「切らずに治す脳卒中」日本脳神経血管内治療学会前々会長ブログ
第31回日本脳神経血管内治学会学術総会会長のブログ
会期:2015年11月19日~21日(無事終了しました)




昨日の山陽新聞に先生が載っていると、複数の知り合いから教えていただきました。
そうでした、健康フェスタの一環で「ストップ!脳卒中」として原稿を先月お渡ししていたのが掲載されたようです。
今月は脳卒中月間でもあり、それにあわせてのご紹介という意味合いもあります。

紙面よりも、下記の山陽新聞デジタル版の方がより詳しく説明してありますので、
もしよろしければご覧ください。

https://www.sanyonews.jp/article/1184711

ここのところ、急に冷えてきました。
日中の寒暖差が大きいのも身体には堪えます。
スポーツ、読書、そして食欲の秋ですが、皆様、まずは健康第一で!

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先週9月9日をもって、岡山大学病院IVRセンターのRoom 1 血管撮影装置(DSA)がそのお役目を終えました。
2013年のIVRセンター開設時に導入されたSIEMENS社のDSAマシンArtis zee BA TwinTMですが、
本当にここまでよく頑張ってくれました、心から感謝です。
最終日の治療は、硬膜動静脈瘻(dural AVF)と脳動静脈奇形(AVM)の塞栓術で、どちらも無事ににきれいに仕上げることができました。

これから2ヶ月は新規マシン導入工事となり、岡大では予定の血管内治療はありません。
(もちろん急患には対応します:センターには別に4台のDSAマシンがありますので)
私は、この2ヶ月の期間はヨーロッパに研修旅行に行こうと密かに目論んでいましたが、コロナのため叶わず、
岡大での外来・病棟業務に加えて、岡山旭東、津山中央、呉共済病院等々の関連病院での出張治療を引き続きこなしていく予定です。
少しゆっくりできれば・・・と思っていましたが、すでに全国の他施設への手術指導その他次々と仕事が入ってきており、思惑通りにはいかないようです。
必要としていただけるのはありがたいことですので、安全確実な血管内治療のために頑張りたいと思います。


最後の治療を終えて、DSAマシンとともに・・・お疲れ様でした!
2ヶ月後には後継機として最新マシンが来る予定です!楽しみ!!




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最新の脳神経外科速報に私とこの秋の日本脳神経血管内治療学会会長の廣畑優先生の対談が掲載されました。
この対談ですが、色々な先生のお人柄や、治療に対する考え方がよくわかって毎回楽しみです。
私自身も、4年前に会長を仰せつかった時に、同じ企画で、吉村紳一先生のインタビューを受け、載せていただきました。

その後、岡山市民病院院長の松本健吾先生のインタビューをさせていただきました。
その頃から、廣畑が会長になって、この対談が企画されたら、俺が絶対インタビューワになろうと勝手に決めていました。
大学時代からの悪友にして、今も二人で同じ世界で頑張っているので、思い入れも強いのです。
一方の廣畑は、予想通り、「杉生だけはイヤ」と逃げ回っていたそうですが、名編集者がうまく企画してくれて対談が成立しました。

それにしても、チンピラ二人の、とても記事に書けないような内容を、うまくまとめていただいた編集者、さすがです。
ストーリーとしては、こんなにひどいチンピラでも、何とか医者になって、責任感を持って精進すると、報われる!と言うことでしょうか。
読んで下さる若い先生方のどれだけ参考になるか、大変不安です。
でも、ちゃんと廣畑の真面目な部分を(本当は根は真面目なので)うまく引き出せています(自画自賛)
すべて編集者の腕なんですけどね。


楽しいインタビューをありがとう!学会頑張ってネ!

さて、2015年11月号の私のやつも久々に見直しました、恥ずかしいね〜
脳血管内治療の「文武両道」

学会開催を前にして元気満々でしたね汗


医療関係の皆様は是非本物を手に取って読んでみて下さい!(宣伝笑笑)



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本日は真面目に医学の話題を・・・
この度、Journal of Neurosurgery(JNS)誌に早川幹人先生(筑波大学)の論文が掲載されました。
JNSは私の中では、脳神経外科の医学雑誌の中で最高であり、本誌に掲載されるのは大変名誉なことと考えています。
私自身、若き日に、初めて書いた英語研究論文がJNSに掲載され(ビギナーズ・ラック)、大喜びした憶えがあります。
その後、ジュネーブ時代の血管内治療安全性に関する臨床論文も掲載されましたが、某先輩から「JNsに3回載ったら認めてやる」という言葉にまだ追いついていません(汗)
今回は私はcorresponding author(責任著者)であり、top author(筆頭著者)ではなく、認められませんね。

さて、
今回のタイトルは、「Effectiveness of staged angioplasty for avoidance of cerebral hyperperfusion syndrome after carotid revascularization」で、頚動脈狭窄症に対するステント留置術(CAS)を施行する際に、過灌流症候群高危険群に対して段階的なCASを行うと、一期的なCASよりも脳出血等の合併症が予防できるという主旨の論文です。
"STrategy of Optimal carotid revascularization for high-risk Patients of Cerebral Hyperperfusion Syndrome (STOP CHS)"「 CHSを止めろ」と言う標語で、
JSNET岡山2015(日本脳神経血管内治療学会:岡山:2016年)の時に全国調査を行い、ようやく論文化という形になって、その成果を世に示せました。
早川先生をはじめ、ご協力いただいたすべての先生に感謝いたします。

ちなみに、岡山大学脳神経外科では、この二期的なCASにより、大きな合併症なく治療できております。


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二度目の金沢ー某航空会社の機内誌の連載から取ったタイトルではありませんが・・・昨年末に続いて金沢大学にお邪魔してきました。
今回も内山尚之先生率いる金沢大学血管内治療チームの脳血流変更ステント・パイプライン治療に帯同です。
前回同様、いや前回よりもさらにスムーズに、そして早く治療は無事終わりました、流石です。

と言う訳で、空いた時間を利用して、どこに行こうか?二度目の金沢。
先週の南国鹿児島と違って、北陸金沢では桜はまだつぼみでした。
それでも天気の良い中、金沢大学から歩いて15分、途中、梅を見ながら散策して着いたのは、

鈴木大拙館です。

恥ずかしながら、私は鈴木大拙氏を最近まで存じ上げませんでした。
Appleのスティーブ・ジョブズ氏が影響を受けた人物として、そして生誕地金沢に記念館があることを知ったのはつい先日のことでした。
このタイミングで「二度目の金沢」、ちょうど良いあんばいでした。
仏教学者の大家として、「禅」の素晴らしい世界を英語で海外に広めた鈴木大拙を、米国を代表するイノベーターを通して知らされて、その美しい記念館を金沢で訪れる貴重な瞬間でした。
「無心というのは妄想なしとの義である」(鈴木大拙)
妄想だらけの私には無心になる瞬間はなかなかないのですが、静寂の中、「Water Mirror Garden」を前に、ほんの一時ですが、無心を感じて帰ってきました!


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一作日は、北陸に行ってきました。
いわゆる爆弾低気圧が接近して、大荒れの天気!日本海はグシャグシャの大波!
こんな日にわざわざ何をしに?金沢まで・・・

脳血流変更ステント・パイプライン治療のため金沢大学にお邪魔したのです。
内山尚之先生率いる金沢大学の脳血管内チームは、難しい動脈瘤を見事な連携プレーで治療されました。
安心して見ていられる安全・確実な治療手技でした。


内山先生、毛利先生(サッカー仲間でもあります!)、見崎先生(医局長でお忙しい!)、そして写真には写ってないけど若手の期待の星・南部先生、お疲れ様でした。
本当に素晴らしい手技で良かったです!

治療がうまく、そして早く終わったので、少し時間に余裕ができました。
金沢に来たら、しかも冬の風物詩も見ることができる・・・と向かったのは
(金大の皆さんは、この寒い中、天気も悪いのに本当に行くんですか?といぶかってらしたのですが)

日本三名園の一つ兼六園、お馴染みのことじ灯籠と雪吊り!
残念ながら、数日前に積もっていた雪は溶け、みぞれ交じりの強風の中、30分足らずの散策を楽しみました。

今年もクリスマスらしいことは何もなかったなぁ・・・と帰ってくると、

いつも季節に合わせたお花、ありがとう!



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先週はちょっと外遊してきました、さてここはどこでしょう?

この写真は韓国はソウル、東大門です。
今回はSoul National University Hospitalの神経放射線科教授Moon Hee Han先生を訪問してきました。
先生は64歳ですが、まだまだお元気で、年間500例を超える動脈瘤治療を行っている!とのこと。
先生の手技を拝見するのは5年ぶりだったんですが、さすがLegend、わざわざお邪魔した甲斐がありました。
未だに衰えぬテクニックと経験に基づいた戦略、完璧を追求するその姿勢に圧倒されました。
まだまだ私なんざ、若造だわ・・・と思い知らされました、ありがたいことです。
そして、夕食を共にして、親日家の先生とは日本食やゴルフから温泉、そして家族の話・・・話題はつきませんでした。


いつも刺激を与えてくれるLegendに感謝です。
私が2000年に韓国にご招待していただいてからのお付き合いですから、もう17年・・・時が過ぎるのは早いものです。
そして、韓国・ソウルの街の変わりよう・・・これも早いものです。
しかし、患者さんを治すために真摯に努力する姿勢は、いつまでも変わらず・・・(ちょっと気取りすぎだな、Legendの薫陶を受けて)


症例の写真はお見せできないので、病院に行って来た証拠写真、えっ?なんだか北朝鮮の張りぼてのよう?!


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本日は岡大循環器内科のチームに加わって、冠動脈瘤の塞栓術を行ってきました。
循環器内科のサッカー部OB、ジーコこと中川晃志(コージ)先生に、循環器内科に今にも破れそうな冠動脈瘤の患者さんがいらっしゃるので、先生助けてくださいと依頼されたのです。
中川先生とはサッカーを一緒にする仲ですので、そして同じファジアーノ岡山のチームドクターですので、二つ返事でOKです。
「万が一破れたら心タンポナーデになるんですけど、この方は術後で相当の癒着があるので、たぶんすぐには大事には至りません」と言われており、脳動脈瘤に比べると、気が楽でした。
瘤内にマイクロカテを2本進め、ダブルカテで中川先生と一緒にコイルを挿入し、完全閉塞で無事終了しました。
しかし、脳と違ってずっと拍動している冠動脈での操作は意外に難しく、目がくらくらしたのも事実です。
これで個人的には、肝動脈、脾動脈、腎動脈、そして今回の冠動脈と全身の色々な部位の瘤を経験させていただきました。
実は、今日の患者さんは硬膜動静脈瘻で当科でも塞栓術を行った患者さんで、うまく行って喜んでいただけました。


治療が無事終了して、循環器内科の先生やスタッフとパチリ!
院内アウェーの状況でしたが、皆さんのおかげでうまく行きました!ありがとう!

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ホノルル・ショックってなぁに?と言われる方もいらっしゃると思います。まずは、ホノルル・ショックについて説明しましょう。

脳梗塞超急性期で、脳の主幹動脈(太い重要な血管)が閉塞(詰まること)してしまった患者さんには、現在世界中で、t-PAという血栓溶解薬(血栓:血の固まりを溶かす特殊な薬)を静脈注射する治療(t-PA静注療法)が普及しています。日本には2005年に導入され、当初は発症から3時間以内、現在では4.5時間以内の患者さんに使えることになっています。この時間的要素に関しては、t-PA静注療法が遅れて行われると、半身麻痺などの症状が回復しないばかりか、逆にt-PAの副作用である脳出血の危険性が高まることが知られています。また、患者さんの状態によっては時間は間に合っていても、ルール上t-PAを使用できないこともあります。さらに、t-PAは魔法の薬ではなく、t-PAをうまく使用しても効果がない患者さんは約4割程度いると言われています。このような、t-PA静注療法ができない、あるいは無効な患者さんに対して、脳血管内治療に期待が集まったのは当然の流れといえるでしょう。

脳血管内治療では、カテーテルを動脈から挿入して、脳の血管閉塞部位に進めて行き、そこから特殊な器具を使用して血栓を回収して閉塞部を再開通させ、脳梗塞に陥らないよう助ける治療です。血栓溶解薬t-PAを使用しないため、出血の危険性が低いと言われており、発症後8時間以内に使用するよう定められています。もちろん、早ければ早いほど有効性が高くなることは言うまでもありません。

さて、ホノルル・ショックですが、簡単に言うと、t-PA静注療法単独とt-PA静注療法+血管内治療のどちらの成績が良いかを比較した試験が海外から相次いで報告され、その中でも大きな3つの試験すべてで、血管内治療の有効性が否定されました。この報告がすべて2013年にホノルルで開かれた学会(International stroke conference: ICS2013)で発表され、我々血管内治療医にとっては、良い治療と信じてやってきた血管内治療の成績が良くないと否定された訳ですから、ショックに感じて、その学会がホノルルで開催された会なので、ホノルル・ショックとなったのです。

さて、前置きが長くなりましたが、ホノルル・ショックと同じ学会、ICS2015が現在米国で開催中で、その中で血管内治療の有効性を示す研究報告が相次いでなされました!
2年前にダメだったものが何故今になって?と思われる向きもあると思いますが、脳血管内治療は急速に進歩している分野であり、この2年間の間にも、血栓を安全で効果的に回収できる器具が新たに開発され、使用可能となっています。もちろん、我々術者の経験や技量も向上していますので、成績は良くなっています。実は、ホノルル・ショックの時に使われている血栓回収器具は、もう古くてほとんど使われていません。今回のICS2015の研究で使用されている血栓回収器具は、新しく、安全性・有効性ともに高いものです。このわずか2年の間での器具、そして技術の進歩に敬意を表するとともに、血管内治療の有効性がきちんとした研究で示されたことに感激しています。これでやっと、ホノルル・ショックから抜け出せる・・・と言うことです。

長くなりましたので、今回の結果はまた後日ゆっくりと・・・
とりあえず、本日は脱ホノルル・ショックということで。


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