徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

九八式軍刀拵の修理

2012-04-23 01:27:37 | 拵工作
軍刀の修理が終わりました。

柄下地修理中の投稿は、以下のリンクより:
「軍刀拵の修復中」(2012年04月19日)

軍刀拵えというと、愛刀家の中には拒否反応を示す方もいらっしゃいますが、改めて見ていると実に美しい形をしています。


修復完了!


柄前修復前と比べると、その差は歴然。


Under restoration(修復中の写真)


After restoration:正絹(焦茶)にて、諸捻りを基調に目貫上部のみ諸摘みを施しました。

修復のお仕事では、拵えの時代背景を最大限理解する必要があります。
今回の場合は、諸捻り巻きを基調とすることで、当時最も実戦的と言われていた柄前工作を考慮しました。特注の場合、目貫上部のみ摘み巻きにするなど嗜好を凝らしていました。今日の鑑賞巻きの様な、諸摘みで仕上げた軍刀拵えは当時あまり一般的ではなかった様です。


Before tsukamaki(柄下地及び鮫皮修復時)の写真

太刀拵えの柄巻きでは、平巻きや諸摘みで巻いて猿手に柄糸を絡める方法が一般的ですが、軍刀拵えの柄巻きでは、一定の規格がありました。


After:写真の留め方が、大戦中軍事用に採用されていました。

後は納品を待つばかりです。