卵の色は、黄色または赤黄色で岩の隙間などに産みつけられる。卵粒径5mm。
発眼した卵。
孵化した仔魚は、すでに鋭い歯をもっていて、ほかの魚の子どもとは異質な感じがする。
トウベツカジカは、別名ケムシカジカ、図鑑によって名前がちがっている。
男鹿での地方名は「スゲエモン」、卵も料理の材料になる。
大きさは、35cm。
島根以北の日本海と東北以北の太平洋に分布している。
産卵生態には大きな特徴がある。
産卵するときは雌だけで行われ、その卵は受精していないが、
中にはすでに精子が入っている。
そして産卵後、海水に触れると受精し、発生が始まる。
トウベツカジカは普段は深い海にすんでいて、
沿岸の水温が下がってくると、産卵のために浅瀬にやって来るが、
それ以前に交尾をしている。
この交尾も変わっていて、トウベツカジカの雄には交尾器がないので、
雌が交尾器のように見える、先端にゼリー状物のついた産卵管を出したとき、
ゼリー状物めがけて雄が放精する。
このゼリー状物は卵巣腔液で、産卵管とともに再び体内に引き込まれ、
精子は卵の中に入る。
参考:「交尾をする魚、カジカ」宗原弘幸・古屋康則 どうぶつと動物園 1994.7