「切らずに治す脳卒中」日本脳神経血管内治療学会前々会長ブログ
第31回日本脳神経血管内治学会学術総会会長のブログ
会期:2015年11月19日~21日(無事終了しました)




先週は「Stroke2015広島」学会で水曜から日曜日まで4泊5日の広島ステイでした。
その中で、土曜日のランチョンセミナーでは、Vitor Mendes Pereira先生の「急性期脳主幹動脈閉塞症に対するステント血栓回収療法」のお話を聞いてきました。
Vitorは現在トロント大学准教授で、世界中に売り出し中の若手脳血管内治療医です。
彼が昨年のJSNET2014横浜のため初来日した時に知り合い、縁あって会期中の3日間、毎日酒を酌み交わした仲です。
Vitorはブラジル生まれで、パリで脳血管内治療の基礎を学び、その後私がかつて留学していたジュネーブ大学神経放射線科の教授となり、ヨーロッパで大活躍した後に、現在のカナダに移っています。
私とは年も離れており、ジュネーブで一緒に働いた訳ではないのですが、共通の知人がたくさんいて、
彼らを通してお互いに色々な話が伝わっており、同じジュネーブOBとして意気投合したのです。

広島はちょうど桜の開花宣言が出たところで、好天にも恵まれ、ずっと会場内にいてはもったいないのでVitorを誘って、会場隣の広島城へshort tripしてきました。ほんの小一時間の息抜きでしたが、二人でリラックスして色々な話をして、楽しい時間を過ごせました。
ありがとう、Vitor ! 本当はJSNET2015岡山へもゲストスピーカーとして呼びたいんだけど、立て続けに日本に来てるもんね、またいつの日か。


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山陽新聞の夕刊コラム「一日一題」の第八回目が昨日掲載されました。2月から3月にかけての2ヶ月間、毎週火曜日の連載です。
今回の題材は、死生観です。
大げさなタイトルになってしまいましたが、我々は常に生死を扱っている訳で、また、先日鹿児島を訪れた際に知覧特攻平和会館を訪れて、想うところがあって書いてみました。
少し気恥ずかしい文章で恐縮ですが・・・
それでは、昨日(2015.3.24)の拙文をご紹介します。


死生観

 皆さんは自分の、あるいは家族の生死について真剣に考えられたことはありますか。人は何のために生き、そして死んでいくのでしょうか。職業柄、日常的に人の命に関わっています。病気を治すため、人の命を救うために医師の道を志しました。しかし、現実には病気を治せない、命を救えないことが、あるものです。
 元気な若者が、交通事故により昏睡状態で搬送されて来る。悪性脳腫瘍で、今は元気でも医師の目からは平均余命9カ月の一家の主。重い脳障害を持って生まれてきた未熟児の赤ちゃん。このような患者さんに接するたびに、この世の理不尽さを痛感します。同時に、この不条理がいつわが身に、あるいは家族に降りかかってきてもおかしくないと不安になります。
 ある人は宗教に心のよりどころを求めるかもしれません。またある人は哲学を持って死生観を語るかもしれません。恥ずかしながら、私はしっかりとした宗教心や哲学を持っていません。否、持っていたとしても、現実に死を受け入れることができるでしょうか。とても自信がありません。
 先日、鹿児島に行く機会があって、知覧特攻平和会館を訪れました。70年前に20歳前後の若さで、命を散らせた特攻隊員たちの遺品、特に遺書の数々を見るにつけ、幸せな時代に生まれたことを実感しました。彼らは間違った形で「お国のために」旅立っていった訳ですが、われわれは正しい形でこの日本、そして人類のために何かをなしていかねばならないと考えさせられました。
 結局は「日々を大切にして一生懸命に生きていく」しかないのだと自分に言い聞かせています。そして最後には「人は希望を持って生まれ、感謝を持って死に行く」を実践したいものです。


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年度末の、人事異動の時期となりました。
今年も多くの先生、看護師さん、その他関係者の異動が予定されています。
脳神経外科病棟でも、長年脳神経外科を支えて下さった小野佳子師長をはじめ数人の看護師さん、そして脳外科の大事なパートナーとしていつも助けてくれてきた神経内科出口健太郎先生をはじめとする数人の先生が異動となります。
そして脳外科からも、病棟で昼夜なく大活躍してくれた若い研修医の先生達は、大学での研修を終えて、各地の病院へさらに腕を磨きに、即戦力として旅立っていきます。

と言うわけで、昨日は病棟をあげての送別会となりました。
幹事の脳神経外科病棟医長安原隆雄先生の名采配でなんと65名もの出席者で、盛大に行われました。
これだけの人数を集めて、なおかつ会場の手配等、ご苦労様でした。

別れはつらいものですが、また新たな職場で新たなお仲間との出会いと挑戦を願って、お酒を酌み交わしました。

出口健太郎先生と小野佳子師長(お疲れ様でした)


いつものように酔っ払って最後の挨拶は締まりがなかったけど・・・
佐々田先生の素晴らしい万歳三唱で吹っ飛びました!

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昨日はお二人の先生が、血管内治療の手術見学に来てくれました。
広島市民病院脳神経外科の村岡賢一先生と、川崎医大脳神経外科松下展久先生です。
岡山大学病院にIVRセンターが一昨年に設立されてから、特に手術見学者が増えています。
新しいセンターで最新のDSAや手術機器を使用しての私共の治療が、皆さんの参考になれば幸いです。
また、私共にとっても、見学の先生から色々と有益な情報を教えていただいたり、
仲間内で通常治療をしている時よりも違った視点が入ることにより、大変勉強になります。
昨日は硬膜動静脈瘻の難しい病変だったのですが、多くの議論すべき点があり、皆で色々とディスカッションしながら、有意義な治療となりました。
村岡・松下先生、どうもありがとうございました。



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山陽新聞の夕刊コラム「一日一題」の第七回目が昨日掲載されました。2月から3月にかけての2ヶ月間、毎週火曜日の連載です。
今回の題材は、大学病院です。
一般の方々には大学病院って敷居が高いと思われているようなんですよね。
地元岡山の皆さんに、少しでも岡大病院の役目をご理解いただきたいという想いで、文章をしたためてみました。
それでは、昨日(2015.3.17)の拙文をご紹介します。


岡山大病院の役目

皆さんは大学病院にどのようなイメージをお持ちでしょうか。最先端治療、教育研究機関、あるいは、敷居が高い、白い巨塔…。大学病院には、臨床・研究・教育の三つの重要な役割があると言われてきました。
 医師は当然、目の前の患者さんを救うことが、本能的に最重要課題です。一方で、将来的に多くの患者さんを救うような研究(現在iPS細胞の研究が有名です)、さらに、医師や看護師などの医療人の教育も大切なことは言うまでもありません。特に大学病院ではこれらの役割が強調されています。
 ただし、軽症の病気で大学病院を受診されるのは「敷居が高い」かも知れませんし、教授以下大勢のスタッフで回診する様は「白い巨塔」を容易に想像させます。さすがに最近はありませんが、以前は患者さんから真顔で「モルモットにされたりしないですよね?」と尋ねられたこともありました。私たちも多くの臨床治験を行っていますが、安全性と患者さんの権利は守られていますので、どうぞご心配なく。
 岡山大病院では「高度な医療をやさしく提供し、優れた医療人を育てます」をモットーとしています。臓器移植に代表される高度先進医療を数多く行いながら、研究・教育面でも実績をあげてきました。
 私たちが脳血管内治療を行っているIVRセンターでは、エックス線などの画像をもとに体内の病変部を確認しながら、カテーテルといった特殊な器具を使用して「切らずに治す」治療を行っています。体に傷跡が残りませんし、高い治療効果が期待できます。また、治療中や治療前後の体の負担も少なく、心と体に優しい最先端治療です。
 皆さんも、地元の岡山大病院の果たす役目をご理解いただいて、うまく活用してくださればと思います。


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山陽新聞の夕刊コラム「一日一題」の第六回目が昨日掲載されました。2月から3月にかけての2ヶ月間、毎週火曜日の連載です。
今回の題材は、備前焼です。
皆様、ご存知の通り、岡山を代表する焼き物です。
今回は、是非、備前焼を、そして自分のことを褒める文章を書いてと某氏に売り込まれて?!書いちゃいました。
誰にそそのかされたかは、文面を見れば一目瞭然です。
私が言いたかったのは、「備前焼の心は無心なり」なのですが・・・集中して無心になるところがカテーテル治療にも通じるという部分でね。

それでは、昨日(2015.3.10)の拙文をご紹介します。


備前焼の心

 皆さんは備前焼にどんなイメージをお持ちでしょうか? 岡山を代表する焼き物、伊部の地に千年以上続く日本最古の焼き物、素朴で自然な普段使いの焼き物、美術品としても価値のある焼き物…。 数年前から、縁あって備前焼作家の伊勢崎紳さんとお付き合いさせていただいています。年齢も同世代で、家族ぐるみで交流を深めています。時々、紳さんの窯を訪ねて、「土ひねり」をします。
 紳さんに誘われて、ろくろを回してみたところ、はまってしまいました。ろくろに向かうと、〝無心〟になり、集中して精神が研ぎ澄まされるような感覚に浸れます。ほんの短い時間ですが。その瞬間が自分にとっては大変貴重な時間で、紳さんにお願いしては教えを請うています。
 焼き物の世界は奥が深く、私なんかはその表面で遊ばせていただいているだけです。しかも肝心の焼きの部分は窯元任せですので、大切な備前の土や窯を使わせていただけるだけでも、申し訳ないと思いつつ、それでも、ついついろくろに向かう自分がいます。
 全国、そして時には海外からのゲストを岡山にお迎えした時に、お邪魔して皆でわいわい言いながら、そして紳さんの講釈を聞きながら、備前焼に親しむのも楽しいものです。間違いなく、皆さん、喜んで帰られますし、数カ月後に自分の作品ができあがって届いた時の満足感は特別なものです。皆さんも郷土の備前焼、楽しんでみませんか?
 いつもお世話になってばかりなので、8日は紳さんと娘さんをサッカーJ2ファジアーノ岡山の開幕戦にご招待しました。過去、紳さん親子が来場した試合は負けないという無敗伝説があるのです。結果は3-0! 見事に勝利。1万人超えのスタジアムの雰囲気も最高! 紳さん、年間数試合と言わず、全試合来てくださいね!




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このブログをはじめる時に、なるべくファジアーノ岡山のことは書かないようにしようと心に決めていました。

日本脳神経血管内治療学会の会長としてブログをはじめて、本筋は、血管内治療学会の会員の皆様に情報を伝えたり、一般市民の皆様に「切らずに治す」脳神経血管内治療の素晴らしさをお伝えできるような場にするべきと考えていたからです。

とは言え、3/8の開幕戦で、ファジのJ2リーグ過去7年間の歴史の中でも最高の形で、開幕勝利を飾ることができ、幸せな興奮を抑えきれません。
当日は、岡山大学医学部学内医局対抗サッカー大会がありました。
自分の試合が終わって、今季から名称がシティライト・スタジアム(通称Cスタ)となったスタジアムに着いたのは試合開始ギリギリでした。
慌てて、久し振りに会うサッカー仲間と挨拶を交わしつつ、すでに入場している家族が待つ、いつもの指定席に着くとちょうど選手入場でした。
ビッグフラッグは3枚、一万人を超えた観客はスタンドをファジレッドに染めて、Cスタの雰囲気は最高潮です。


そして、選手達はエンジン全開で戦い抜き、見事に3-0の勝利、1試合が終わっただけですが、はじめてJ2首位に立ちました。
個人的には押谷君に得点を取らせたかった!けど、本当に皆良く走ってくれました。
選手達からエネルギーをもらって、また頑張ろうという気になりました。
えっ?!肝心の医局対抗はどうなったかって?
1回戦は3-0で勝って、準決勝で1-4の敗退でした。足はパンパン、膝ガクガクです。




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昨日は、「第7回南九州脳神経血管内治療研究会」で鹿児島に行って参りました。
鹿児島大学脳神経外科教授有田和徳先生は広島大学脳神経外科で活躍された後に、地元である鹿児島大学に教授として赴任されています。広島と岡山で隣県なので、以前から存じ上げておりましたが、久し振りにお目にかかって昔話もさせていただきました。
有田先生ご自身は脳腫瘍が専門分野なのですが、血管内治療にも深い造詣とご理解があって、厚地脳神経外科病院永山哲也先生・鹿児島大学脳神経外科西牟田洋介先生を中心に、鹿児島県でも脳血管内治療が急速に発展していることをお伺いしました。
研究会には、血管内治療専門医の先生だけでなく、ベテランの一般脳神経外科の先生、若い研修医の先生、そして海外からの留学生と多くの参会者があり、岡山大学での治療経験をお話しました。たくさんのプラクティカルなご質問をいただき、南国鹿児島の先生方の熱いパワーを感じました。
会終了後は、永山・西牟田先生のお取り計らいで、血管内チームの若い先生方と懇親の場を設けていただきました。
鹿児島の血管内チームには女性が多く、和気藹々として良い感じでした。
このブログをちゃんとチェックしていただいているとのことで嬉しかったです。
こちらが女性陣、夏子・祐子・明理さん、皆さん美人ですね。
とりあえず、ビールと野菜サラダ(私はウサギなんです)でスタートしています。


皆さんの脳血管内治療に対する熱い思いをお聞きしながら、勧められるまま、焼酎をいただきました。
曰く「先生、鹿児島に来て、焼酎を飲まないなんて!」(鹿児島弁で)
それにしても、鹿児島の方は皆さん、お酒、お強いですね。
こちらが、男性陣、永山・西牟田・久保・粕谷先生です。


鹿児島の皆様、ありがとうございました!

岡山に帰ってきたら寒い寒い・・・やっぱり鹿児島南国じゃ-。
新幹線で3時間、近くなりましたね。

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一昨日は「第21回北関東neuroIVRカンファレンス」にお招き頂きました。
一般演題では足利赤十字病院放射線科潮田先生が、腹部内臓動脈瘤の塞栓術についてお話されました。NeuroIVRの会で腹部動脈瘤?って思われるでしょうが、脳動脈瘤といくつか共通点があったり、まったく違う観点からの治療戦略があったりと、面白いものです。他領域から学ぶことも多いと再認識しました。実は私も、肝動脈瘤・脾動脈瘤・腎動脈瘤などの治療経験があって、興味深く拝聴しました。腹部動脈瘤は、脳と違って治療中に呼吸性に動くので意外と難しいという話で潮田先生と一致しました。
そして、「脳血管内治療の現状と展望」という題で特別講演をさせていただきました。
獨協医科大学脳神経外科教授金彪先生に座長をしていただいたのですが、金先生は脳神経外科の中でも特に脊髄疾患の第一人者であり、個人的にも大変お世話になった先生です。
現在ホットな話題である脳梗塞超急性期の血栓回収療法と、脳動脈瘤の塞栓術、特に高難度動脈瘤に対する工夫について、お話ししました。
講演の後も、色々な先生と討論ができて、大変有意義な会でした。
特に、金先生、玉谷先生、安部先生とは、会終了後も色々と貴重なお話をお伺いして、楽しい時間を過ごさせていただきました。
金先生、本当にありがとうございました。

今回、はじめて宇都宮にお邪魔しました。
北関東はこれまであまりなじみがなく、我がファジアーノ岡山も北関東遠征では戦績があまり良くないのです。
宇都宮は餃子の街っていうイメージしかなかったのですが、今回はとんぼ返りでしたので、またゆっくりとお邪魔したいものです。

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今週は講演会が続いています。
元々、人前でお話するのは苦にしていませんし、少しでも多くの皆様に自分が好きでやっている専門領域のことを聞いて頂ける機会を与えられるわけですから、嬉しいものです。
火曜日は岡山市内で主に神経内科の先生方を中心とした「岡山脳卒中エキスパートセミナー」という会で「急性期脳梗塞に対する血管内治療」と題してお話しました。
脳梗塞急性期の最も有効な治療としてt-PA静注療法が知られていますが、t-PA静注療法が無効であったり、種々の理由でt-PAが使えない患者さんを救う治療として血管内治療に大きな期待がかかっています。しかし、2013年の国際学会(International Stroke Conference 2013 Honolulu)で血管内治療の有効性が否定される臨床研究が立て続けに3つ報告されました。これは、我々血管内治療医にとって衝撃的だったため、ホノルル・ショックと呼ばれてきました。この下りは、以前「脱ホノルル・ショック」として記載しました。(2015.2.13)

実は、岡山大学では神経内科の先生のご理解もあって、ホノルル・ショック後も、治療効果が期待できそうな患者さんに対しては、積極的に血管内治療を行ってきました。阿部康二教授をはじめとする岡大神経内科の先生方は、実臨床での血管内治療の有効性をずっとサポートしてくれたわけです。今回は、その神経内科の先生方の前で、堂々と血管内治療の有効性が認められたInternational Stroke Conference 2015 Nashvilleでのホットな話題とともに、岡大での成績をお話できて、大変光栄でした。
信頼してくれる内科医とともに働ける幸せを感じて、また頑張ろうという気になりました。神経内科の先生方、いつも本当にありがとうございます。
あぁー、まだこの場でISC 2015のまとめをしていませんね、そのうちに・・・

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