます。
ヨーロッパは、ユーラシア大陸の西の果てにある貧乏な地域になります。その貧乏大陸の西にくっついている島国がイギリスです。
(20世紀、ここは地の果てアルジェリア・・⇒21世紀、ここは地の果てイギリス・・・)
(★一応説明、この歌の当時アルジェリアは日本から見ると地球の裏側にあり、「地の果て」と言う語感がぴったりだったのでしょうね❓⇒実は地理的には、日本から見るとイギリスも大して変わりません・・・)
【カスバの女】 エト邦枝 1955年(昭和30年)
(私の生まれる前の曲です)
ロシアを叩き潰して世界の関心をヨーロッパに集めたいのでしょうね❓
だから、イギリスにとってはウクライナ紛争が激化して長期化するのが望ましいわけです。
イギリスは、世界の中心が大西洋から太平洋に移行するのを妨げようとしているのかもしれません。
かつて、七つの海を支配した栄光の大英帝国の最後の抵抗であるのかもしれません。
私の眼には、歴史の巨大なローソクが燃え尽きる前の最後の揺らめきのように見えます。
【大英帝国に栄光あれ!】
☆以上、考えてみましたがはっきりとした理由は不明です。しかし、政権が変わろうとイギリスのウクライナ政策が変わらない以上、余程大きな理由が隠されていることは確かだと思います。
※直接は関係ありませんが、通説的な見解を書いた資料を挙げておきます。
プロパガンダ的要素は、ばっちりです。しかし、ロシア・ウクライナ問題の経緯を知るには良い資料だと思います。ただし、プロパガンダ・スパイスは、「ばっちり!」効いています。その部分はパスした方が、いいと思います。
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SSDP 安全保障・外交政策研究会
ロシア=ウクライナ戦争とイギリスの対応、2014-2023年 細谷雄一 慶應義塾大学法学部教授
http://ssdpaki.la.coocan.jp/proposals/125.html
日本国際問題研究所
第2章 ロシアによるウクライナ侵略と各国の対応
https://www.jiia.or.jp/strategic_comment/pdf/StrategicAnnualReport2022jp02.pdf
※関連記事目次
項目「ヨーロッパ」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/70484af7010580642c91d2a502a7002d