黒い円盤の下部からだろう。
小鳥のさえずりや小川のせせらぎの音が聞
こえてくる。
それはとても静かで、聞く者の気持ちをと
てもおだやかにした。
メイは決して油断しない。
何らかの効果を引き出すために、敵が企て
たのものに違いないと思う。
「まあ、あなたったら、ケイね。ケイなの
ね。とっても会いたかったわ」
メイはうれしそうに話しかけると、ケイは
唇をゆがめ、
「メイったら、あいかわらず、口がお上手
だこと。心にもないことをよく言えるわね」
と言った。
メイは、ケイの言いっぷりがショックだっ
たのか、少し表情を曇らせた。
ケイのひねくれたもの言いは、昔と変わら
ない。そのことが、かえってメイを安心させ
た。
メイは、ケイが、円盤の中で、人間改造の
手術を受けたのだ、と思っていたからだ。
「こうやって、ケイがわたしに会いに来て
くれただけでも、わたし満ち足りた気分にな
るわ」
「わたしみたいなの、心配していてくれた
んだ。メイって、なんてお人良しなんでしょ
うね」
「なんて言われたっていいわ。ずっとあな
たに会いたいって、わたし思ってたの」
「ああ、いやだ。メイ、どうしてそうなの
よ。怒ったらいいでしょうよ。こんなにもわ
たしたちのふるさとを台無したやつらよ。そ
んなのにわたしは味方したのよ。ほら、あそ
こにあるずうたいのでかい円盤が見えるでし
ょうよ。乗ってきたの、わたし、あれに。責
めたらいいでしょう、わたしを、うんと」
ケイはそれだけ言うと、ふうとため息をつ
いた。
メイは顔色を変えず、満面に笑みをたたえ
まま、じっとケイを見つめた。
「わたし、そんなこと、あまり気にならな
いわ。信じてるもん。あなたはあなたなりの
意志に従って、そうなったんでしょうから」
「まあ、メイったら、どこまでおばかなん
でしょう。ええい、それならこういってあげ
るわ。あなたなんて、どこから来たのかわか
らないわ。得体のしれないエイリアンめ。早
く、自分の生まれ故郷の星に帰っておしまい」
言いたいだけ、言ったのか、ケイはメイか
ら顔をそむけてしまい、花を夢中でつんでい
るジェーンのとなりにしゃがみこんだ。
するとジェーンは黙ったまま、ケイから少
し距離を置くそぶりをみせた。
ケイは、あえてジェーンを追わない。
ジェーンは、ひとつ、またひとつとお気に
入りの花をつみ始めた。
ケイとメイの間に、なんらの意思の疎通も
成り立たないように思われた。
しかし、メイはあきらめない。
ケイが心を開くようにするには、彼女にど
のように接したらいいか、懸命に考えた。
「ケイね。わたし、この間、あなたのおば
あさまに会ったわ」
ケイの表情はそれでも変わらない。
メイの顔色をうかがうように、ケイはちら
りとメイを見ただけだった。
ケイはジェーンとの距離をつめたいと思っ
たのか、すわったまま、体を動かし、
「ねえ、ジェーン。わたし、あなたが小さ
い頃から花が好きなのは知ってたけどね。あ
なたの花好きはんぱじゃないわね」
ケイはささやくように言った。
「ケイって、わたし、きらいなの。気安く
話しかけないでちょうだい。せっかくいい気
持ちでいるんだから」
「ごめん。でもさ、もしも、もしもよ。こ
こにある花たちをわたしが全部育てたと知っ
たらどう?あなた、わたしのこと見なおして
くれる?」
ジェーンは一瞬、きょとんとした顔をした。
「だってこの辺焼け野原だったでしょ。そ
れにね、もしもわたしと一緒に来てくれたら、
ここにある花たち、全部あなたにあげる。そ
れからこわれた家ね。きれいに建て直してあ
げるわ。それからね・・・」
他人の家にやっかいになるのに、ジェーン
は負担を感じていたのだろう。
ジェーンはケイのほうに顔を向け、口もと
をゆるめた
小鳥のさえずりや小川のせせらぎの音が聞
こえてくる。
それはとても静かで、聞く者の気持ちをと
てもおだやかにした。
メイは決して油断しない。
何らかの効果を引き出すために、敵が企て
たのものに違いないと思う。
「まあ、あなたったら、ケイね。ケイなの
ね。とっても会いたかったわ」
メイはうれしそうに話しかけると、ケイは
唇をゆがめ、
「メイったら、あいかわらず、口がお上手
だこと。心にもないことをよく言えるわね」
と言った。
メイは、ケイの言いっぷりがショックだっ
たのか、少し表情を曇らせた。
ケイのひねくれたもの言いは、昔と変わら
ない。そのことが、かえってメイを安心させ
た。
メイは、ケイが、円盤の中で、人間改造の
手術を受けたのだ、と思っていたからだ。
「こうやって、ケイがわたしに会いに来て
くれただけでも、わたし満ち足りた気分にな
るわ」
「わたしみたいなの、心配していてくれた
んだ。メイって、なんてお人良しなんでしょ
うね」
「なんて言われたっていいわ。ずっとあな
たに会いたいって、わたし思ってたの」
「ああ、いやだ。メイ、どうしてそうなの
よ。怒ったらいいでしょうよ。こんなにもわ
たしたちのふるさとを台無したやつらよ。そ
んなのにわたしは味方したのよ。ほら、あそ
こにあるずうたいのでかい円盤が見えるでし
ょうよ。乗ってきたの、わたし、あれに。責
めたらいいでしょう、わたしを、うんと」
ケイはそれだけ言うと、ふうとため息をつ
いた。
メイは顔色を変えず、満面に笑みをたたえ
まま、じっとケイを見つめた。
「わたし、そんなこと、あまり気にならな
いわ。信じてるもん。あなたはあなたなりの
意志に従って、そうなったんでしょうから」
「まあ、メイったら、どこまでおばかなん
でしょう。ええい、それならこういってあげ
るわ。あなたなんて、どこから来たのかわか
らないわ。得体のしれないエイリアンめ。早
く、自分の生まれ故郷の星に帰っておしまい」
言いたいだけ、言ったのか、ケイはメイか
ら顔をそむけてしまい、花を夢中でつんでい
るジェーンのとなりにしゃがみこんだ。
するとジェーンは黙ったまま、ケイから少
し距離を置くそぶりをみせた。
ケイは、あえてジェーンを追わない。
ジェーンは、ひとつ、またひとつとお気に
入りの花をつみ始めた。
ケイとメイの間に、なんらの意思の疎通も
成り立たないように思われた。
しかし、メイはあきらめない。
ケイが心を開くようにするには、彼女にど
のように接したらいいか、懸命に考えた。
「ケイね。わたし、この間、あなたのおば
あさまに会ったわ」
ケイの表情はそれでも変わらない。
メイの顔色をうかがうように、ケイはちら
りとメイを見ただけだった。
ケイはジェーンとの距離をつめたいと思っ
たのか、すわったまま、体を動かし、
「ねえ、ジェーン。わたし、あなたが小さ
い頃から花が好きなのは知ってたけどね。あ
なたの花好きはんぱじゃないわね」
ケイはささやくように言った。
「ケイって、わたし、きらいなの。気安く
話しかけないでちょうだい。せっかくいい気
持ちでいるんだから」
「ごめん。でもさ、もしも、もしもよ。こ
こにある花たちをわたしが全部育てたと知っ
たらどう?あなた、わたしのこと見なおして
くれる?」
ジェーンは一瞬、きょとんとした顔をした。
「だってこの辺焼け野原だったでしょ。そ
れにね、もしもわたしと一緒に来てくれたら、
ここにある花たち、全部あなたにあげる。そ
れからこわれた家ね。きれいに建て直してあ
げるわ。それからね・・・」
他人の家にやっかいになるのに、ジェーン
は負担を感じていたのだろう。
ジェーンはケイのほうに顔を向け、口もと
をゆるめた
でも〜こんなに上手ではありません!
いろいろと学びになっています^^
わたしはここで書き始めて十年目です。
まだまだいたらぬことばかりですが、見よう見まねでがんばっています。お互いに努力しましょうね。