今年も、残すところあとわずかとなりました。
皆さんにとって、2016年はどんな年でしたか?
私には、3年分くらい過ぎたのではないだろうかと思えるくらい、very eventful yearで、去年の今頃は予想もつかなかったまさかの出来事がいろいろありました。
東日本大震災からちょうど5年目のその日の深夜・・・サンタモニカの自宅で、71年にわたるその輝かしい生涯に自ら終止符を打ったKeith Emersonさん。あれから9ヶ月たち、私の悲しみも少しずつ癒え・・・・キースの遺してくれたものがいかに素晴らしものであるかを、ますます実感し、かえって心豊かにさせてもらっている自分に気づきます。キース、ありがとう!!!
ところが・・・こんどは、彼の50年来のバンドメイトで、ベース(ギター)/ボーカル担当だったGreg Lakeさんが、69歳で、癌のため亡くなったことを知りました(12月7日)。キースとグレッグは、音楽的には、お互いを極限まで高めあう最高のコンビであった一方で、一人の人間対人間としては、軋轢、衝突も多く、なかなか難しい面もあったようです。でも、今では天国で、しっかり肩を抱き合っていることでしょう。「なんだよ、グレッグ、お前までもう来たのかよ~!」「キースが寂しがってるんじゃないかと思って、来てやったんじゃねえかぁ!」「ごちゃごちゃ言わずに、歌えよ!」「おう!いくぜ お前もさっさと弾きやがれ!」なんて言ってね。
EL&PのEとLが相次いで旅立ち、私にとって、EL&Pという存在がいかに大きいものだったか、改めて深く思い知らされた年となりました。
今日は、ELPのクリスマスミュージックをご紹介。
まずは・・・グレッグが作曲した、”I Believe in Father Christmas”という美しい曲です。ELP最後のアルバム "Works Vol II"に収められています。
若かりしころのグレッグ・・・可愛かったなあ!
1分あたりの、夕陽をバックにラクダが歩くシーンに流れる、きらびやかなファンファーのようなシンセサイザーはもちろんキースによるものですが、このメロディ自体は、クラシックからアレンジしたもの。
その原曲が、これです。プロコフィエフの組曲「キージェ中尉」中の第4パートの「トロイカ」 (こちらは、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団の演奏)。
キースは、このトロイカが大好きだったらしく、彼のソロアルバムの中でも演奏しています。”I Believe in Father Christmas”では、トロイカのほんの一部を使っているだけですが、ソロアルバムの方では、フルで演奏しています。それがこちら。
キースにしては珍しく?原曲にかなり忠実に仕上げているのですが(ギターパートは別として、全体的には殆どシンセサイザーによるキースの独演)、やはり、管弦楽よりこちらのほうが、そりの躍動感が活き活きと伝わってくると思いませんか?
(プロコフィエフは、これをクリスマス曲として書いたわけではないのですが、トロイカは、まさに張り切ってそりを走らせるサンタクロースの楽しい雰囲気を感じさせますよね~。)(注1)
で・・・そのソロアルバムというのが、これです。その名も"The Christmas Album" (注2)
1988年発表で、自身のオリジナルのほか、O' Little Town of Bethlehemなどの伝統的なキャロルや、クラシックやジャズのアレンジをいろいろ組み合わせ、子供たちの合唱なども入れて、心温まる手作り感いっぱいの1枚になっています。このアルバムの冒頭が、Troikaです。
ついでながら、このアルバムから、もうひとつ聴いてください。
キースのオリジナルで、”Captain Starship Christmas” という曲ですが、サンタが宇宙船に乗ってやってくるというお話で、男の子の可愛い語りから始まり、キースの演奏、そして、子供らの元気な合唱が続きます。
<ちょっと目がチカチカする画像なので、音だけ聴いたほうがいいかもです。これしかなかったので、すみません。>
ちなみに、この合唱団の子供たちは、イギリス南部のWorthing(ワージング)という小都市にある West Park School の生徒さんなのですが、この学校は、キースのお母様ドロシーさんが、若いころcook supervisor(調理管理者?給食の責任者みたいなお仕事?)として働いておられまして、キースは、お母様の思い出を紡ぎたかったのですね。
今年のお空のクリスマスコンサートは、どんなに賑やかなことでしょう!
何かと気ぜわしい時期になってきましたが、皆様もどうぞよいクリスマスシーズンをお過ごしください。お忙しい中、ELPの音楽に耳を傾けていただき、ありがとうございました。
あーーー年賀状これから・・・・ 実は、「真田ロス」真っ只中・・・・
注1) ご存知のように、「トロイカ」とは、ロシアの3頭立ての馬車(馬そり)の意味で、プロコフィエフが描いたのは、キージェ中尉を乗せてシベリアを走る馬そりのイメージですが・・・YouTubeの画像がまさにそれですね・・・でも、音楽を聞く側としては、一般に流布している、サンタを乗せて8頭のトナカイに引かれて走るそりを思い浮かべて楽しむのも、自由でしょうからね!
注2) キースのクリスマスアルバムは、他にも異なるアルバムカバーのものが出ています。全部で4通りあるようです。
私がもっているのが一番左のものです。曲目数は12トラックで、トラック1がトロイカなのですが・・・・2つめと3つめは、曲目数9トラックのみで、トロイカは入っていませんね・・・カバーデザインは素敵なのですが・・・4つめが最新バージョンで(2012年に復刻版として発売)、曲目数は、12トラック(詳しくはこちら)。これから、キースのクリスマスアルバムを購入しようと考えている方は、この最新版をお勧めします。アマゾンで、輸入版を2029円プラス送料で入手できますので。