松涛弘道著 日本文芸社
「欲目を出さない」
●愚かなるものは、利養(りよう)を貪(むさぼ)りて害(そこな)う
<雑宝蔵経>
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われわれの間には何かちょっとツキが
廻るとシメたと思い、いつのまにやら泥
沼にのめり込んで、あとで後悔する者が
いはしないだろうか。競輪、競馬などの
賭けごとでも、少し儲かると「夢よもう一
度」と深追いし、賭け金を増やして一攫
千金を夢見、なけなしの金をはたいてか
け続けて、気がついてみたら元も子もな
くなってしまった、という悲喜劇をよく見聞
きする。(中略)
ビジネスの世界でも同様で、人々は血ま
なこになって儲け口を探し求め、商売が
ちょっと上向きになると、「運がついてきた」
と勘違いし、安心して手を抜くものがいるが、
その途端に没落の一途をたどってしまう。
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昔の諺に「勝って兜の緒を締めよ」とあります。
成功したぞ、うまくいったと油断をしていると
心の隙間に入り込む悪魔が潜んでいる。
成功した人ほど付け込まれる隙が出る。廻り
からの誘惑も多い。それらに打ち勝つには並
大抵ではないと思うが、打ち払う勇気が必要
です。これは小さい頃からの経験とか教育が
いざというときに道を外さない力が発揮するも
のだ。人間はすべからく「欲の深い」生き物だ
ということを知っていなければならない。