RSウイルスの話
RSウイルスは、ありふれたかぜの原因で、重症化すると1歳未満児の細気管支炎と肺炎、そして乳幼児の気管支炎の主な原因です。年齢が上がるにつれ軽症化します。
多くは普通の鼻かぜか、発熱を伴うかぜで終わり、まれに気管支炎、喘息様気管支炎になり、極くまれに重症化し、細気管支炎や肺炎になります。
普通の家庭での最大の重症化要因は、赤ちゃんのストレスです。だから、第一児の家庭内保育に少なく、第二児以降と早期の集団保育に多いようです。それで、できるだけ上手に育てましょう。そうすれば、発病しないか、しても普通のかぜで済みます。(乳幼児の育て方は既に書いてあります。)
☆RSウイルスは、毎年冬に発生し、4~5か月間続きます。母親の抗体が胎盤を移行して感染を防御するのは、生後4~6週間とみられています。それで、この間の重症感染は少ないようです。しかし、血液中の抗体では感染を完全には防御できず、環境条件に左右されます。都市部では一回の流行で、約半数が初感染すると推定され、2歳までにはほぼ全員が初感染すると言います。一度感染しても抗体で防御できないので、繰り返し再感染します。小児期には、一回の流行で、10~20%の割合で再感染するようです。生涯にわたって感染を繰り返し、大人ではもっと少ないようですが再感染しているようです。その多くは軽い症状です。
発病率は、保育所など感染しやすい場所では、初感染でほぼ100%、再感染では60~80%です。症状は鼻かぜと咽頭炎で発病し、発熱は普通で、中には中耳炎を伴うこともあります。発病すると10~40%は、様々な程度の気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こします。入院率は1~3%と推定されています。
生後2~7か月が気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生率が高く、1歳過ぎると、気管支炎や喘息様気管支炎が多いです。
再感染は、通常は軽症であり、まれに重症化します。
社会経済的弱者と密集した生活環境では、気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生頻度が高いし、発生時期も早いです。
☆潜伏期間は約4日間です。
☆ウイルスの排泄期間は様々で、気管支炎、細気管支炎、肺炎で入院する場合は5~12日間と言い、3週間続くこともあるといいます。入院する程でない場合は明らかではありません。
☆感染経路は、飛沫感染と手に付着して運ばれて生じます。患児の手によっても、看護者の手によっても広がります。マスクしても、手洗いしても防げません。
流行時には、再感染した学童から家庭に持ち込まれ、通常は、2~3日で兄弟や親がかぜをひきますが、乳児の場合は重症化しやすく、発熱、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こしやすいです。ウイルス単独がほとんどで、細菌感染はほとんどないと言います。
☆発症機序は難しく、詳細は判っていません。他のウイルスと異なり、抗体ができても防御できないのが、特徴です。なぜか解明が出来ていません。
☆臨床症状
乳児の初発症状は、鼻汁と咽頭炎です。咳はすぐ出ることもありますが、多くは1~3日後に出現し、くしゃみや微熱を伴うこともあります。咳が出ると喘鳴が出るようになります。
軽症ではここまででおさまります。透明な大量の鼻汁が続き、断続的に発熱を伴います。初感染の乳幼児の約7割以上はここまでで、数日のうちに軽快します。約3割で進行し、進行すると、咳と喘鳴が悪化して呼吸困難を生じます。
☆診断
軽症では、他のウイルスによるかぜと見分けがつきません。
特徴的な症状は細気管支炎で、そこまで進行すると臨床像・季節・流行状況によってある程度RSウイルスと判断できます。もう一つの特徴は、年長の同居者にかぜの症状が現れることです。検査では、余り情報は得られません。白血球数は正常か上昇(20%程度の人で)します。確定診断は鼻咽頭ぬぐい液からのウイルスの検出ですが、簡単にはできません。迅速診断法も検査キットがありますが、感度は70~90%と言われ、保険適用は限定されて、普通にはできません。
☆治療
治療は対症療法しかありません。合併症には、それなりにあります。多くの乳児は軽度から中等度の脱水症状がありますから、できるだけ水分補給をします。喘鳴には、エピネフリン(ボスミン)の吸入が有効なことがあります。
☆予後
重症感染を起こすのは、環境因子が大きいです。環境因子には、社会経済的弱者と、密集した保育環境と、家庭内のストレスです。入院率は1~3%以下で、入院した乳児の死亡率はその約2%で、ほとんどがハイリスクの病気(未熟児、神経筋疾患、先天性肺疾患、先天性心臓病、免疫不全症、ダウン症候群)を持った乳児です。
☆予防
RSウイルスのワクチンはありません。
ハイリスクの乳児には、パリビズマブ(抗RSウイルス抗体、商品名シナジス)を、月一回筋注しますが、個々の症例によって使い方が異なり、日本小児科学会では使用のガイドラインを作成しています。
RSウイルスは、ありふれたかぜの原因で、重症化すると1歳未満児の細気管支炎と肺炎、そして乳幼児の気管支炎の主な原因です。年齢が上がるにつれ軽症化します。
多くは普通の鼻かぜか、発熱を伴うかぜで終わり、まれに気管支炎、喘息様気管支炎になり、極くまれに重症化し、細気管支炎や肺炎になります。
普通の家庭での最大の重症化要因は、赤ちゃんのストレスです。だから、第一児の家庭内保育に少なく、第二児以降と早期の集団保育に多いようです。それで、できるだけ上手に育てましょう。そうすれば、発病しないか、しても普通のかぜで済みます。(乳幼児の育て方は既に書いてあります。)
☆RSウイルスは、毎年冬に発生し、4~5か月間続きます。母親の抗体が胎盤を移行して感染を防御するのは、生後4~6週間とみられています。それで、この間の重症感染は少ないようです。しかし、血液中の抗体では感染を完全には防御できず、環境条件に左右されます。都市部では一回の流行で、約半数が初感染すると推定され、2歳までにはほぼ全員が初感染すると言います。一度感染しても抗体で防御できないので、繰り返し再感染します。小児期には、一回の流行で、10~20%の割合で再感染するようです。生涯にわたって感染を繰り返し、大人ではもっと少ないようですが再感染しているようです。その多くは軽い症状です。
発病率は、保育所など感染しやすい場所では、初感染でほぼ100%、再感染では60~80%です。症状は鼻かぜと咽頭炎で発病し、発熱は普通で、中には中耳炎を伴うこともあります。発病すると10~40%は、様々な程度の気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こします。入院率は1~3%と推定されています。
生後2~7か月が気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生率が高く、1歳過ぎると、気管支炎や喘息様気管支炎が多いです。
再感染は、通常は軽症であり、まれに重症化します。
社会経済的弱者と密集した生活環境では、気管支炎、細気管支炎、肺炎の発生頻度が高いし、発生時期も早いです。
☆潜伏期間は約4日間です。
☆ウイルスの排泄期間は様々で、気管支炎、細気管支炎、肺炎で入院する場合は5~12日間と言い、3週間続くこともあるといいます。入院する程でない場合は明らかではありません。
☆感染経路は、飛沫感染と手に付着して運ばれて生じます。患児の手によっても、看護者の手によっても広がります。マスクしても、手洗いしても防げません。
流行時には、再感染した学童から家庭に持ち込まれ、通常は、2~3日で兄弟や親がかぜをひきますが、乳児の場合は重症化しやすく、発熱、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎を起こしやすいです。ウイルス単独がほとんどで、細菌感染はほとんどないと言います。
☆発症機序は難しく、詳細は判っていません。他のウイルスと異なり、抗体ができても防御できないのが、特徴です。なぜか解明が出来ていません。
☆臨床症状
乳児の初発症状は、鼻汁と咽頭炎です。咳はすぐ出ることもありますが、多くは1~3日後に出現し、くしゃみや微熱を伴うこともあります。咳が出ると喘鳴が出るようになります。
軽症ではここまででおさまります。透明な大量の鼻汁が続き、断続的に発熱を伴います。初感染の乳幼児の約7割以上はここまでで、数日のうちに軽快します。約3割で進行し、進行すると、咳と喘鳴が悪化して呼吸困難を生じます。
☆診断
軽症では、他のウイルスによるかぜと見分けがつきません。
特徴的な症状は細気管支炎で、そこまで進行すると臨床像・季節・流行状況によってある程度RSウイルスと判断できます。もう一つの特徴は、年長の同居者にかぜの症状が現れることです。検査では、余り情報は得られません。白血球数は正常か上昇(20%程度の人で)します。確定診断は鼻咽頭ぬぐい液からのウイルスの検出ですが、簡単にはできません。迅速診断法も検査キットがありますが、感度は70~90%と言われ、保険適用は限定されて、普通にはできません。
☆治療
治療は対症療法しかありません。合併症には、それなりにあります。多くの乳児は軽度から中等度の脱水症状がありますから、できるだけ水分補給をします。喘鳴には、エピネフリン(ボスミン)の吸入が有効なことがあります。
☆予後
重症感染を起こすのは、環境因子が大きいです。環境因子には、社会経済的弱者と、密集した保育環境と、家庭内のストレスです。入院率は1~3%以下で、入院した乳児の死亡率はその約2%で、ほとんどがハイリスクの病気(未熟児、神経筋疾患、先天性肺疾患、先天性心臓病、免疫不全症、ダウン症候群)を持った乳児です。
☆予防
RSウイルスのワクチンはありません。
ハイリスクの乳児には、パリビズマブ(抗RSウイルス抗体、商品名シナジス)を、月一回筋注しますが、個々の症例によって使い方が異なり、日本小児科学会では使用のガイドラインを作成しています。
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