アメリカ合衆国で長年の最重要課題はメキシコや中南米からの不法移民 (illegal immigrant) の問題である。現在の米国内の不法移民は約2000万人おり、この人たちの処遇に米政府 (US Government) は頭を悩ませている。米4州(カリフォルニア California、アリゾナ Arizona、ニューメキシコ New Mexico、テキサス Texas)とメキシコの国境は約2000マイル(3200㎞)、日本列島の北海道から九州までの長さの約1.5倍あり、この国境を取り締まるのは至難の業 (a Herculean task) である。この2国間の出入りは年間3億5千万人で、330ヶ所ある検問所 (checkpoint) は人・車で一日中、長蛇の列 (a long queue) でごった返して (be thronged with people) いる。【参考ブログ:『米国の都市ーメンフィス、サンアントニオ、サンタフェ、ティファナ(サンディエゴ)』(2010/1/28)】
大統領選挙戦で問題視されたのが、共和党のドナルド・トランプ氏の暴言で、彼は不法移民対策としてメキシコ国境沿いに壁(walls) を建設することなどを主張した。これにはメキシコ訪問から帰路途中のローマ法王(Pope Francis) も苦言を呈した。確かに国境沿いには651マイル(約780キロ)に及ぶ柵(fence) が存在するが、あくまでも人・車の勝手自由な行き来を阻止するもので、冷戦時代に存在したドイツの「ベルリンの壁」とは意味が全く違う。
賃金の安い労働力を毎日必要とする米国経済にとってメキシコ・中南米の人たちの出稼ぎは重要だが、同時に経済格差であこがれの米国に「不法」に入国する人たちが後を絶たないので困っている。ヨーロッパで問題となっている「難民 (refugee) 受け入れ」と相通じるところがある。日本の近い将来の問題でもある。□YS