「花の乱」
1994年の大河ドラマ。
最近、DVDを借りて夜な夜な見まくっていた。
仕事が終わらなくて疲れて帰ってきた日も、
酒呑んで帰ってきた日も、
よく見た。
題材は、
日本歴史上の有名な「悪女」と言われる「日野富子」
舞台は室町時代中期で、
将軍家および有力守護大名家の家督争いから端を発した
「応仁の乱」を中心として物語は進んでいく。
政治的には無能だった8代将軍「足利義政」が、
政に飽きて家督を弟の「義尋(足利義視)」に譲る、
と言い出したことから富子との夫婦相対する争いになり、
そこに有力守護大名の家督争いや勢力争いも絡んで、
東軍、西軍に分かれて11年にわたって京を焼き尽くす戦乱に突入する。
と書くと勇ましい物語に感じられるだろうが、
全編暗く淡々と進んでいくストーリーで、
なによりも「室町時代」という
馴染みの薄い時代を舞台にしたこともあって、
視聴率はすこぶる悪かったらしい。
大河ドラマフリークのわたしも断片的にしか観てなかった。
しかし、
久しぶりにDVDで全編通して観てみると、
非常に質の高い大河ドラマだった。
漂う独自の世界観や映像観。
時代を重厚に見せるための演出。
全体を覆う無常観や侘び寂びの世界。
それを作り出すキャストと役者もいい。
主演の日野富子役「三田佳子」はともかく、
富子の少女時代の役をこれがデビューとなる
「松たか子」が演じている。
当時、15歳ぐらいの「松たか子」はすでに演技も良く、
華々しさとはつらつさが相揃って良かったなぁ。
足利義政役は「市川團十郎」で、
少年時代は團十郎の息子で当時「新之助」と言われていた
「市川海老蔵」が演じていた。
なかなかの凛々しさでこれも「松たか子」との絡みで
清々しくてよかった。
そして、
応仁の乱で東軍大将となる細川勝元役は
ドラマ初出演となる狂言師「野村萬斎」。
西軍大将・山名宗全役は
これが大河ドラマでの遺作となる「萬屋錦之介」。
また、富子の実の父ということになっている、
酒呑童子役が「松たか子」の実父「松本幸四郎」と、
歌舞伎、狂言などの役者が揃っていて、
演技は重厚と言うか大げさと言うか。。。。
他にも、
富子の兄の日野勝光役の「草刈正雄」
富子の伯母で義政の実母である日野重子役の「京 マチ子」
義尋(足利義視)役の「佐野史郎」
富子の妹で実は本物の日野富子でくぐつ女の森女役の「壇 ふみ」
富子の義理の兄の伊吹三郎役の「役所広司」
西国の有力守護大名・大内政弘役の「藤岡 弘」など、
癖のある役者そろい。
特に素晴らしい癖のある演技で魅了されたのは、
一休宗純役の「奥田瑛二」
もともと好きな役者だっったんだが、
「一休さん」演じる「奥田瑛二」は、
他の役者を喰っていたなぁ。。。。
他に、
「ルー大柴」が骨皮道賢という
足軽役で出ていたり、
TOKIOの「松岡昌宏」が富子の息子で
9代将軍・足利義尚役で出ていたり、
10代将軍・足利義材役で「大沢たかお」が出ていたり、
笑えるキャステイングも多かった。
ともかく、
全編通して暗く退廃的で時にオカルトチックな映像と
複雑な人間関係が織りなすストーリーで
辛抱しながら観ていくのは大変なドラマかも知れない。
しかし、
「市川森一」の原作は他の大河ドラマの
世界観とは一線を引いていた。
で、
実は全編を物語りたかったテーマは
「夫婦愛」だったのかもしれない。
箱の中の庭の世界に逃げていく義政の気持ちはよく理解できる。
政治は疎かになって、
幕府を中心とした武家の権威は薄れ、
世の中の秩序も無くなって下克上の時代にはなったが、
義政が無駄といわれながら培ってきた文化の華は
その後にも継がれて行き開花する。
歴史上では、
時代の変換期として重大な時代でありながら、
あまり陽の目を見なかったこの時代を取り上げた
大河ドラマ数ある中でも名作だと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます