徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

三鈷柄

2011-08-18 22:15:59 | 拵工作
暑い日々が続きますね。
こう暑いと、工房に閉じこもって工作をしようにも、集中力が続きません。
そんな時、自然と図書館や古本屋へと足が向きます。
刀剣工作のための知識とヒントを得るために、本や論文から情報を吸収する必要があるからです。
まさか!と思うようなところで、長年悩んできた問題解決の糸口を掴むこともあります。

さてさて、本日はチェーン店展開をおこなう古書店へ出かけました。
そこで手にした修験道関連の書籍の中に、興味深い写真を見つけました。



現近代作の三鈷柄剣を拝見すると、そのほとんどは銀製の一体型です。
入子状になっており、刀身に直接触れる部分はホウの木で作られている物や、全て銀無垢の柄前など、様々な工作を見ることができます。
何れにしても、上記の写真の様に、縁頭が爪状になっている拵えは稀です。

写真を拝見する限り、かなり古い柄前であることが判ります。
柄巻きは、茶色系の柄糸が諸摘み状に巻かれています。
この工作なら、飾りの三鈷柄と比べ、使用感が格段に良いでしょう。

実用を考えて作ることが、本来の拵工作です。
この拵えは、非常に特殊な形状をしていますが、実用性を再認識できる典型的な外装だといえます。