波佐見の狆

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ノベライズの愉しみ(切ない牛若の登場・・・)

2012-08-31 14:12:34 | 平清盛ほか歴史関連

<本日、2つの記事をアップしています。よろしければ、この下に来ている狆カテゴリの「咳でハウスに4時間」もお読みいただけますと、嬉しいです>

「平清盛」のノベライズ本というのが出ているのをご存じでしょうか。全4巻のシリーズで、現在第3巻まで出ており(写真はVol.3)、私も3冊とも買いました。詳細はこちら。藤本有紀さんの脚本をもとに、青木邦子さんが小説化したもので(「ちりとてちん」の黄金コンビらしいですね)、登場人物のセリフ部分はドラマそのままですが、セリフとセリフとの行間を埋める文章がまた素敵です。また、ドラマでは放送されたのにこのノベライズにはないやりとり、あるいは逆に、ドラマにはないけれどノベライズで独自に挿入されたやりとり、記述というのもありますし映像とはまた違った愉しみを味わうことができます。

第33話でも、重要な場面で、ノベライズ独自の光る言葉がありましたよーーー。

今回も胸打つ見どころシーンが満載でしたが、私がとりわけ釘づけになったのが、牛若の登場です。

清盛の50歳を祝う宴が、六波羅の屋敷内で賑やかに行われました。そこへ、常盤に連れられ牛若が現れます。このとき9歳。いきなり時子の前に走り出てきて、「早うお会いしとうござります!」「父上はいずこにおわしますか?」などと言うのです。驚く時子に、常盤が申し訳なさそうに、5歳まで清盛の世話になったため、清盛を実の父と思い込んでいると釈明します。すると、時子は、穏やかな笑みを浮かべて牛若を受け入れ、清盛のもとにすぐにつれていってあげます。

これだけでも、胸がきゅんとなったのに、続いて清盛が、父と呼ばれて嬉しそうに「よう来たな、牛若」と、優しく話しかけ、なんと、ほかならぬ知盛、重衡、そして徳子に、一緒に遊んであげるように言い、3人とも喜んで牛若に弟のように接するのです!なんという皮肉・・・!清盛の子供たちのなかでも、この3人こそ、のちに最も義経から苦しめを受ける人たちですからね・・・・重衡は一の谷の合戦で義経軍の捕虜となり、のち斬首。知盛は、同合戦でなんとか逃げおおせたものの、長男を義経軍に殺されます。そして、徳子は、壇ノ浦で入水するもすぐに義経軍に引き上げられ、「お前の父が我が母を奪った仕返し」といった理由で義経からその場で手込めにされた・・という話まで残っていますね・・・・注1)

(引き上げられたのは、史実です。一昨日の「歴史秘話ヒストリア」によれば、熊手で髪の毛をひっぱられたとか・・・痛かったでしょう。。助けようとしたのではなく、単に大物女子を捕虜にしようとしたのでしょうか?!手込めのことは伝説にすぎないです。義経がそういう武士道に外れたことはしなかったことを祈るのみです。。。)

突然清盛の末弟忠度が乱入した際、皆が騒然となり、宗盛などは、隅っこに逃げてしまうのですが(リーダーシップなき棟梁となる宗盛の伏線でしょうね)、ここでノベライズは一気に牛若に大きな光を当てています。牛若は、さっと皆の前に進み出て、勇敢にも「父上に仇するものは、この牛若が倒しまする!」と相手の前に立ちはだかるのです。「小さな体で大きな清盛を守ろうと」という説明がまた良い!(第3巻p.230)...ここのところもドラマでもやってほしかったなぁと思いますが、そのときの牛若の清盛の子としての誇らしい顔と、清盛の感激と、他の皆の驚いた様子を想像するのがまた楽しいですね。。注2)

これほど父、兄、姉と慕ったひとたちを、討つに至るまでには、義経にも深い葛藤と苦悩があったわけですが、この回のあまりにあどけなくて、楽しい様子に胸が強くいたみました。

さらにダメ押しです。

宴も終わりに近づき、太陽が沈んでいきますが、清盛は大変な上機嫌で庭で舞っています。暗くなると足元が危ないからと気遣う盛国や時子たち。

「かようにゆかいな日が、終わってほしゅうない」と言いながら、清盛が扇子で沈む夕陽をあおぐと・・・・奇跡が起こり、沈みゆく太陽が再び昇り始め、清盛の姿が明るい日の光のなか、きらめくのです。今や太陽をも我が思うままにできるほどの存在となった清盛の姿を、幼い牛若も、平家の仲間として驚嘆と尊敬をもって心に刻み付け、迎えに来た母に、「本当なのです!父上があおいだら、太陽がまた昇ったのでござりまする!」と、興奮して話すのでした。ここのところは、ノベライズでは削られていますが、「はいはい。。」とにこやかに牛若をなだめる常盤の、また楽しそうな表情がよかったですねーーー。

なお、この清盛の「日招き伝説」は、ここで私が説明するまでもなく、本来音戸の瀬戸開削の際の話ですが注3)、ここにもってくるなんて・・なんとゾクゾクする脚本でしょうか。そして、平清盛という人の偉大さを象徴的に示すこのエピソードについて、ほかならぬ牛若だけにはっきりと、清盛が太陽を呼び戻したと言わせるところは、切ないばかりです・・・・(今考えてみれば、牛若に日招きを見せるのが目的で、ここに持ってきたといってもいい?!)

元服して義経となり、今後どのように清盛はじめ平家の人々と関わり、そして敵対するようになるのか、本当に今から楽しみですね!神木隆之介くんの演技は恥ずかしながら私はまだ見たことがなく、私の中での義経といえば、、、なんといっても、「新・平家物語」の志垣太郎さんなのですが、実はせっかく買った総集編DVDでは、少ししか彼の姿は拝めなくて残念でした。神木くんに期待しよう・・・・

33回の録画も何度も見ています。もっともっと話したいことはありますが、長くなるので、このへんにしておきましょう。次回34回では、熱にうなされる清盛が夢の中で実の両親に会う模様。いったいどのようなやりとりがあるのかな。いよいよ、入道姿のお披露目でしょうか。ワクワク・・・・・

あーーっ!最後に一言だけ・・・・・

挿入曲のことですが・・先日、この記事の中で、私はマンティコアが今後は源氏の反撃を象徴するテーマとして使われるのだろうか、という話をしましたが、あの回以降ずっとEruptionが聞こえなくなり、その代り、源氏とは関係なく清盛がすごいことを言う場面で Manticoreが多用されるようになっていますね(「博多を都の隣にもってくるぞ。」など)・・・・うーん、ごめんなさい。ということは、今後はEruptionに代えてManticoreを使うということでしょうかね。ほかの楽章もまた出てくるかもしれません音楽もまた大きな愉しみですから!!

注1)NIKKO MOOK 「平清盛 続・完全読本」p.114より

注2) このあたりで、ドラマにはないがノベライズにはあり、というセリフがまだあるのです・・・・知盛たちが牛若と庭に出ていったあとの時子の言葉。

ドラマでは、「義朝様のお子じゃ。殿も格別の思いがあろう。」 これだけになっていますが、ノベライズではさらに続けて、常盤もぜひ参加するように誘ったけれど、遠慮したということを言います。盛国が、時子の心の広さに感服すると、また更に、源氏の棟梁の側室から平家の棟梁の側室にとういう数奇な運命を、覚悟をもって生きるという、常盤のような女性は好きだというのです。もう、心が広いとか平家棟梁の正妻の貫録とかいうことを超えたレベルですよね。このように、大変器の大きい女性として時子を描いているのも、この脚本の特徴です。

注3) ちなみに・・・清盛による音戸の瀬戸の開削というプロジェクトそのものが、史実ではなかったという説が浮上しているらしいですね。Wikiにも、「ただし、近年の地質調査では、清盛の時代より遥か以前から、この海峡には船舶の航行に十分な水深があり、本州側と音戸側が地続き、あるいは浅瀬で結ばれていたと考えられる証拠は存在しないとされている。」とあり、実際、広島大学大学院による、清盛開削は史実ではなかったと結論づける興味深い論文が発表されています(こちら)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


咳でハウスに4時間

2012-08-31 11:48:08 | 狆 (栗之介・恵之介・光之介・十兵衛)

昨日・・・いやもう今日になりますね、午前4時ころ、なんとなく気配がして目が覚めると、恵がぼおーーっと座っていて、なんとなくおかしいのです。

すぐに咳が始まって激しくなり、唾液が泡状になって舌から出てきます。舌は紫色にはなっていませんが、やはりこれはまずい、と思ったので、病院からもらっていた液体の頓服薬を飲ませて、ハウスに入れました。まもなく咳は止まり、落ち着いたのでほっとしました。

そしてそのままハウスで寝てしまったので、スイッチを入れたまま、私もまた寝ました。

明け方・・・私のほうが怖い夢を見てしまいました。車の中で、何かスプレー缶のようなものが爆発して、私が呼吸困難になり、外に転がって飛び出し、ゲホゲホ・・・・常に恵の呼吸を心配しているからかな。。。やれやれ。

恵は、8時過ぎまで、たっぷり4時間もハウスの中で爆睡でしたこんなに長く入れていたのは初めてですね。。写真は7時ころ撮ったものです。ハウスの扉を開けても、起きようともしません。きっと、4時に私が気づくまで既に苦しくて寝られずにいたのでしょう。

ところで、今回の咳は、今までとは音が違うのです。これまでは、「カッ、カッ、ゲエーーー!」という乾いた咳でしたが、今回のは、この「ゲエーー」が、「べちょっ!」という感じで、粘性の強い鼻水が気管にたまって詰まっているからに違いありません。

ネブライザーは、今「アレベール」と「ムコフィリン」という、2種類の去痰剤を毎日吸入させているのですが・・・芳しくありません。なんとかこの粘性の鼻水さえ止まってくれれば、恵はずいぶん楽になるのですが・・・

ふと、新聞広告のなた豆」茶(粒)が目に留まりました。アマゾンのレビューでも、子供の鼻炎が治ったとか、評判良いようです。飲ませてみようかな???


お気に入りベスト

2012-08-14 15:03:08 | 狆 (栗之介・恵之介・光之介・十兵衛)

みなさんち、お盆休みいかがお過ごしですか?

ぼくんちはね。。。。ぱぱだけ昨日から16日まで長崎だから、ぼくとまま二人でまーーったりしてます。

先日から、いろいろとご心配をおかけしましたが、だいぶ楽になりました。厳しい暑さも峠は越えたのかな?・・・でも、油断しないようにしないとね・・・

クールベストもまだ当分は手放せませんね。ぼくお気に入りの冷え冷えファッションをお披露目しまーす。

こちらは、かわいいセサミストリートだよーーーーもう5年も前になるんだけど、きちママさんに購入をお願いして送っていただいたものです。

 (だいちゃんやまるちゃんとおそろなんだよねーーー) サイズもぴったりで、冷え冷え感も十分続きます。かぶるタイプではなく胸開きなのも、気に入っている理由です。ぼくあんよもお手々も関節がしょぼいからね、お手々曲げて着るのはダメなんだぁ。。

それと、、、今年新たにもう1枚増えました!ミッキーくんだよーーー

 こっちも似合うでしょーーーーー

実はねーーー惇ちゃんからのプレゼントなんです!ままがね、もう1枚ほしいけど、胸開きのクールベストがなかなかない、ってことを惇ちゃんたちのおかあさんにたまたま話したら、惇ちゃんが「ぼくの前開き・・・マジックテープだから、ちょっと苦手なんだ。恵くん着ない?」って言ってくれたんだってーー えっ、ぼく、マジックテープ、へーきだよ。いただいていいの?!やったぁーーー 栗兄ちゃんはひえひえベストは持たなかったしね、きょうだいのお下がりっていうのに憧れていたから。。。とーってもうれしいの。 

惇ちゃんが着ているお写真がこちらでーす。

この2着で、残暑を乗り切るからねーーっ。

 


今頃ですが・・第30話の感想

2012-08-05 10:38:35 | 平清盛ほか歴史関連

「天子摂関御影」より、崇徳上皇像

全50回の「平清盛」も30回まで終了し、今夜31回からは、栄華を謳歌する平家がじわじわと滅亡への道を進んでいきます。

入道姿の松ケンさんのポスターも発表されましたね~。このポスターの撮影時は特殊メイクだったそうですが、ドラマの中で実際に剃髪するらしいですよ!(こちらの情報

大変遅ればせながら、30回「平家納経」の感想を思いつくままに書き留めておきたいと思います。

オリンピックのために10時すぎから始まったのを録画しておいて、深夜に見たものですから、とにかく恐ろしかったぁーーーー!!

テレビの画面を通して、崇徳上皇の呪いが、こっちにまでふりかかってきそうで、なんかだ具合が悪くなりそうでした。タイトルは「平家納経」だけど、これって完全にホラーじゃない?!と思ってしまいましたねーー。

しかしです・・・・昼間に繰り返し録画を見て細部を見直すにつれて、この回のすごさと込められたメッセージがわかってきたのです。

さらに、番組サイトの「人物デザイン」を読み、この説明に驚きました。

恨みを抱えた生霊として崇徳を描いています。 そして、おこがましい話ではありますが、劇中で崇徳を成仏させたい。 成仏させるということは、死の間際には怨念から解き放たれて、人間らしい崇徳に戻るということです。 怨念が募り、やがて感極まって死に近づいていくけど、その間際にかつて心を通わせた西行たちの念仏がどこからともなく聞こえてきてふと我に返り、救われる。」

この「劇中で崇徳を成仏させたい」という言葉に、スタッフ、脚本家、そして俳優さんなど、ドラマに関わるすべての人たちの、なみなみならぬ深い思いを感じました。これほどの真剣な気持ちで紡ぎだした崇徳生霊の場面だったのですね。表面的にしか見ないでホラーじゃない、で片づけた自分が恥ずかしくすらなりました。皆さん、失礼いたしました!

井浦新さんという俳優さんは、私が本作「平清盛」で初めて知った俳優さんの一人ですが(実は、初めての人が殆どといっていいくらいです・・)、驚愕の役者魂ですね!今までにも幽霊(死霊)を演じるのが上手い役者さんは何人もいたと思いますが、だいたい女性ですよね。生霊しかも男性のというのは、テレビドラマ初の試みではないでしょうか。積年の恨みが一気に爆発して、あの気品のある端正なお顔が、大きく歪み、血まみれになり、恐ろしい唸り声をあげながら、のたうち回る・・・メイクでどれだけ怖い姿を作ってあっても、井浦さんの優れた演技力なくしては、テレビ画面を通してこっちまで祟られそうだ~!と思わせるほどのインパクトはなかったでしょう。いや、「演技力」などという、皮相的な言葉では語れませんね。まさに崇徳上皇がのりうつってしまって、その底知れぬ哀しみと怒りを代弁してくれたというか・・・

NHKさん、おこがましくなんかないですよ。。。あなたたちの真摯な努力と熱意と勇気のおかげで、上皇様の思いは、時を超えてこの20世紀の多くの人々に伝えられ、共感され、今こそ真の成仏が達成されたのではないでしょうか。

さて、第30話のもう一つの見どころだった「平家納経」のこと・・・

私は恥ずかしながら、こんな国宝が存在することすらずっと知らなかったのです。少し前に、「その時歴史が動いた」 (平清盛 早すぎた革新~平氏政権誕生のとき~)の再放送を含む番組を見ていて、初めて知りました。ネットとは本当にありがたいもので、私のような無知な人間でも、検索するだけで、すぐに概要も詳細もわかるのですからね。。。たとえば、こちら(勝手にリンクさせていただきました)。

今の言葉でいえばセレブ中のセレブだった平家が、その経済力にまかせて当時のトップレベルの絵師や技師を専任で雇い、金銀水晶などの贅沢な材料を惜しげもなく使って作成した、美術工芸作品としても最高峰の経典だそうですが、その具体的な制作の様子を、ドラマの中で再現していて、実に興味深かったですねーーー。その時流れていたジャズ調の音楽もよかったなあ。

そして、「その時歴史が動いた」の解説では、写経が、清盛はじめ重盛、盛国など、一門の主だった者の見事な自筆であるという点にも着目していました。注1) つまり、当時の武士は字が書けない者が多かったそうですが、平家一門が全体的にいかに教養が高かったかを証明するものであると。当時は、外の学校に行くわけでもなし、一門の中で教育していたのですから、これは素晴らしいことですね。注2)

これまでにも、平家納経の本物が部分的にも公開されてきたそうですが、今回この「平清盛」で脚光を浴びたので、また近いうちに公開してくれるといいなぁ。一生に一度でいいから、拝んでみたいものです。

これほどの作品の中に、多くの志半ばにして散った人々への思いを込めて、いざ厳島に納める船旅に出た一門の頭上に立ちこめる黒い雲。。。。。それはまさに恐ろしい怨念の形相をした雲でした。たちまち、嵐となり、船は沈没の恐怖にさらされます。頼盛と重盛は、これも讃岐の院の怨念の仕業ならば、経典を海に投じればよい、とわめきたてます。しかし、清盛は、讃岐の院の御魂(みたま)も含めてもろもろの人々の魂を込めたこの経典を海に捨てるのは許さず、「この船には誰が乗っておると思う?!」と言って、甲板に出ます。そして、兎丸らの名前を呼んだあと、盛国に向かって「鱸丸!」と漁師時代の名で叫びかけます。「お前たちが頼りぞ!行けーーーーなんとしても無事厳島まで進むのじゃーーーー」「お任せあれ!」海に生きる者のDNAが騒ぎます。鱸丸に戻って嬉しそうな盛国です。カッコいい~~~盛国が漁師出身であることが、こういう場面につながるとは、本当に素敵な脚本です。

皆の祈りは、ついに讃岐に届き、穏やかな朝の光が海を照らします。崇徳上皇もあらゆる苦しみから解き放たれ、人間としての成仏を果たします。私も心から満たされました・・・・

めでたし、めでたし。

 注1) 侍大将伊藤忠清のみ、書家らしい人に代筆させているところが映っていました。彼は「根っからの武人で、武骨な生き方しかできない男。」ということですので(サイトの説明)、字は書けなかったのではないでしょうか。

注2) 12回「平氏の棟梁」中で、盛国が重盛、基盛、清三郎(=宗盛)に書道を教えているところがありましたね。このようにして屋敷内で子弟を教育していたのでしょう。